勇者指令ダグオンA's
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第十九話 夢の重み
「ここは?」
力が目を覚ましたのは近未来的な施設の病院の一室だった。
「くっそ!!」
力は重い身体を起こしたその時あることに気づいた。
「ダグコマンダーが無い!」
第十九話 夢の重み
(どこだ!!?俺のダグコマンダー!!)
力は必死にダグコマンダーを探したが見つからないそして病室にシャマルが入ってきた。
「力君!動いちゃ駄目よ!!まだ完全じゃないのよ」
「シャマルさん!それどころじゃねえ!!俺のダグコマンダーが!!」
「大丈夫ダグコマンダーは大丈夫・・・」
「・・・知ってるんですね・・・俺のダグコマンダーの場所」
シャマルは力から視線をそらした。
「教えてください!!!ダグコマンダーが変なやつの手に渡ったら!!」
「ちょっと落ち着いて・・・あんなことがあったのよ」
超勇者合体の余波。力と飛鳥に起きた身体の変化。力は察した。
「あいつは今どこにいますか・・・」
その頃、はやてはブレイブリキのことを考えていた。
(俺は六人目のヴォルケンリッター!ブレイブリキだ!!)
(主!命は預けたぜ!!)
(俺大きくなったら、はやての家来になってずっと一緒にいるよ!!)
はやての手には力のダグコマンダーが握られていた。
「馬鹿やで・・・そんなしょうも無い約束忘れないなんて・・・馬鹿や・・・」
はやては力のダグコマンダーを握り締めていた。ただの高校生が自分のために共に戦い時には身を犠牲にし、挙句の果てには自分を最大限に犠牲にする行為をした。
「馬鹿は私や・・・なんで気づかへん・・・主失格や・・・いや・・・友達として最低や!!」
はやては力のダグコマンダーを胸に閉まった。
「これでもう力君は戦えない・・・これで良いんや・・・もう力君は戦わなくて良いんや・・・」
はやてはそれだけを思い管理局の廊下に出るとそこには力の姿があった。
「力・・君」
力は何も言わずに手を差し出した。
「返せよ・・・俺のダグコマンダー」
力の剣幕に押されそうになる、はやてだが
「・・・やや」
「なに?」
「嫌や!!もう力君があんな姿になるのは見たくない!!!」
力と飛鳥が管理局の医務室に運ばれたとき凄まじく衰弱していた。今まで共に戦ったダグオンの一人が力とわかった、はやては取り乱してしまった。その姿を見ていたヴォルケンリッター達は何も言うことができなかった。
「ウチなんかの為に・・・力君があんなめにあわなくてもええんや」
「はやて・・・」
力は、はやてに手帳のようなユニットを投げ渡した。
「これは・・・」
「超勇者合体の発動キー・・・まあダグコマンダーツヴァイとでも言っておこうか」
「超勇者合体!!」
そのキーワードに蘇る絶大なパワーと操縦者への代償。そして恐怖。
「超勇者合体はお前に預ける。お前が要請すれば俺たちはいつでも超勇者合体をする」
ダグコマンダーツヴァイを持つはやての手が震えだした。
「できない・・・力君や飛鳥の命を使うなんて・・・できない!!友達の命を代償にさせるなんて」
その瞬間、力の表情が変わった。
「お前・・・夢があるんだって?」
「え?」
「甘ったれんな」
力の鋭い言葉が、はやてに突き刺さった。
「そんなに超勇者合体を背負うのが怖いか?それとも友達の命を預かるのが怖いのか?超勇者合体・・・確かにあれは危険だ・・・だがお前の今やろうとしていることの現実でもある。友達であろうとなかろうと人の命を背負わなくちゃいけない・・・そして日々命の危険の境をさまようことになる・・・俺の命を背負えないお前がそれを背負う覚悟があるか?」
力の言葉にはやては言葉を失う。
「俺は勝手にお前に命を預けた。それは俺が勝手に決めたことだからな。だけどな見ず知らずのお前に命を預けなくちゃいけない奴等も出てくる。そしてお前のやりたいことはそいつらの命も背負わなくちゃいけないんだ・・・命を背負う覚悟が無いなら・・・管理局を辞めろ!!」
それだけ言うと力は、はやての前から立ち去った。
