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モンスターハンター ~厄災の狩人達~

作者:島原
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明星の英雄
  陽龍

 
前書き
ジャノバからの依頼を受け、ソルディム山地に向かうダイラスとアルフレッド。
そこに降りたるは古き龍。 

 
「あーあ…。」

「どうしたラス?」

大衆酒場でイスにもたれながらダイラスはため息をついた。

「なんかぁ、こう…つまんねえな。」

「何がさ。」

「なんか、俺らハンターらしい仕事してなくねえか?今。」

「いつから僕もハンターになったんだい?」

「それは置いとくとしても、オレはもっと…こう…飛竜だよ!飛竜が狩りたいんだよ!」

「ああ、そういうことね。今は飛竜種の繁殖期だけど…。」

「だけど?」

「ん、なんでもない…よっと」

アルフレッドは荷車を降りた。ダイラスもそれに続いた。
そして、支給品ボックスの中から必要な物を必要なだけ取り、ハンターズギルド公認ソルディム山地エリア四へ向かった。

「じゃあ、いつものとおり僕はここのバノトプスの肉と、ヴリンダの鳴き声を採ってくるよ。」

「じゃあオレはブルノスの鱗だな。」

アルフレッドはバノトプスのもとへ、ダイラスはブルノスを求めてエリア七へ向かった。

「ハァッ!」

アルフレッドは走りざまにクロノスソードを振り下ろした。鮮血が飛び散りバノトプスが低い金属音を発生させながら倒れた。

「案外切れ味いいな。このクロノスソード…。あっそうだ!肉を剥ぎ取らないと。」

これでジャノバから依頼された物のうち一つをクリアした。

「次は…ヴリンダの鳴き声…今はまずいんじゃないかなー。」

後悔感に駆られつつノフォスが生息する、エリア二へ向かった。

「やっぱり…。ヴリンダが大量発生してえらいことになってる。」

そこには牙獣種ヴリンダが群れを成していた。
そしてヴリンダよりさらに大きい個体種が猛々しい雄叫びをあげた。

「…クッ!」

アルフレッドはその咆哮に身がすくんだ。

「アル!逃げろ!」

ダイラスが飛び込んできた。そして、ポーチからけむり玉を取り出し、大きいヴリンダの足元に投げつけた。
直後に勢いよく煙が噴出し、ヴリンダ達はうめき声をあげ始めた。

「っと蓄音機。」

アルは引き際に蓄音機を取り出し、ヴリンダのうめき声を回収した。

「これで残りはブルノスの鱗だな。」

「それが…、ブルノスの親玉みたいなのがいて、ブルノスに近づけないんだ。」

「なんだって!?」

辺りを緊張した空気がとりまいた。

「クソッ、ヴリンダといいブルノスといいどうなってるんだここは!」

「ラス、行こう。ブルノスの鱗を採りに。」

「はぁ?デカイ親玉がいるってのに何言ってんだアル!引き返そうぜ!」

「なんのための強走の粉塵だよ。」

アルは笑いながらポーチから小瓶を取り出した。そして栓を抜き粉塵を拡散させた。

「人体実験はこれが始めてなんだけど、成功のようだね。さぁ行こう!」

「ったくムチャすんなぁ!そういうの嫌いじゃないぜ!」

アルフレッドとダイラスはエリア七へ向かった。




「アイツだ。」

蚊の鳴くような声でダイラスは指差した。そこには周辺のブルノスより遥かに大きい個体種が走っていた。

「どうやら、テロス密林にいるランポスの親玉ドスランポスと生態が一緒のようだ。」

「そういやオレはテロス密林に行ったことがあるけど、そのときのドスランポスはそんなにデカくなかったぞ?」

「その土地その土地に生息している種類によって違うんだ。ランポスとゲネポス、ギアノス辺りは
 そんなに大きくはならないんだけど、クルブティオス湿地帯に生息しているイーオスは大きくなりやすい
 個体なんだ。」

「そんなもんなのか。とにかく!あのでっけぇブルノスはそこいらのよりもっとでけぇの吐いて来るんだよ!」

「それは、体が大きくなれば自然と攻撃能力も増すだろうね。」

「おい!アイツ、俺たちに気づいたぞ!」

「まずいな。よし、僕がアイツを引き付けるからラスはその間にブルノスの鱗を!」

「分かった!」

ダイラスとアルフレッドは二手に分かれた。

「おーい!こっちだぞー!」

アルフレッドは大きいブルノス目掛けてペイントボールを投げつけ、挑発した。
大きいブルノスは完全にアルフレッドの挑発に乗ってしまったかのように
アルフレッド目掛けて走り出した。

「アルー!採れたぞー!」

ダイラスが鱗を手に掲げている。

「よぅし!行くぞぉ、目をふさいでろラスー!」

アルは閃光玉を投げた。何かが弾け飛んだかのように勢いよくビンが割れ、閃光が走った。
周辺のブルノスは目がくらんでフラフラしている。大きい個体種にも効いているようだ。

