真似と開閉と世界旅行
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続く崩落~
前書き
なんかもう、色々と日々が嫌になってきた・・・ではどうぞ。
俺達はアスターさんの屋敷に向かう。・・・封鎖されまくって先に進めないのだ。
「これはルーク様!ナタリア様も!お二方とも亡くなったとの噂が飛び交っておりましたから。こうして再開できて幸せでございますよ。ヒヒヒヒヒ」
ジェイドが口を開く。
「実はあなたに頼みたいことがあるのですが」
「エンゲープの住民を受け入れることでしたら、先ほどイオン様から依頼されました。ご安心を」
「よかった・・・」
「助かります。ありがとう」
「どういたしまして。イヒヒ」
・・・笑いかたはともかく、悪い人ではないようだ。・・・確か、前に来たときは別行動を取っていたからな・・・
「ところで、ザオ砂漠で何かあったのか?」
「これはお耳が早いことで・・・ちと困ったことになっております。地震のせいか、ザオ砂漠とイスパニア半島に亀裂が入って、この辺りが地盤沈下しているのです」
「それって、もしかしなくても!」
「崩落・・・!」
アニスの言葉に愛依が答える。・・・事情を話すと、アスターさんはすぐに俺達を信じてくれた。・・・ジェイドが言うには、上手くパッセージリングを操作して、昇降機のようにケセドニアを降ろす。俺達はパッセージリングがあるであろう・・・ザオ遺跡に向かう。
「・・・いてぇ・・・!」
ルークが頭を抑える。
「・・・オア・・・シ・・・ス?」
「また例の頭痛か?確かアッシュの声が聞こえるんだったな」
ガイが確かめるように聞くと、ルークは頷く。
「・・・ああ。俺、あいつのレプリカだから」
「アッシュ・・・!アッシュは何て言っていましたの?」
「え・・・うん・・・砂漠のオアシスへ来いって。話があるってよ」
「兄さんが裏で糸を引いているんじゃないかしら」
「それはどうでしょう。一概にヴァンの味方とは考えにくい」
「オアシスへ寄ろう。アッシュの話を聞いてからでも、セフィロトの制御は間に合う筈だ」
俺達は砂漠を進む。
「暑・・・」
愛依が流れる汗を拭う。
「平気か?」
「ああ・・・」
「また俺の影に入るか?」
すると愛依は顔を赤くして腕をブンブン振りだす。
「ぜってーヤダぁ!」
「そ、そんなにムキになるなよ」
「何やってるんだか・・・撫子?」
「・・・うー・・・」
黒羽が声を掛けるが、撫子はフラフラとゾンビのように歩いていた。
「撫子・・・暑いのもダメなのか?」
「・・・気温が偏ってるのは苦手です・・・」
「あはは・・・」
そんな会話をしている内に、オアシスにたどり着く。
「やっと来たか・・・」
アッシュが俺達を見つけ、話し出す。
「話ってなんだよ」
「何か変わったことは起きてないか?意識が混じり合って、かき乱されるというか・・・」
「はぁ?意味わかんねぇ・・・お前が俺との回線を繋いでこなければ、変なことは起きねぇし・・・」
「・・・そうか」
ナタリアがそんなアッシュを心配そうに見る。
「アッシュ。何かありましたの?どこか具合が悪いとか・・・」
「・・・別に」
「おい、それだけかよ」
ガイの言葉に耳を貸さず、アッシュは続ける。
「・・・エンゲープが崩落を始めた。戦場の崩落も近いだろう」
「何だって!?」
「このままでは戦場いる全員が・・・」
黒羽と撫子が言うが・・・
「馬鹿野郎。ここにいたらお前らも崩落に巻き込まれて死ぬぞ!」
「そんなことわかっています。ですから私達はセフィロトの吹き上げを利用して、ケセドニアを安全に降下させるつもりですの」
「・・・そんなことができるのか?」
「さあ?」
「おいおい、ジェイド・・・」
「食えない野郎だ」
俺が呆れてため息を吐くと、アッシュは話し出す。
「もし今の話が本当なら、同じ方法で戦場も降下させられるんじゃないか?」
「でも、シュレーの丘まで間に合うか・・・」
