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ハイスクールG×D 黄金に導かれし龍

作者:ユキアン
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第18話


コカビエルの戦いから数日、イッセーの傷は既に癒えた物の本調子とは言えず、鋼鉄聖衣も破損している為に戦闘行為を禁止している。まあ戦闘行為自体が珍しい事なので問題無いのですが。部活の方も休ませて身体の事を考える様にと言っておきましたから、素直に身体を休めているはずです。なぜそんな人ごとの様に話しているのかと言うと、私、コカビエルの戦いの後から天使勢との話し合いに行ってましたから。理由は簡単です。イリナとゼノヴィアの事です。
ゼノヴィアは神の不在という事実に耐えられずにグレモリー眷属になってしまったそうです。そして神の不在という事実はトップシークレットの扱いです。それを知ってしまったイリナをこのまま教会に戻すと消されてしまうかもしれませんので、聖域(サンクチュアリ)に招待し、私は聖剣の欠片とイリナからの紹介状、そしてバルパーの身柄(すっかり大人しくなってしまいましたが念のために氷付けにして)を持って教会本部まで会合に向かいました。無論、私を見て一時乱闘騒ぎにはなったものの、黄金聖闘士として万全の状態だった私に敵う者は居らず、瞬く間に正教会本部は制圧してしまいました。延々と湧き出てくる増援に苛つきながらしばらく占拠を続けていると、ミカエルと名乗る天使がやってきたのでイリナの紹介状を投げ渡して事情を説明。謝罪から始め、イリナ達に代わり任務の報告を行い、その際に神の不在を臭わせる報告を行ったおかげでミカエルと二人きりになる事が出来ました。その後、神の不在を知っている事を告げ、イリナとゼノヴィアもその事を知り、ゼノヴィアは悪魔に転生した事を報告する。イリナは悪魔領外の安全な場所で治療中とだけ報告しました。ミカエルはしばらく考えた後『今回の事件に対して堕天使側の行動が不透明で不誠実な為に3勢力での会合を行いたいと思います。ゼノヴィアさんはともかく、イリナさんは神の不在という重要事項を知ってしまった以上、取れる道は2つに1つです。死んでもらうか、私の直属として特殊任務に就いてもらいます。そうお伝えください』とのこと。私はその言葉を持って教会本部から聖域(サンクチュアリ)帰還したばかりなのだ。イリナにそう伝えると教会に帰還すると言うのでアナザー・ディメンションで直接ミカエルの元へ送ってあげました。もちろん異次元に隠れてイリナが消されない様に見守ってましたけど、問題無い様でしたのですぐに帰ってきましたが。

「それにしても鋼鉄聖衣がここまで砕けますか。青銅聖衣でも持たなかったでしょうね。やはり、白銀以上の聖衣を与えたい所ですね」

聖域に戻った私は破損した、というより最早聖衣として機能していない残骸を調べながら溜息をつく。

「コカビエルの攻撃も強力だったのでしょうが、イッセーの小宇宙に耐えきれなかった様ですね」

正確には赤龍帝の篭手による倍化にですが。黄金聖衣の欠片が埋められている部分が吹き飛んでしまっていますから修理するより一から作り直す方が早そうですね。

「あの、神代さん」

後ろから声をかけられたので振り返ると、仮面を付けた少女が立っていた。前にも話したと思うが彼女が未だに小宇宙を欠片も扱えない見習いだ。肉体を鍛えたり、小宇宙を感じる修行を行なう傍ら、雑用もこなしている。ちなみに私より一つ年下です。

「どうかしましたか、千草」

「はい、試験に出られていた方々がお戻りになりました。今回の試験で新たに2名の方が材料を集める事に成功しましたが、3名の方が精製に失敗して再試験を受けたいと」

「そうですか。やはりまだまだ小宇宙が足りない様ですね。わかりました。再試験を受けたい方に許可を与えます。私は新たに材料を集めた2名に最後の材料を渡した後に鋼鉄聖衣の材料を集めにいきます。そこに有る物はいつもの様にして貰って構いません」

