IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
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『祭』 午前~正午
前書き
お待たせしました!
IS学園、学園祭当日。
一般の人は入れないけど各国のIS関係者、政府関係者、企業関連者の人はスカウト活動や人物を見極めたりするために無料で入れるようになっています。またその他に生徒一人につき入場チケットが一枚配られていて、外部の人を招待することが出来ます。まあそんなこんなで生徒以外のお客さんは結構大人の人の来場が多かったりするんですが私たちのクラスは別だったりします。
「ウソ! 1組であの織斑君の接客が受けられるの!?」
「しかも和服!?」
「とりあえず並ぼう話はそれからだ!」
教室の外から私たちの組の出し物の噂が流れているのが聞こえます。一夏さん(絶対)を含む私たち代表候補生組と箒さん、クラス内の希望者が接客、その他の人たちは調理、客引きを行っています。
「はぁーい、こちら現在2時間待ちとなっております!」
「学園祭の終わりまで営業していますから安心してくださーい!」
一夏さんの接客を受けられるという効果で宣伝効果はばっちり。客引き組のほとんどは列の整理組になっています。というより他のクラスのお客さん全部来てるんじゃないでしょうか? 2組、鈴さんの組も中国風の喫茶店、所謂「飲茶」ってことなんですけど閑古鳥が鳴いている状態でした。まあ他の組の人は一夏さんとほとんど接点をもつことが出来ませんしこれを機に、ってことなんでしょうけど……
1年1組出し物「大正浪漫」。古き良き時代の日本を舞台に、ってことですけど要するに日本の大正時代辺りの服装での喫茶店です。
接客組の格好は短い上着に腰より上で止めた赤の袴。日本人の方は袴姿で通じるらしいですが私の思っていた和服とは色々違います。何でも当時の女学生の着ていた服らしいのですが、髪も赤い私に似合っているかどうかは若干分かりません。というより似合わないのではないでしょうか。うーむ……
でも他の方々も同じ格好なので私だけが浮いているわけではないんです。箒さんは当然としてセシリアさんもシャルロットさんもラウラさんもとても似合っていますし……うむむむ。
「カルラおつかれー」
「あ、鈴さん」
聞きなれた声の方向にはチャイナ服姿の鈴さんが立っていました。どうやら一番でいらっしゃったご様子です。うわー、想像していましたけどこれは可愛いです。
「大盛況ね、半分客寄こしなさいよ」
「いやそれは無理なんじゃ……というより鈴さんだって一夏さん目当てでしょう?」
「う……そんなことはどうでもいいの! さっさと案内しなさいよ!」
「はいはい、それでは改めまして……お帰りなさいませお嬢様」
とりあえず一夏さんのいるテーブルに案内しました。まあ鈴さんはこれでよしっと。他の人たちが羨望と妬みの目で見ていたりするようですが私の知ったことではありません。
ちなみに一夏さんの上は茶色、下は黒い袴。ちょっとぎこちなさを感じるのは多分普段から着ていないからでしょう。
「カルカル~、次のお嬢様と旦那様だよ~」
「はーい」
ちなみにのほほんさんは入り口でお客さんを中に知らせる係です。のほほんさんはこの状態でも袖、袴がダボダボの状態のものをあえて選んでいるため、日本の教科書に載っているような十二単みたいになっています。そんなのですからあまり動かなくていい配置についてもらっているわけですが。
あ、でもそろそろ時間ですね。時計を確認してから私は近くの鷹月さんに話しかけます。
「すいません、言っておいた通り知り合いが来ているので迎えに行ってもいいですか?」