「今だっ!」

アルフレッドはクロノスソードを滑らせた。途端に何かがヒラリと落ちた。
落ちた何かを回収し、アルフレッドとダイラスは一目散に走り出した。

「強走の粉塵の効果でどこまででも走れそうな気がするぜ!」

「うん、そうだね。でも今は必死に逃げることを考えたほうがいいよ!」

「ああ!言われなくても最初からそうしてる!」

数分走った後拠点にたどり着いた。

「おっ、荷車だ!早く乗ろうぜ!」

「賛成だよ!」

二人は矢のごとく荷車に飛び乗り、バノトプスの背中を叩いた。
バノトプスはゆっくりと荷車を引き出した。

「危なかったなあ、アル。」

「そうだね、ラス。」

その時、日差しが急に強くなった。

「ぬあっ眩しい!なんなんだこの光は!」

「あれが言葉に困った原因さ。」

そこには神々しい龍が空を翔けていた。

「アル!アイツはなんなんだ!?」

「今古龍観測局全支部がもっとも注目している古龍、陽龍ガムロスさ。」

「陽龍…ガムロス!?」

「詳しいことは後で話す!荷車を急がせよう、危険だ!」

アルフレッドはバノトプスに強走の粉塵を吸わせた。途端に荷車の速度が上がった。








いつもは帰りに十分かかるところを今日は五分でエイン村についた。
大衆酒場でダイラスはアルフレッドに聞き直した。

「で、その陽龍ガムロスってのは一体何なんだ?」

「ガムロスって言うのはね、昔からこの村の繁栄と秩序の象徴なんだ。」

「繁栄と秩序…あーっ!」

「気づいたかい?そう、ここ北エルデ地方の伝承。十七年に一度その者は同時に姿を現す、
 一方はこの世界に繁栄と秩序を、もう一方はこの世界に混沌と枯衰をもたらす。
 陽龍ガムロスはその繁栄と秩序の象徴。」

「ってことは、もう一方も…。」

「存在するよ。混沌と枯衰の象徴、陰龍ネヴィア。」

「陰龍ネヴィア…そいつは今どこに居るんだ?」

「それは、北エルデ地方古記のこの文章に答えがある。
 セクメーア砂漠に眠りし陰龍、焔の力、風の力、嵐の力、霞の力、そして巨大龍の意志により目覚める。」

「おい、それって…。」

「ああ、焔の力は炎王龍テオ・テスカトルと炎妃龍ナナ・テスカトリのことだろう。
 風の力は風翔龍クシャルダオラ。
 嵐の力は嵐龍アマツマガツチ。
 霞の力は霞龍オオナズチ。
 そして、巨大龍の意志とはセクメーア砂漠特異地点に唯一現れる、峯山龍ジエン・モーランじゃないかな。」

「そんなに古龍が集まったら…セクメーア砂漠はえらいことになっちまう!」

「ああ、そうなる前にこっちとしても戦力を大きくしておくことが課題だ。」

「…セージとガイルは?」

「さんをつけろってラス…って、そういえば!?」

「俺たちなら…ここにいるぞっ…!」

帰ってきたのはボロボロになったセージとガイルだった。

「どうしたんですっ!二人とも!」

「どうもこうもあったもんじゃねえ…。古塔に行ったらクシャルダオラが居たから斬りかかったんだ。
 そしたらいっきなり今までに経験したことのねえ龍風圧浴びせてきやがって…。
 ちくしょうと思ってたらいきなり空が晴れてきやがる。そしたらクシャルダオラより遥かにでっけえ古龍が
 いきなり水ブレスをこっちへ…。」

「しまった、もう被害が出始めてるっ…!」

「それも、陽龍ガムロスの仕業か?」

「うん、おそらくね。」

その時、出口の付近が再度ざわめきだした。

「たっ大変だ!!皆聞いてくれ!」

「どうしたんだワーノルド!顔が青ざめてるぞ!」

「ほっとけよ、どうせフルフルにでも噛まれたのさ。」

「違う!俺が言いたいのはそんなことじゃない!」

「じゃあ何なんだよ?」

「いいか、驚くなよ?隣のロボス村がテオ・テスカトルによって滅ぼされた!村は壊滅状態だ!」

「なんだって?炎王龍が!?」

「事は早く進んでいるようだよ、ラス。」

「ああ、そうみたいだな。村の一大事にならなきゃいいが。」

「お主ら落ち着くのじゃ!!」

大声を張り上げたのはジャノバだった。

「おお、じーさん!」

「もうツッコまないよ、ラス。」

「お前さん方も聞いてくれ。よいか?今は耐えしのぐのじゃ。いくら古龍とて、無差別に村を襲うわけではあるまい。
 もし襲われたとしても、別の場所に避難して過ぎ去るのを待てばよい。村はまた立て直せばよいのじゃ。」

「そうだとしてもよぉ!」

ある大剣ハンターが立ち上がった。

「このまま炎王龍の好きにやらせておけって言うのかよ!オレは耐えられねえぜ!そんなの!」

「まだ襲われたというわけではなかろう!」

大衆酒場の空気が静まり返った。

「お主らの気持ちも分かる。この村を壊されたくないお主らの気持ちは重々の。
 じゃが、昔から古龍は天災にもたとえられておる。古龍とは地震。古龍とは大火事。古龍とは疫病。
 来てしもうては過ぎ去るのを待つしかないのじゃよ。」

「だけど…よぉ。」

立ち上がった大剣ハンターは目に涙を浮かべながら座り込んでしまった。

「なぁ、アル。何か対抗策はねえのか?俺も古龍の好きにはされたくねえよ。」

「僕も同じ考えだよ、ラス。だけど、今のところ何にも考えが浮かばないんだ。」

「そうだ!陽龍ガムロスの力を借りるってのはどうだ?」

「そんなことできるわけ…ん?そういえば古記にはこんな一文もあったなあ。」

「なんだ?アル?」

「うん。古の都ロノフィンに住まう者は龍を使い、話せた。こんな伝承が残っているんだ。」

アルフレッド達に希望の光が見えた、その時だった。

「大変だ!ソルディム山地にいた古龍の様子が変だ!」

「なにぃ!?」

それは、十七年前の災厄のときも一緒の、龍の宴 開始の合図だった。


【第三話 -fin-】 
 

 
後書き
やあ(´・ω・`)
島原だよ

今回も戦闘シーンは少なめです。

というか戦闘シーンの書き方を島原はよく理解しておりませんw
ではでは 
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