「間に合う。そもそもセフィロトは星の内部で繋がっているからな。当然、パッセージリング同士も繋がっている」
・・・アッシュが言うには、一度起動させれば、他のパッセージリングからでも操作ができる・・・つまり、ザオ遺跡のパッセージリングを起動すれば、シュレーの丘のパッセージリングも操作できるという訳だ。そしてアッシュは去ろうとして・・・
「アッシュ!どこへ行くのですか?」
「俺はヴァンの動向を探る。奴が次にどこを落とすつもりなのか、知っておく必要があるだろう。・・・ま、お前達が上手く降ろせなければ、俺もここでくたばるんだがな」
「約束しますわ。ちゃんと降ろすって!誓いますわ」
「指切りでもするのか?馬鹿馬鹿しいな」
「アッシュ・・・!」
「世界に絶対なんてないんだ。だから俺はあの時・・・俺は行くぞ。お前らもグズグズするな」
そしてザオ遺跡に到着して・・・
「パッセ~ジリング~♪パッセ~ジリング~♪」
アニスが走っていく。
「緊張感が皆無ですわね」
「はは、いいじゃないか。・・・それより、アッシュの言葉をそのまま信じて大丈夫なのか?」
「アッシュのことを信じられませんの?」
「いや。ただ罠じゃないかと思うことはある」
「確かに・・・可能性は否定できないわ」
「まあ、パッセージリングの性質を考えれば、正しいとは思いますよ。ただし、彼なりに私達を利用しているのも確かですがね」
「・・・今は外殻大地を無事に降ろすことだけを考えようぜ」
「(随分丸くなったことで・・・)・・・ん?」
その時、愛依が固まっているのに気がついた。
「怖くない怖くない怖くない・・・」
「・・・(キュピーン)」
止めればいいのに俺は余計なことを思いつく。
「暗くない怖くない暗くない怖くない・・・」
「・・・(そろー)」
ゆっくりと愛依の背後に近寄り・・・
「わっ!」
肩を叩きながら大きい声を出すと・・・
「きゃあああ!」
・・・そんな、予想外の悲鳴と共に愛依が跳び跳ねる。
「・・・」
「・・・さ、咲ぃ・・・!」
愛依が涙目になりながら睨んでくる。・・・いかん、マジで予想外なんだが。
「えー・・・あー・・・」
「・・・!」
「あ・・・あはは・・・随分可愛い悲鳴だったなー・・・なんて」
「・・・ッ!!!」
・・・直後、顔面に衝撃が訪れ、俺は星を見るはめになった・・・
「うぅ・・・」
赤く腫れた頬を擦る。
「今の行為はどうかと思うわ」
「もう少し女性の扱いを学んだ方がよろしくて?」
「サキ、さいってー」
「咲さん・・・愛依は本当に怖がってるんですよ?」
「・・・心の底からごめんなさい・・・」
アレだ、学校で女子に何かしたら、周りの仲の良い女子が乱入してくる・・・それを実感していた。
「軽はずみにちょっかい出すもんじゃないな・・・なあ、リパル」
『・・・』
「リパル?」
『・・・え?ああ、そうッスね・・・』
「んだよ、お前まで女子派かよ。こっちは愛依の恐怖を和らげようと・・・」
「・・・逆効果なんだよ・・・!このバカァ・・・」
俺の背後で愛依がマジ泣きしていた。・・・本気で罪悪感が・・・その時、いきなり地面が揺れた。
「はぅっ!?」
「橋が揺れてる?」
「・・・橋だけじゃないわ。この地下都市全体が揺れているみたい」
「・・・微弱ですが、譜術を感じますね」
「俺は特に感じねえけど・・・」
「罠か?それとも・・・」
「敵ですの?」
「だとしても進むしかない。せめて慎重に行こうぜ」
「おや、あなたらしからぬ台詞ですねぇ」
「どーかん」
「うるせっ」
俺とジェイドがルークを茶化す。
「帰りに橋が無くなってる。・・・なんてのはごめんだがな」
「が、ガイさぁん!」
「やなこと言わないでよ~!」
俺達はゆっくりと歩を進めていく。・・・そしてシンクやラルゴと戦った位置まで来たら、一際強く地面が揺れる。
「な、なんだ!?地震!?」
「違います。これは・・・!」
俺は左側から何かを感じる。
「危ない、愛依!」
俺は咄嗟に愛依を下げ、左腕の闇を解放する。
ガキィン!