「うん大丈夫だよ。あ、ついでに宣伝の看板持って行ってね」
こういうところやっぱりしっかりしています。鷹月さんから1組の場所が書かれた地図と看板を渡されて私は苦笑いをしてしまいます。
看板を振り、地図を配りながら校門へ向かいます。携帯電話を確かめると不在着信の文字が光っています。っと、もう来ているはずですからここら辺にいるはず……
「おーい、カルラ! こっちだこっち!」
「あ、クロエ。そこで……す……か」
声のした方を向くと入り口近くの屋台に並んでいるクロエが見えました。青いワンピースを着たクロエはお世辞抜きで可愛いです。その両手に綿あめと焼きそばとたこ焼きとリンゴ飴の入った袋をぶら下げていなければ……
周りの人もそのギャップからなのかチラチラとクロエを見ています。
「いやー、日本ってのは料理が美味いな!」
「クロエ、まだ午前中ですけどそんなに食べるんですか?」
「食べ切れなかったら分けてやるよ」
私は溜息をつき、とりあえずクロエがタイ焼きを買うのを待ってから移動します。リース先輩の仕事に付き合ってもらうために午前中は自由に過ごしてもらうっていう約束で来てもらっていますし、しょうがないですね。ちなみに校門近くの飲食店は料理部ではなく準備期間が短くて済む3年生が主。料理部は部室で作った料理の試食会を開いているそうです。後で行ってみましょう。とりあえずは2組に行ってみましょう。クロエは食べるのに忙しいみたいですし勝手に決めます! そろそろ喉も渇くでしょうし。
というわけでやってきました一年二組。鈴さんの中華喫茶ですね。
「へいらっしゃい!」
「ちょっと、エリス! 居酒屋じゃないんだからそういうノリやめてくれる!」
出迎えてくれたのは鈴さんと同じチャイナドレスに身を包んだエリスさん。金髪碧眼の少女がチャイナドレスって言うのはまた新鮮です。隣が私たちのクラスのせいなのかお客さんはあまりいませんが待ち時間少なくて済みますね。
「えっと、とりあえず言っとくけど本格的なのはないから。喫茶店みたいなのって考えてもらっていいわ。はいこれメニューね」
「お勧めは東方美人だ。美味いぞ」
鈴さんに案内されてメニューを受け取り、エリスさんがお勧めを教えてくれます。候補生二人に同時に接客してもらうとか贅沢ですね。他の人も来ればいいのにもったいない。
「じゃあそれで、後スマイル一つ」
「クロエ……それどこで習ったの?」
「ん? 日本好きの友人が日本の店ではこういえばただで笑顔を見せてくれるって言ってたぞ」
間違ってない。間違ってないけど……何か違う。
「はい、お客様。これでよろしいでしょうか?」
そう言いながらエリスさんがニコリと綺麗な笑顔を見せてくれました。いや、やってくれるんですか。すごいです。私も見習わないと、絶対呆気に取られて流しちゃう。
「味わって飲みなさいよ」
「頂きます」
鈴さんが持って来てくれたお茶を一啜り。うん、香りもいいし味も甘いくて美味しい。
10分くらいでゆっくり飲み終えてから2組を出ます。
「クロエはどこか行きたいところありますか? パンフレット見てきましたよね?」
「フリーマーケット!」
「却下で」
「えええええええ!?」
フリーマーケットは学校側に先生方、生徒の不要になったものを預けてそれを直して使ってもらうというもので、体育館でやっているのですがクロエは絶対にそこには行かせません。
「その買い物癖は直っていませんね」
「むむむ……じゃあ、料理部の料理とか」
「さっきまで飲み食いしていて更にですか!?」
「いいじゃんかよ! この機会に日本料理に触れておこうって言う私の気持ちを察してくれ!」
う、まあクロエがいいならいいんですけど……でもさっきから食べてるのどちらかというと日本の主食っていう料理ではないんですが。