「分かりました」

千草が壊れた鋼鉄聖衣を片付けている間に私は私室から鋼鉄聖衣精製用の黄金聖衣の欠片の入った箱を取りに戻ります。厳重に保管している手のひらに乗る程の大きさの箱を二つ取り出し、牡牛宮で待機している材料を集めた二人に手渡す。その後、イッセーの鋼鉄聖衣の材料を取りに行き、精製に入る。何度か調整も行なって来れた経験から特に失敗する様な事も無くその日の終わりには鋼鉄聖衣が完成する。その後は実験だ。鋼鉄聖衣を精製する際の温度や小宇宙の量、材料の比率などを変えた際にどうなるかを確かめて行く。面倒ですが、イッセーの為ですから仕方ないです。

「あの〜、研究中にすみません」

「少し手が離せませんのでそのまま話して下さい。何か問題でもありましたか千草」

「その〜、聖衣が直っちゃいました」

作業の手が止まってしまい、サンプルが砕け散ってしまいましたが関係ありません。

「何ですって!?」

「きゃう!!」

あまりの驚きに大声で叫んでしまい千草を驚かせてしまった様です。

「すみません。それよりも本当に聖衣が直ったのですか?」

「たぶんですけど。私達では判断出来ないので確認をお願いしたくて」

「分かりました。すぐに向かいます」

「あっ、私も一緒に連れて行って下さい」

「時間が惜しいので失礼しますよ」

千草を世間一般で言うお姫様抱っこで抱きかかえ、小宇宙で千草を守りながら階段を駆け下りる。金牛宮に辿り着くと、そこではミルたんを筆頭に多くの見習いが一カ所に集っていた。千草を降ろしてから声をかけて道を開けてもらいます。

「これは、まさか本当に?」

形を見る限りは多少変形はしてしまっていますが、綺麗な姿を保っています。黄金聖衣の欠片も極小ではありますが混じっているようです。小宇宙を通して見ると僅かに増幅もされました。

「修復したのは誰ですか?」

「千草たんだにょ」

「なんと!?」

振り返って未だに床に座り込んだままの千草を見て、もう一度修復された鋼鉄聖衣を見ます。私でもここまでの短時間で修復は出来ません。もう一度試しましょう。
私は双子座聖衣の右腕の篭手を外して破壊します。

「千草、今度はこれを修復してみて下さい。そしてその修復の際にはこのビンに詰められた血を掛けながら行なって下さい」

「え、あっ、はい」

私の瀕死の状態の血を掛けながら、千草が修復を始めます。私の小宇宙を使わずにどこまで出来るのかを確認するだけのつもりだったのですが

「出来ました」

最低限の材料と自身の腕のみで修復してしまいました。これは天のお告げなのでしょう。

「千草、貴方は戦う為の力を得る事は出来ませんでした。ですが、貴方には戦う者達を後ろで支える力があったようです。聖衣修復士、黄金聖闘士よりも珍しい才能です。貴方の才能は既に私を超えています。おそらくですが鋼鉄聖衣の精製も可能でしょう。千草、聖衣修復士としての道を歩むのも視野に入れて置いて下さい。無論、今までの様に聖闘士の道を目指して貰っても構いません。時間をかければ修復士の技能を身につけられる人は居ますから、強制するつもりはありません。皆さんもそのつもりで居て下さい」