「咲!?」
『大丈夫ッスか!?』
「っとぉ・・・大丈夫、防ぎきった」
腕を軽く振りながら痺れを取る。・・・目に入ったのは石でできた蠍・・・の上に、針の部分が恐竜の頭の骨のようなものになっている、所謂蠍恐竜。
「(ったく、こういうタイプは会話できねーしな・・・)」
俺が会話できるのは、利口な生物だけだ。・・・単純な肉食獣とかは相手の言葉がわかるが、相手が理解してくれない。
「来ますよ!」
「・・・!」
この相手じゃ物理ダメージは通らない・・・
「援護するわ。ホーリーソング!」
ティアの第三譜歌が俺達を強化する。
「カートリッジロード!・・・ハァァァ!」
黒羽が刀身に炎を宿し、魔物に斬りかかる。
ガキィ・・・ィン!
「堅い・・・!」
ブォン!
「ぐっ・・・!?」
ガキャン!
頭を振り、攻撃してきた魔物の一撃を何とか黒羽は防ぐ。
「だったらアタシが・・・!」
愛依が偃月刀に闇を纏わせる。
「ダァァァッ!」
そのまま偃月刀を振り降ろすと、闇は衝撃波になり、地を抉りながら魔物にぶち当たる。
ズバァンッ!
「(怯んだ!)」
俺は咄嗟に空間に手を突っ込み・・・楕円形の物体を取り出す。
「冒涜的な・・・手榴弾!」
ピンを抜き、それをぶん投げる。
ドガァァン!
派手な爆音と共に空気が震える。
「・・・咲さん!ここでそんなもの使ったら、生き埋めになるでしょう!?」
撫子に怒られる。・・・だってやってみたかったし。次は名状しがたいバールでも使うか。
「・・・って、手榴弾の直撃でも無事か」
多少は効いているみたいだが・・・
「なら、お任せください」
撫子はそう言うと、影を使って魔物の動きを封じる。
「ジェイドさん!」
「・・・上出来です」
ジェイドは既に詠唱を完了していた。
「燃やし尽くせ、灰塵の焔。・・・イグニートプリズン!」
ズガァァン!