料理部は日本の伝統料理を扱っていて、複数ある保温装置の上のそれぞれの大皿には肉じゃが、おでんなどと言った日本が起源の料理がずらりと並べられています。でもお惣菜ばっかりでご飯とかはありませんね。
「おお~、美味そうだなあ!」
「ですね。私もお腹が空いてきました」
使用料さえ払えば後は立食のバイキング方式みたいですね。ただまだ午前中なのにお皿の半分くらいが空っぽなんですけどなんででしょう? 料理部の人たちも慌てて料理を作っては盛っていっていますし、少なく作ってしまったとかですかね。
「おお、やはり美味い!」
そんなことを考えているとクロエは既に近場に合ったおでんをつまんでいました。折角ですし私も。
そう思って肉じゃがのお皿の菜箸に手を伸ばそうとして、その菜箸が消えました。
「あれ?」
落としてしまったのかと思いキョロキョロと辺りを見渡すと、私の左隣りにいつの間に来たのか上杉さんが立って肉じゃがを自分のお皿に盛っているところでした。いえ、それは別に驚くところ……私の取ろうとしていた菜箸を目にもとまらぬスピードで横から取っていったのは驚きですがそうじゃなく、上杉さんの持つ小皿には肉じゃがが山と盛られています。もうどっちが元のお皿か分からない位盛る、盛る、盛る。そして崩れるか崩れないかの絶妙なバランスを保った山を築き上げると上杉さんは満足そうに頷いて菜箸を私に渡してくれました。
「あ、あの……上杉さん?」
「モキュモキュモキュ……モキュ?」
私の戸惑いの声に既に肉じゃがに手を付けていた上杉さんは『食べないの?』と言った風に顔を向けてきます。両方の頬をふくらまして口を動かしている様はまるでリスみたいで可愛いのですが、大皿の上は3分の1くらいがごっそり減りました。まさか料理部が忙しくしてる理由って……
「ムグムグムグ……」
「な、何でもありません」
「ゴクリ……そう」
私が何も用事が無いのを確認すると上杉さんは口の中の物を飲み込んで次を口に入れ始めます。
「おーい、カルラ。そろそろ次行こうぜ」
「は、はい」
クロエは一通り食べて満足したのかすぐに戻ってきました。私は、何か上杉さんの食べっぷりを見ただけでお腹いっぱいになってしまって何も食べませんでした。ちょっともったいなかったかな。
次にクロエが希望したのは新聞部のバックナンバーの展示でした。ちょっと意外でしたけどIS学園の過去の内容を知るには一番いいかもしれませんね。
「じゃあ私適当に周るよ。終わったら声かけるからさ」
クロエはそう言って近場のバックナンバーをあさり始めました。
私は先日見せてもらったばかりなので特に目新しいものも無く、背中を壁に預けて部屋の中を見渡します。新聞部の展示会場に入ると結構大人の人がいました。生徒のご家族とかもいるようですけど、ほぼ全ての人が胸の位置にIS企業関連の名札を付けている辺りやはりここはそういう関係の人が多いみたいです。
一通り見渡して、なぜか私の方に向いている顔を見つけました。
「あら、カスト候補生」
「う……お、トルスタヤ代表?」
夏休みに『保護』してもらったロシア空母にいた人物。ラリサ・アレクサンドロヴナ・トルスタヤ国家代表。左胸にはロシアの『ヴィクトム社』の代表という名札が刺されていて、プラチナブロンドの髪が黒いスーツによく映えています。空母の中での記憶から私は少しだけ身構えてしまう。
「ラリサで構いません。お久しぶり、と言うほどでもありませんね。腕の具合はいかがです?」
「お、おかげさまでもう大丈夫です」
私は綺麗に傷口の消えた右腕を見せながらそう答えます。
「そうですか。女の子の肌に傷が残るのはなるべく避けたかったら跡が残らなかったのなら幸いだわ」
ラリサ代表は傷のあった部分を自分の手で触って確認する。実はそんなに悪い人じゃないのかな。ただ仕事だったからそうしただけ、とか?
