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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第30話 新学期が始まる前に

 春休みが終わる。

 今期は4月6日(月)から始まり、4日(土)に新学期に向けての職員会議があるので、4日の朝、麻帆良入りしている。ちなみに14時から始まり、会議の終了後、新任の先生の歓迎会を兼ねた夕食会があるらしい。
 午前中の内に女子寮の管理人室を空け、こっそりと千雨と木乃香に土産を渡しておいた。
 その後、エヴァのログハウスを訪問し、こちらにも土産を渡した。
 熱田の銘酒「鬼ごろし」を渡したのはちょっとした洒落だったが、結構うけた。



 その時話しに出たのだが、エヴァは学園長からネギと戦ってくれと依頼されたらしい。

 ………。そういや、新学期早々そんなバトルがあったかも………。

 学園長はエヴァの登校地獄の呪い無力化しているのを知らない。
 正確には、エヴァの呪いは既に正常化しており、このまま中等部を卒業すれば、問題なく麻帆良から自由に出れるようになっているのだ。
 これは東洋一と言われる木乃香の魔力を使って、木乃香に修行がてらやらせたのだ。この辺は変換資質「回復」を持つだけあって、時間はかかったが成功した。まぁ、木乃香は呪い自体を解呪して今すぐ呪いから解き放ちたかったみたいだが。

 学園長からは「解呪には身内の血が~」とかほのめかされたらしいので、エヴァが解呪のためにネギの血を狙うことでネギに戦闘経験を積ませたいのだろう。なんだかんだ言ってエヴァは女子供に甘いので、学園長の管理下での戦いなら酷いことにはならないと踏んでいるんだろう。