その一撃で魔物は沈黙する。
「こいつは一体・・・?」
「創世記の魔物じゃないかしら。以前ユリアシティにある本で見たことがあるわ。ただ、こんなに好戦的ではなかったと思うけど・・・」
「ここは以前、神託の盾の六神将が来ていましたわね。彼らが刺激したのでは?」
「遺跡を守ってるだけかもしれないぜ」
「・・・ま、ここで議論しててもしゃーないか」
「同感ですね。では、行きましょうか」
そのまま中に入り、景色が一変する。
「ほわ~、ひろ~い!たっか~い!」
「・・・」
「どうしたの、ルーク」
ティアがルークに聞く。
「こんな物の上に暮らしてたなんて信じられねーやと思って」
「でも、これが事実よ。人間は自分の範囲にあるものしか目に入らないのね」
その言葉にジェイドが口を挟む。
「・・・しかし好奇心、知識欲は時として要らぬ事実を人に突きつける」
「外殻大地と同じだな」
「それでも、私達は見てしまったのですから、現実から逃げる訳にはまいりませんわ」
「それが俺達の責任・・・ってことか」
「急ごう。崩落は俺達を待ってくれねぇんだ」
そして、ティアがパッセージリングに近づくと、パッセージリングが起動する。
「・・・よかった。ここでも私に反応してくれたわ」
・・・後に聞いたが、何故か第七音素の使い手じゃないとパッセージリングは操作できない。また、起動するのはティアでないといけないらしい。
「やっぱり総長が封じてますか」
「そのようですね。しかし・・・セフィロトが暴走・・・?」
「なあ、赤いところを削り取るんだよな?」
・・・そして、ルークが超振動でヴァンが施した封印を消し去る。・・・どうやら夜な夜なティアと超振動の特訓をしていたらしい。
「この後は?」
「ああ、はい。光の真上に上向きの矢印を彫り込んで下さい」
・・・そのまま操作を進め何とか降下に成功する。
「・・・完全に降下したみたいだな」
「よかった。・・・へへ、何か上手く行きすぎて、拍子抜けするぐらいだな」
「あんまり調子に乗らない方がいいんじゃないですかぁ?」
「・・・う、それはそうかも」
アニスに言われるとルークが黙る。
「お、しおらしいな」
「調子に乗って、取り返しのつかねぇことすんのは・・・怖いしさ」
「・・・」
「ティア。んな顔しなくても俺、もう暴走しねーって」
「ううん。そうじゃないんだけど・・・」
「きっと疲れたんだよ。なんだかんだで降下に丸一日以上かかってるもん」
アニスがそう言った時・・・ティアの身体が揺れ・・・倒れる。
「おい、大丈夫か!?」
ルークがすぐに駆け寄る。
「ごめんなさい、大丈夫よ。・・・体調管理もできないなんて、兵士として失格ね」
「兵士だって体調を崩す時くらいあります。・・・大丈夫なんですか?」
愛依がティアに尋ねる。
「あ、ありがとう。でも本当に平気よ」
取りあえず確認の為、外に出る。
「間違いなく魔界だな・・・」
「けど、ここからどうやって外殻に戻るんだ?」
黒羽が言うとガイが頷く。
「そうか、アルビオールはまだ戻ってなかったな」
とにかく、俺達はケセドニアに戻る。・・・すると。
「皆さん!ご無事でしたか!」
ノエルが走ってきた。
「そっちこそ!いつケセドニアに着いたんだ?」
「この辺りが降下する少し前です」
「エンゲープのみんなは?」
「無事にここまで運び終えました」
「よかった~。お疲れさま」
「到着早々すみませんが、すぐに飛べますか?」
「もちろんです。私はアルビオールで待機しています。準備ができ次第、いらして下さい」
ジェイドが気になることがあると言い、アルビオールに乗り込む。
「うわっ、あのセフィロトツリー、おかしくないか?」
「まぶしくなったかと思ったら消えかかったり・・・切れかけの音素灯みたい」
「やはりセフィロトが暴走していましたか・・・」
「セフィロトの暴走?」
「ええ。恐らくなんらかの影響でセフィロトが暴走し、ツリーが機能不全に陥っているのでしょう。最近地震が多いのも、崩落のせいだけではなかったんですよ」
「・・・待った。てことは、外殻大地は・・・」
俺は嫌な予感を感じた。
「パッセージリングが耐用限界に到達と出ていました。パッセージリングが壊れれば、ツリーも消えて外殻は落ちます。そう遠くない未来にね」
「マジかよ!ユリアシティのやつらはそのことを知ってるのか?」