「「「「はい」」」」

「では、キリもいいでしょうし30分後に帰りますので準備をして下さい。千草は修復士の道を選んだのなら連絡を下さい。貴方の為の道具を用意しますから」

「分かりました」

「では解散です」

双児宮に引き返しながら思わぬ才能が見つかって良かったと思っています。千草の才能は鬼才以上です。聖衣の修復に必要な物は大きく分けると三つになります。

一つ目はガマニオンやスターダストサンドと言った鉱物。
二つ目は聖闘士の瀕死の血液。
三つ目は小宇宙。

この内、あまり重要でないのが一つ目で逆に重要なのが小宇宙だ。それにも関わらず、千草は小宇宙無しで私以上に早く修復を終えたのだ。これを鬼才と言わずしてなんと呼べば良い。むしろ千草は聖衣修復士になる為に産まれてきたと言っても良い。だが、強制された道では意味がない。彼女が聖衣修復士の道を選ばなかったとしてもそういう運命だったと諦めましょう。かなり勿体ないですが。非情に惜しいですが、諦めましょう。本当に惜しいですけど。この話は止めましょう。





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隣で産まれたままの姿で眠るレイナーレの寝顔を眺めながら、先日の戦いを思い出す。コカビエルとは最初は互角だった。だが、時間が経つにつれて攻撃を躱される様になり、カウンターまで決められた。それに対してオレはさらに小宇宙を燃やして対抗して行った。後半ではオレが押していた。そのままならなんとか廬山百竜覇を撃てると思っていたのだが、コカビエルは部長達に的を絞り始めた。その頃はケルベロスをちょうど倒し終わって気が抜けていた所だったので部長達は躱す事が出来ずにオレがカバーに入るしか無かった。まあ、光速で戦ってたから部長達が躱せる訳も無いんだけどな。そして部長達のカバーで手一杯になっていた所を一撃。それだけでオレは戦闘不能になった。激痛のおかげで意識が朦朧とする中で見たのは木場が小宇宙を込めた剣を作って聖剣を叩き折る姿と、双葉が見せた聖剣の一撃だった。

「なあ、ドライグ。オレは本当にレイナーレを守れるのか?」

『正直に言えばかなり厳しい。いや、普通なら問題無い。普通ならあのライザー位がちょうど良い目安になる。ああ、再生は除いてだ。ただ、龍は争いを引き寄せる。それに釣られて強者が短期間に集りすぎているだけだ。あと2年も神代の元で修行を積めば問題無かったのだがな』

「そう、か」

窓に目をやるといつの間にか雨が降り出していた。

「……強く、なりてぇな」

『相棒……手段が無い訳じゃねえ』

「何?」

『禁手化だ。あの剣士が最後に出した剣、あれは普通の魔剣創造じゃあ産み出せねぇ。あれは魔剣創造が禁手化した事によって産み出した物だ』

「禁手化?」

『神器は主と共に成長して行く。だが、それ以上に強い感情に反応する。相棒がオレの力を引き出せれば』

「強くなれるんだな」

『決して楽な道ではないぞ』

「それでも守れるだけの力が手に入るんだよな」

『それは保証する。なんせオレは神もが恐れた二天龍の片割れなんだからな』

「そうだったな。すっかり忘れてた」

『おいおい』

「ははは、すまんすまん……強くなれるんだよな」

『ああ、確実にな』

「そっか、ありがとうドライグ」

『気にするな。オレは相棒の事が気に入っているからな』

「それでもだ」

「ぅん?イッセー、どうかしたの?」

「何でも無いさレイナーレ。ちょっと雨が気になっただけだ」

起きてしまったレイナーレを心配させない様に一度頭を撫でてから布団を被る。

「イッセー、無理だけはしないでね」

「ああ、レイナーレを悲しませたく無いからな」

そうだ。オレの目的は変わらない。レイナーレと一緒に居続ける。それだけだ。
レイナーレと抱きしめあいながら、オレは眠りに付いた。強くなると心に決めながら。

 
 

 
後書き
というわけで聖剣編終了です。
次のヴァンパイア編から原作との差異、と言うか聖闘士星矢の成分を増やして行こうかと思います。
本格的になるのはラグナロク編からになると思います。基本、双葉が事件に絡んでいる小宇宙を扱う者達と戦い、イッセーが本編側で頑張って戦います。もしかするとミルたん達も参戦するかもしれませんが、今の所は未定です。
それでは次回の更新で。 
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