「おい! カルラから離れろ!」
「あら?」
「く、クロエ?」
部屋中に響く声に部屋の中にいた全員の視線がクロエに集中します。クロエはそれを気にする様子もなく大股で私とラリサ代表の間に入ってくると、私の腕からラリサ代表の手を振りほどきました。そう言えばクロエは銃を突き付けられましたもんね。私より良い印象を持っているわけがありません。
クロエは振り払った方とは逆の手で私の手を取ります。
「行くぞカルラ」
「あ、うん」
「またね、お二人とも」
「二度と会わないことを祈る!」
クロエは私の腕を持ったまま部屋の外へ出ました。あの、クロエ? そろそろ腕が痛いんですけど離してほしいなー、なんて……その思いが通じたのか目的の場所に着いたのかクロエが私の手を離してくれました。
「さってと……次どうすっかなあ」
「え、目的地無し?」
「いや、あいつから離れることしか考えてなかったし……」
ま、まあ私のことを思ってくれたって言うのは分かりましたからいいですけどね。
「あ、あの~……お暇でしたら1年4組の脱出ゲームに参加しませんか~?」
「お?」
後ろから掛けられた声に二人同時に振り向くとそこにはユリアさんが立っていました。そう言えばIS学園では合同授業以外でもユリアさんとはまともに会話したことなかったかもしれません。
「クリアできれば景品もありますしよろしければ是非」
「ふーん、2人とも候補生って分かっていてそういう誘いするってことは随分難しいゲームなんだね」
「い、一応クリアした人は出ていませんよ。まあ1年1組にほとんどお客さんが行ってるっていうのもありますけど……」
「す、すいません」
「あ、いえ。カルラさんが謝ることでは……こちらこそ愚痴みたいなこと言ってしまってすいません」
私が軽く頭を下げるとユリアさんはワタワタ慌てて私より深くお辞儀をしてしまいました。
「じゃあまあ参加してみるか。案内してくれ」
「は、はい」
ユリアさんに案内されて4組の教室に入ります。「脱出ゲーム」と簡潔に書かれた看板。迷路かなと思って中に入ると教室は簡素な壁で区切られた狭い通路になっていました。何故か壁がビニールでコーディングされていますけどやっぱり迷路……
「えっと、このパーテーションで区切った通路を教室の後ろの扉まで抜ければクリアになります。ちなみにどのルートを通っても後ろの扉に着きます」
じゃない?
「迷路じゃないんですか?」
「はい、通路には様々なペイント玉を炸裂させる罠が仕掛けられていますので、それを浴びずに出口までたどり着いたらクリアとなります。服が汚れるといけないのでこれを上に被っていってください。それではお気をつけて」
そう言って雨具を手渡され、私たちは通路に入ります。通路は人一人より少し広いくらい。入ってすぐに通路が3つに分かれました。
「とりあえず真ん中行くか」
「お任せします」
お客さんはクロエですしね。私が先に、クロエが後ろで通路に入り……
「待った!」
「え!? な、何!?」
足を踏み出そうとした瞬間クロエに思いきり肩を引っ張られました。何事かと思って私がクロエの方を見るとクロエは屈み込んで何かを調べています。これって……
「わ、ワイヤートラップ!?」
「だな、パーテーションの後ろにペイントが仕掛けてあるんだろう。」
クリア者いないって言った意味が分かりました。こんなの素人には分かりませんよ。更に雨具で視界悪いですし……あ、だから雨具。なんて用意周到な……
ワイヤーをまたいで進むとその先にもいくつものワイヤートラップが仕掛けてありました。足元ギリギリ、膝上、腹部、はたまた首の位置に至るまで。クロエがいなかったらとっくに引っかかっていたかもしれません。
ようやく出口が見えてきました。
「ようやく到着ですね」
「ああ、まったくIS学園ってこういうのも教えるのか?」
「爆弾の解体の仕方とかは教わりましたけど……」
「案外物騒な学校なんだな……」
そう言って慎重に出口に足を進め、もうすぐたどり着くというところで……
ピリリリリリリリリリリ!