愕然としている、はやて。
「ちょっと言い過ぎなんじゃないの?」
力の会話を聞いていた飛鳥は言った。
「良いんだよ。少しきつく言われたくらいで。大体な・・・あいつはあんな事で潰れる奴じゃない」
「さすが家来」
「お前良いのか?俺の勝手につき合わせて」
「良いって。あたしもあの子なら命を預けてみようかな」
「ウチは・・・ウチは・・・・」
突然のことに戸惑うはやて。ダグコマンダーツヴァイの恐ろしさに捨ててしまおうとも考えた。だが出来ない。
(・・・どうすればええんや)
すると管理局の警報が響いた。エイリアン襲来の合図だった。はやてはルシファードに乗り込むとヴォルケンリッターを待たずに緊急発進した。
『チェンジ!ルシファード!!パルサーカノン!!』
ルシファードのパルサーカノンが発射されるがエイリアンに効いていない。
『うああああああああああ!!』
ルシファードのはやては吹き飛ばされてしまった。
『主!!』
『はやて!!』
2体の新幹線、救急車、ドリル戦車、鷹が応援に駆けつけた。
『みんな!合体や!!』
『主!!』
『はやて!!落ち着けって!!』
『はやく合体や!!八神ファミリー!!フォームアップ!!!』
はやての焦りを感じたのかヴォルケンリッターは合体フォーメーションに入った。
『超古代合体!ゴッドファルビリオン!!』
すると全デバイスが生成された。
『デバイス合体!!エクスカリバー!!』
ゴッドファルビリオンがエクスカリバーを構えると一心不乱に振り回した。エイリアンには全く当たっていない。カウンターでゴッドファルビリオンが痛めつけられる。
「主!私に代わってください!!」
近接戦闘に適したシグナムがチェンジを要請するが、はやては聞く耳を持たない。
『はああ!!』
エクスカリバーを振り回すゴッドファルビリオン。だがその太刀筋は焦りと迷い、そして恐怖の塊だった。
(ウチがもっと強ければ力君や飛鳥に負担をかけないで済む!!ウチが強ければ!!ウチが強ければ!!!)
『はあああああ!!!』
動揺するゴッドファルビリオンがエイリアンの一撃を食らい吹き飛ばされてしまった。
『うああああああああああ!!!』
近づいてくるエイリアン。その時爆音が響いた。
「ブレイブスパーク!!」
ブレイブエラゴのライト部分から光線が発射された。
『力君!!』
上空からウィザーウインガーも飛来した。
『飛鳥!!』
『魔導合体!!』
ウィザーウインガーが人型に変形すると胸部が展開した。ダグウィザーが乗り込むと胸部が閉じ瞳が淡い緑色に光った。
『ウィザーダグオン!!』
ゴッドファルビリオンの前に降り立つウィザーダグオン。
『はやて!大丈夫!?』
『なにしにきたんや!!邪魔や!!』
『はやて?』
ウィザーダグオンに向かってはやては怒りをあらわにした。
『うち等だって戦える!!力君や飛鳥だけに重荷を背負わせるわけにはいかない!!』
『あんた!まだそんな事!!』
『そんなことやない!!ウチは・・・ウチは!!!』
その時渇いた音が響いた。シャマルがはやてに平手打ちをしていた。
「シャマル・・・」
「・・・いい加減にして!力君と飛鳥ちゃんが今までどんな気持ちで戦ってきたか考えて!!はやてちゃんが覚悟してた様に力君だって覚悟してた。確かにきっかけは子供の頃の約束かもしれない!けど力君は今まで自分の意思で戦ってきたはずよ!」
「はやて・・・」
ブレイブエラゴからゴッドファルビリオンに通信が入った。
「俺は後悔なんてしていない・・・俺は俺の意思でそう決めた」
力は手を差し出した。
「俺のダグコマンダー・・・返してくれ・・・家来・・・いや・・・仲間として」
「力・・君・・・馬鹿や・・・前から思ってたけど・・・力君は大馬鹿や!!」
「へ・・・確かに俺は馬鹿だよ・・・けどな・・・馬鹿は迷わねぇ!自分の信じた道を自分の意志でどこまでも突き進める!」
「!?」
力の言葉に何かを吹っ切ったはやてはゴッドファルビリオンから降りると力のダグコマンダーを渡した。装着しようとした力だが、はやてが止めた。
