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八条学園怪異譚

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第三十七話 テケテケその七

「それじゃあ今から」
「ゆっくりと」
 こう話してそうしてだった。
 二人派鉄道博物館の中にあるブルートレインの車両の中で眠り妖怪達はその間適当に遊んでいた、そして十二時になり。
 口裂け女がだ、車両の席でそれぞれ横になり毛布を被って寝ている二人の傍に来てこう言った。
「あたし綺麗?」
「ああ、十二時ね」
「時間ね」
「そこで美人とか違うとか言って欲しかったね」
 口裂け女は起き上がった二人に笑って返した。
「洒落を利かせてね」
「だって、そうしたらこれでも美人かってマスク取ってでしょ」
「驚かせるでしょ」
「そうだよ、それをしたら一発で目を覚ますよ」
 すぐにだというのだ。
「だからいいんじゃない」
「起きる時は静かに起きたいから」
「だからいいわ」
「えっ、じゃあラッパを鳴らすのも?」
「総員起こしも駄目なの?」
 口裂け女の後ろには花子さんとテケテケもいる、二人はそれぞれラッパを手にしてスタンバイしている状況だった。
「朝ってこれだと思うけれど」
「日下部さんみたいにね」
「だから私達海軍じゃないから」
「お店の娘だから」 
 二人は妖怪達に答える。
「普通に起きてお店の厨房に入るのよ」
「パン焼き窯に向かうから」
 二人はもう完全に起きていた、寝起きはかなりいい。
 それで立ち上がって毛布を畳んでからだ、テケテケに尋ねた。
「それでこの毛布だけれど」
「誰がかけてくれたの?」
「私達そのまま寝たけれど」
「誰が何処から出してくれたのかしら」
「ああ、私よ」
 テケテケがここで二人に答えた。
「私が持って来たのよ」
「ああ、そうだったの」
「あんたがだったの」
「夏でもね、身体を冷やしたらいけないからね」
 だからだというのだ。
「特に女の子はね」
「子供を産むからっていうのね」
「それでなのね」
「そうよ、男の子もそうだけれど女の子は特にね」
「身体を冷やすな、ってことで」
「それで毛布をかけてくれたの」
「そうよ」
 こう二人に話す、そして二人もテケテケのその話を受けてだった。
 頭を深く下げてだ、こう言った。
「有り難う」
「お陰で気持ちよく寝られたわ」
「それならいいわ、じゃあね」
「今からね」
「泉の候補地に行くのね」
「そうしよう」
 こう笑顔で言ったのだった。
「皆でね」
「じゃあ今からエスエルのところに行くのね」
 花子さんが言う。
「そうするのね」
「そうよ、じゃあ行こう」
 テケテケは車椅子から答える。
「小さな鉄道旅行にね」
「そういうことでね」
 こう話してそうしてだった。
 五人はブルートレインの車両があった博物館の中からその外、博物館の庭に出た。そこにそのエスエルがあった。 
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