「お祖父様はこれ以上外殻は落ちないって言ってたもの・・・知らないんだわ」
「・・・イオンさんなら、この対処法を知っているんじゃ・・・」
みんなの視線が愛依に向く。
「あ、あぅ・・・そ、その、イオンさんなら導師だから、凄く秘密の預言も詠めるんじゃないかって・・・す、すみません。ちょっと浅はかですよね・・・」
「・・・ううん、アイ・・・そうかも」
アニスが考え込む。
「イオン様なら・・・ユリアシティの最高機密を知れるかも・・・」
「よし、ならダアトに向かおうぜ」
俺達はダアトに移動する。そこで、街の人々から戦争が休戦になったことを知った。俺達はローレライ教団に入り・・・
「イオンはどこにいるんだ?」
「ご自身の私室ではありませんか?」
「でも、導師のお部屋は教団幹部しか入れないわ。鍵代わりに譜陣が置かれていて、侵入者対策になっているの」
「そんなときは、導師守護役のアニスちゃんにお任せ♪」
「元、だろ」
「ぶー。“元”だけど、ちゃんとお部屋に続く譜陣を発動する呪文、知ってるモン」
・・・というわけで、アニスに案内されて俺達はイオンの部屋に入る・・・が。
「イオンの奴、どこに行ったんだ?」
「しっ、静かに。誰かくるわ!」
「ヤバ・・・ここは関係者以外立ち入り禁止だよぅ!」
「隠れよう!」
俺達は隣の空き部屋に入る。
『ふむ・・・誰かここに来たと思ったが・・・気のせいだったか』
『それより大詠師モース。先ほどのお約束は本当でしょうね。戦争再開に協力すれば、ネビリム先生のレプリカ情報を・・・』
この声・・・モースとディストか?
『任せておけ。ヴァンから取り上げてやる』
『ならばこの“薔薇のディスト”戦争再開の手段を提案させていただきましょう。まずは導師イオンに休戦破棄の導師命令を出させるのがよろしいかと』
『ふむ。導師は図書室にいたな。戻り次第、早速手配しよう』
気配が遠ざかる。
「・・・今の話を聞くと、モースとヴァンはそれぞれ違う目的の為に動いているようですね」
「ディストは二人とも利用している感じだけどな」
黒羽が言うなか、俺は考える。
「モースは預言通りにしたいだけ・・・じゃあヴァンは?」
「外殻大地を落として人類を消滅させようと・・・」
「・・・あんな男がただ殺戮してるだけ・・・?そうは思えない」
「そうですね。モースの方が目的が明確なだけに驚異は感じない」
「なら、まずは明確な敵を片付けましょう」
撫子の言葉にガイが頷く。
「まずはインゴベルト陛下に知らせないとな」
「ですが・・・お父様は私の言うことを信じてくれるのでしょうか・・・」
「ナタリア!当たり前だろ!」
「・・・私、本当の娘ではないのかも知れませんのよ」
『・・・』
「(どう思う?リパル)」
『・・・』
「(リパル!)」
『え、ああ・・・そうッスね・・・』
「(質問と答えが噛み合ってねーよ。・・・この間の一件から様子が変だぞ?)」
『ちょっと悩みごとッス・・・』
「(武器の悩みねぇ・・・ったく、どいつもこいつも悩みやがって)」
『・・・随分他人ごとッスね』
「(ああ?)」
『・・・何でもないッス』
「(おい、リパル。リパル!・・・んだよ、いきなり)」
人のことを無神経みたいに言いやがって・・・
「こっちだって悩みだらけだっての・・・」
「咲?」
愛依が心配そうに覗き込んでくる。
「ん・・・いや、何でもない。図書室に行こうぜ」
図書室に入ると、イオンが居た。
「皆さん!?どうしてここに・・・」
「イオン、外殻大地が大変なんだ!だから教えてくれ!ユリアの預言には、セフィロトの暴走について詠まれてなかったのか?」
イオンに事情を話す。
「・・・なるほど。それは初耳です。実は僕、今まで秘預言を確認したことがなかったんです」
「え!?そうなんですか?」
「ええ。秘預言を知っていれば、ルークが何者かすぐに分かった筈です。アクゼリュスのことも・・・」
・・・だからイオンはそれを詠む為にダアトに戻ったらしい。・・・そして、預言を再確認し・・・発覚したのはルーク(アッシュ)のことは詠まれていても、ルーク(レプリカ)のことは詠まれていない、ということだ。・・・その時、
「見つけたぞ、鼠め!」
「ヤバ!」
「リパル!」
俺は方天画戟を引き抜こうとしたが・・・
バチィ!