「はやて?」
「絶対に自分を犠牲にして戦わないこと・・・良い?」
「わかったよ」
そう言うと力はダグコマンダーを装着した。
「トライダグオン!!」
はやての目の前で力の身体に水色のダグテクターが構築されフルフェイスのマスクが装着される。
「ブレイブリキ!!勇者合体!!」
ブレイブローダーが人型に変形するとブレイブエラゴが装填され瞳が淡い緑に光る。
『ブレイブダグオン!!』
ブレイブダグオンが完成すると、はやてもゴッドファルビリオンに乗り込んだ。
「みんな・・・ごめん!!」
ヴォルケンリッターに頭を下げるはやてだが。
「戻ってきたな・・・はやて」
「おかえりなさい」
「みんな・・・ただいま!」
『おい!和んでる場合じゃねえぞ!!』
『了解や!!』
ブレイブダグオンの叱咤にゴッドファルビリオンが構えた。
『じゃあ復帰早々!あれやるか!!』
『良いねえ・・・やるか!!はやて!!』
『・・・わかった』
はやては意を決したようにダグコマンダーツヴァイを起動させた。
『超勇者合体!起動!!力君!飛鳥!合体や!!』
『『おう!!』』
ダグコマンダーツヴァイのコールにブレイブダグオンとウィザーダグオンが合体体制に入った。
『『超!勇者合体!!』』
ブレイブダグオン、ウィザーダグオンが天に舞い上がった。
『『はあああああああああああああああああああああ!!!!』』
獅子と不死鳥がひとつになりブレイブダグオンを中心にウィザーダグオンが鎧となり新たな姿が組みあがっていく。
『ぬううううううううううううう!!!!』
『はあああああああああああああああああ!!』
力と飛鳥の全細胞に力が湧き上がってくる。瞳が淡い緑に輝き誕生した姿。
『『グレェェェェェト!!!!ブレェェェェェェイブ!!!ダグゥゥゥゥゥオン!!!!』』
完成したグレートブレイブダグオン。
『ブレイブソード!!飛鳥!!』
『おう!!』
ブレイブソードにミッド、ベルカ式の魔方陣が展開されていく魔力と力が収束した。
『はやて!合わせろ!!』
『おう!!』
ゴッドファルビリオンがエクスカリバーを構えた。
『ラグナロクザンバー!!』
『ブレイブソォォドクラッシュ!!!』
グレートブレイブダグオンとゴッドファルビリオンの一閃がエイリアンを切り裂いた。
『グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
エイリアンは十字に切り裂かれ爆発した。あとにはグレートブレイブダグオンとゴッドファルビリオンが立っていた。
「ふぅ~終わった~」
合体を解除した力と飛鳥だが突然力がもつれた。
「あれ・・・」
すると、はやてが力の肩を持った。
「・・・はやて」
「全く・・・病み上がりであんなことするからや」
「悪い」
力はそのままはやての肩を借りながらメディカルルームまで行った。飛鳥もシャマルとザフィーラの肩を借りていた。
(ウチ・・・絶対背負ってみせる・・・わからないけど絶対わかってみせる!!)
はやてはダグコマンダーツヴァイを握り締めながら深く決意した。
一方、再び超勇者合体をした力と飛鳥はメディカルルームに居た。
「ところでさ」
「なんだよ」
「良いの?はやてにあんなインチキコマンダー渡して」
実は力がはやてに渡したのはただの通信機だったりする。それはどっかの風のような通りすがりの人が置いて行ってくれたようであるが、素顔も性別も見ていないので誰かわからなかった。
「いいじゃねえか・・・力に溺れたくねえし・・・あいつなら間違いおこさんだろう」
力に飲まれ生死の境を彷徨っている北斗の姿を力は思った。
「それ言えてるかも・・・ちょっと寝るわ・・・」
「じゃ俺も・・・」
そう言うと力と飛鳥は眠りに着いた。
後書き
ええ!?ザフィーラのとっつあんが家出した?なんで?ああ、こんなときに限ってはやては居ないし、どうしよう!?
次回!勇者指令ダグオンA’s ザフィーラの家出
とっつあんどこよ~
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