突然頭上から携帯電話の着信の音が聞こえ、私とクロエは同時に見上げてしまいます。
そこにはペイント玉に仕掛けられた携帯電話を元とした起爆装置が……
「IED(即席爆発装置)か!」
「う、嘘でしょう!?」
次の瞬間にはパン! という破裂音と共に顔にどろどろのペイントをぶちまけられました。どうでもいいけどですけど何で白色……
「はーい、お疲れ様でした。これ、参加賞のうめえ棒ね」
「ていうかIEDはずるいだろ。あれじゃ通りかかった瞬間爆発させられるじゃないか」
「んー? 解除装置代わりの携帯隊電話がね、その最後の曲がり角の頭より上の置いてあるんだ。皆ワイヤーしか見ないからよく引っかかってくれるよ」
「くっそー……」
出口に着くとペイントを落とす用の桶が置いてあり、そこで顔に着いたペイントを落としました。クロエの抗議もむなしく要求は却下。時間的にも丁度いい時間ですね。
そろそろ整備室の教室に向かいましょう。
「クロエ、そろそろ」
「ああ、もうそんな時間? ちえ、遊び足りないな」
「約束は約束ですよ」
「分かってるよ、案内して」
クロエは渋々私の後に続きました。整備室の前にはこれまた大勢の人が集まっていました。2、3年生から教師陣、IS企業関連の人々が展示内容を見ています。その中でもひときわ人が集まっているのがブースで行われているIS展示会。今は『ラファール・リヴァイブ』の高速機動仕様を纏った整備科の人がいます。
「よーお、来たな」
「あ、リース先輩」
「お久しぶりです、リースさん」
「おお、クロエか! なんだ、カルラの言ってた宛ってクロエのことだったのか」
「ええ、まあ」
いつも通りジャージ姿のリース先輩が私たちを見つけて声をかけてきました。
「んじゃ、こいつは預かるよ。何、悪いようにはしないさ」
「人を物みたく言わんでください」
「よろしくお願いします」
「カルラも反論しろよ!」
「ほれ行くぞー」
クロエはブツブツ文句を言いながらもリース先輩に着いていきました。さて、そろそろ私も戻って仕事を手伝わないといけませんね。
教室に戻ると相変わらず大盛況のようです。
「お疲れ様です」
「あ、カルラさん。丁度良かった。お客さんからご指名よ」
「へ?」
一夏さんじゃなくて私が?
鷹月さんに促された席を見てみるとそこには…………赤髪無精髭のスーツ姿の大男と言う私の父さんが座っていました。
「と、父さん?」
「おーう、カルラ。来てやったぞー!」
いや正直一番来てほしくない人が座っていました。父さんもIS関連職員ですし来る可能性はありましたけど、まさか本当に来ているなんて。
「娘の折角のイベントだ。来ないわけが無かろうが」
「いえ、まあいいですけど……母さんは?」
「あいつは来られん。忙しくてな」
「手伝ってあげようよ」
「まあまあ、そう言うな。折角来たんだ。他の客と変わらんように頼む」
うう、身内相手とかすごいやりづらいけど……しょうがない。無心無心無心……よし! 吹っ切れた!
私は袴の前で両手を合わせて軽く会釈をする。
「お帰りなさいませ貴方様。本日はいかがいたしますか?」
あれ、父さんの反応が無いんですけど……
顔を上げると父さんは何故か難しい顔をしてこめかみを抑えていました。
「あの、貴方様? 如何いたしましたか?」
「カルラ、それ全員にやっているのか?」
「え、あ、うん」
「男にも?」
「そうだけど……」
女の人にはお嬢様だけど、男の人にはこっちの方が受けがいいからとかなんとかでこういう挨拶に決まったんですよね。
「カルラ、来た客を覚えているか?」
「そ、それは流石に……」
「そうか……とりあえずアイスコーヒーを頼む」
「はい、少々お待ちくださいね貴方様」
何だろう。覚えていたら今までのお客さんが偉いことになるような気がしてなりません。
その後しばらく父さんはケーキやら一通り頼んだ後教室を後にしました。うむむ、何か不安でなりません。変なことしなければいいんですけど。
「あ、そう言えば……」
生徒会の出し物っていつでしたっけ。劇で演目はシンデレラでしたよね。一夏さんも出る予定ですし、時間があれば見に行きましょう。
後書き
ちょこちょこ人が出てきます。しかし貴方様って……センス無いですね自分。
誤字脱字、表現の矛盾、原作流用部分の指摘、感想、評価等などお待ちしてます 。
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