「『・・・え?』」
それは俺とリパル、お互いの戸惑いの声だった。
カラ・・・ン
方天画戟を掴んだ手が・・・弾かれた。まるで反発する磁石のように・・・
「リパ・・・ル?」
『ど、どういうことッスか・・・?』
「咲!?」
「ッ!?」
ガァァンッ!
「がっ・・・」
兵士の一撃に弾き飛ばされ、壁に激突する。
「咲!・・・この野郎!」
愛依は方天画戟を掴みながら、走り出す。
「(愛依は・・・弾かれない?)」
そして俺は悟る。
「(ああ・・・そうか)」
何処ぞの某漫画と同じだ。俺とリパルの波長がずれてるんだ。
「(元々闇と光だしな・・・)」
言ってしまえば水と油だ。むしろ、今まで何の問題もなく使えたのが奇跡なんだろう。
「皆さん、逃げてください!アニスも!」
「アルビオールへ戻りましょう」
「咲、平気か?」
黒羽が駆け寄って来る。
「あ、ああ・・・大丈夫だ」
「咲・・・」
愛依が不安そうに俺を見る。
「・・・愛依、しばらくリパル、持っててくれないか?」
『咲さんッ!?』
「咲・・・けど」
「今の俺とコイツじゃ・・・戦えない」
「・・・」
「サキ、急げ!」
俺達は急ぎ、逃げるが・・・一気に囲まれてしまう。
「大詠師モース!もうオールドラントは、ユリアの預言とは違う道を歩んでいます!」
「黙れ、ティア!第七譜石を捜索することも忘れ、こやつらとなれ合いおって!いいか、ユリアの預言通りルークが死に、戦争が始まれば、その後繁栄が訪れるのだ!」
ジェイドが詠唱を開始するが・・・
「抵抗はおやめなさい、ジェイド。さもないと、この女の命はありませんよ」
ディストが人質に取っていたのは・・・ノエルだ。
「はーっはっはっはっ!いいざまですね、ジェイド」
「お褒めいただいて光栄です」
「誰も褒めていませんよ!」
「この・・・屑共がぁ・・・!」
俺の闇が疼く。敵を殺せと囁いてくる。
「俺達をどうするつもりだ」
「バチカルへ連れていく。そこで戦争再開のために役立ってもらうのだ」
「テメエらぁ・・・ぐっ!?」
左手から闇が吹き出す。
「ぐっ、あぁぁ・・・!」
まさか・・・暴走!?
「咲、しっかりしろ!」
「大、丈・・・」
意識が黒ずむ。・・・足場が無くなるような感じがして、俺はそのまま意識を手放した・・・
後書き
リョウ
「あらら・・・」
一刀
「咲はどうしたんだ?」
リョウ
「・・・多分、左手だけは恋の闇もあるからね。咲の分、愛依やシィ・・・更に見知らぬ誰かの闇も吸収してるからな・・・とっくに許容範囲を越えてるよ」
一刀
「だけど、心までは呑まれていないぜ?」
リョウ
「そりゃそうさ。あのバカは恋や詠を救うまでは絶対に死なない」
一刀
「強いんだな・・・」
リョウ
「一刀だって愛紗達がそうなったら・・・必ず助け出すだろ?」
一刀
「当たり前だ!」
リョウ
「そういうもんさ。大切な者の為なら、人間頑張れるさ」
一刀
「ああ・・・それじゃ、次回の続・真似と開閉と世界旅行」
リョウ
「次回もよろしく!」
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