「なんで私があんな半人前以下の魔法使い見習いの相手をせんと如何のだ」

 エヴァは少々お冠だ。
 一応返事は保留にしてあるらしい。まったく話しに食いつかないのも呪いが無力化しているのがバレるかもしれないので、そういう風にしたらしい。

 まぁ、こちら(中部魔術協会会員)としては一般人に被害が出なければどうでもいいんだが。

 ただまぁタイミングが良いと言えば良いこともある。

「どういうことだ?」

「つまり、エヴァの魔力が抑えられているのは麻帆良大結界のせいで、近くメンテナンスで一時的にダウンさせやすくなる」

「つまり?」

「一時的に魔力が戻ったところで、小芝居をしつつ結界の効果を人形に移す」

「なるほど。ダウンしたのが正常に戻っても私の魔力は元のままというワケか」

「そんなとこだね」

「ふはははは。いいな、それは。ついでだから見習い相手をする条件にその辺を加えといて、全て爺のせいにしてやるか」

「あー。ご自由に」

 学園長なむー。

「一つだけ良いかな」

「なんだ?」

「ネギと戦うのは良いけど、一般人は絶対に巻き込まないようにして欲しい」

「何を言っている。私は「誇りある悪」だぞ。そんなことはせん!」

「なら良いけどー。例えば、魔力の補給とネギへの挑発を兼ねて3-Aの一般人のクラスメイトを襲うとかもダメだぞ」

「も、もちろんだ」

 あ、目を逸らしたな。多分するつもりだったんだろう。

「まぁ、いっそ学園長に魔法関係者を襲う許可でももらったとくんだね」

「くくくく、それは面白いな。いっそ木乃香でも襲う許可をもらうか。魔力を回復する程度に限定する契約にすれば、案外あの爺許可するかもしれんな」

「あー。あるかもなぁ。なんだかんだ言って、木乃香をこちら側に関わらせる気満々っぽいしな」

「そうだろう、そうだろう。ところでお前はどうなんだ?」

「オレ? 木乃香次第だが、木乃香が納得しないのに襲うなら、エヴァンジェリン、オレも相手になるよ」

「ふん。そうか。まぁいい。木乃香や千雨を襲うなら事前に確認を取ることを約束しよう」

「あぁ、そうしてくれ」

 意外と言ったら失礼だが、一応オレ達のことは気に入ってくれてるらしい。

 こうして午前中の土産渡しを終え、午後からの職員会議に出席した。





  ☆  ★  ☆  





 く、空気が重い………。

 職員会議は始めから空気が重かった。

 何故なら教育実習生のネギが、いつも通りいないからだ。

 よくわからんが、3-Aの雪広の家に家庭訪問しているらしい。

 もちろん、3-Aの新担任である新田先生になんの確認も取らずにだ。

 一応、学園長が「ワシが許可したんじゃよ」とか苦し紛れのフォローをしたが、当たり前だが誰も納得していない。最初からの流れで見ている分、職員会議をサボって雪広宅に遊びに行ったネギを無理矢理誤魔化しているのはバレバレである。
 ネギに期待していたはずの魔法先生達にもあきらめムードが漂っている。

 結局、そんなことも踏まえて、3-Aの担任を新田先生、副担任をオレ、副担任見習いにネギ、ネギの指導教員に学園長が決まった。

 3-Aの副担任なんか、やりたくなかったが、新田先生に頭を下げられてしまい、やるしかなくなった。学園長だけが相手なら絶対にやらなかったのに………。

 実際、今期、新田先生は学年主任をやらず、引継業務もしていたんだが、結局「学園長を相手にして、曲がりなりにもそこそこ言うことを聞かせられるのは新田先生しかいない」、ということで、新田先生以外の23人のクラス担任が全員頭を下げて新田先生に頼み込み、その後学園長に直訴し、再就任となったらしい。

 もちろん、3-Aの副担任を受けるに当たって色々条件を設けた。

 主にネギ関係だ。

 基本方針として、ネギについては指導教員の学園長に一切合切任せるとし、今回のように会議をサボったり、学校や授業に遅刻するなどした場合、いないものとして無視することにし、絶対に新田先生共々フォローしないこととした。

 周りの先生は若干顔を引きつらせていたが、意見を言ってきた先生に「じゃぁ、替わってください」と笑顔で言ったら、モゴモゴ言って引き下がった。

 ………、替わってくれたら良かったのに。

 なお、朝の職員会議にも出ないようなら、担当の英語--と言っても3-Aしか受け持ちがないが--以外、ホームルームにも出なくて良いと決定させた。
 「さすがにそれは厳しくないか………」とか言う先生もいたが、「じゃぁ、替わってください」と笑顔で言ったら、以下略だった。

 後、「一身上の都合でこの春休み中に名前が変わった」と報告し、サギ・スプリングフィールドから遠坂(とおさか)(あきら)に呼び方や書類を変えてもらい、「義姉(あね)と一緒に住むことになったから」と女子寮の管理人室を出て、戸建ての住まいに住むことも併せて報告した。

「ふぉ?」

 とか、学園長は慌てていたが、一切無視した。
 ついでに源先生経由でネギに管理人室に住むように伝えてもらい、部屋の鍵も渡した。

 学園長はそれを聞いて猛反対していたが、オレ以外の先生から「先生と生徒が同じ部屋に住むのは………」と至極まともな意見が出たことによって沈黙した。「子供を1人で住まわせるのは………」という意見もあったが、「じゃあ、貴方が一緒に住めば? そもそも同僚ではなく、生徒に負担をかけさせてる今の方がおかしいでしょう」というのと「何故新学期に移るに当たって改善しなかったのか」という意見の前に撃沈していった。

 ま、これで神楽坂のストレスも少しは減るだろう。

 管理人室と言っても同じ寮内なんだから、3-Aの生徒らがなんだかんだ言ってネギをフォローするだろうから、餓死とかはしないだろう、多分。

 ま、遅刻は増えるだろうけど。 
 

 
後書き
千雨のコスばれイベントはネギの謹慎で消滅、鳴滝姉妹との散歩、雪広宅家庭訪問は順調?にネギが消化、木乃香のお見合いイベントは暁の密告で消滅、となっています。
次回、桜通りイベントです。
問題起こしまくり、反省が見受けられないネギは魔法先生達からも見捨てられるようになってきました。 
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