ソードアート・オンラインーツインズー
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SAO編-白百合の刃-
SAO40-グーチョキパー
「はい。一日目の攻略、お疲れさまでした」
「お疲れさまでした~」
「今日も無事に生きて今日を終えたことを祝って乾杯」
「かんぱ~い!」
剛姫が乾杯の音頭を自ら行うも、乗ってくれるは狙撃者だけだった。他の人はというと、戸惑っている人やぶっきらぼうな人、明らかにノリというものを嫌っている人それぞれだった。ちなみに私は思いのほか乗ってくれる人がいなかったので出づらくなってしまい、言いだせなくなってしまった。
「あれ? みんなどうしたの? 乾杯は知っている?」
「バカにすんじゃねぇよ、それくらい知っている」
「あ、乾杯って言うことがガラに合わなくて恥ずかしいから、剛姫の乾杯にのらなかったのね」
「別に恥かしくねぇよ! なんでボスも倒してねぇし、マッピングをしていただけなのに乾杯する必要があるんだよ!」
バンっと赤の戦士が机を叩くと隣の鋼の騎士はビクッと震えて涙目になる。そんなことおかまいなしに漆黒は「いただきます」と剛姫が作ったきのこのクリームパスタを食べ始めていた。もしかして漆黒はお腹でもすいていたのかな……? と、思った瞬間に漆黒が睨んできた。奴はエスパーか。
「まぁーいいじゃん。世の中気楽でいたほうが楽しく見えるわ」
「ケッ、お気楽な奴だな」
「あら、嬉しいわ」
「褒めてねぇよ、バカ!」
「知ってる? バカって、褒め言葉にもなるんだよ!」
「お前は本当のバカか!? 褒めているわけねぇだろうが!」
赤の戦士の嫌気な発言も狙撃者は気にすることなく逆に手玉を取るように、食事を始めていた。もう乾杯はしたし、二人が食べているところだし、私も食べようかな。
「乾杯……いただきます……」
乾杯は誰にも聞こえない音量で口にして、いただきますは少し大きい独り言のように言って、食べ始めた。
……思ったよりも、味があっさりしている。クリーム系って味が濃いのが多いから、食べていると飽きる印象もあったし、NPCレストランでもクリームパスタは味が強いのがほとんどだから、食べやすくてしっかりと味がある。これなら最後まで飽きることなく食べれそう。それとエビに似た旨味がしっかりして良い意味で差別化してあって、美味しい。私でも作れるなら、後でレシピ教えてほしいな。
「鋼の騎士と赤の戦士も食べたら? 温かい食べ物は冷めると美味しくなくなるわよ?」
「あ、はい。頂きます」
「言われなくても食べるっつーの」
そんなぶっきらぼうな赤の戦士でも、「いただきます」はちゃんと言い、「ちくしょう、うめぇな」と感想を言うあたり、根はちゃんとしているんだろう。あと、なんか可愛かった。もちろん鋼の騎士は性格からして、ちゃんと良い子であるし、可愛い。
知っているプレイヤーもいれば全然知らないプレイヤーもいる。アバターな姿で、仲良くとは言わないが悪くない空間で一緒に食事するのは心地よいものだ。誰も空気を悪くしようと思わない。
剛姫が乾杯の音頭の時、今日も無事に生きて今日を終えることができた。悪くない居心地でみんなと食事できるのも、生きていられるからだ。
死んだ者は……もう、一緒に食事できない……。
「…………白の剣士」
「あ、はい!」
漆黒から声をかけてきた。もしかして……告白!?
「パスタを巻いたフォークを宙に浮かせたまま持っているだけなの? 食べるだけなの?」
「…………」
「それうざいから、食べるか置くかして」
「……ごめんなさい」
告白なんてあるわけなかった。いや、当たり前だ。何を考えているんだ。つか、食事中に考えることではなかったわね。
どうしても、どうやっても思い出してしまうわね。でも仕方のないことなんだ。私のせいで死なせてしまったことだし、私のせいで深くて癒え難い傷を刻んでしまった。そしてその事実をずっと引きずりながら、何度も後悔して、私は生きらなければならない。それが私の唯一の償い。忘れないことが私にできるころだ。
今を生きる。その証拠となる食べ物、クリームパスタを口に入れて食べる。
美味しい。今を生きている証拠だ。
「ありがとう」
「別にお礼を言われるようなことは言ってないわよ」
「……そうだね」
淡々と返した漆黒は淡々とクリームパスタを食べていた。
「ねぇ、漆黒」
「黙って」
「え?」
「食事中は黙って食べなさい」
「いや、その……」
「黙って」
「……はい」
漆黒は、食事のマナーにうるさい方なのかな? いや、食事中に話しかけるのはあんまり良くないか。
「赤の戦士、ソバじゃないんだから……」
「同じ麺だからいいだろ別に」
「そんなんだと、男の子に嫌われちゃうわ。あ、女の子だったかしら?」
「おい、調子乗り過ぎ野郎、オレをバカにしただろう。たかがパスタをすすってなにが悪いんだ!」
「気になったから言ってみただけだよ~」
「ふざけんじゃねぇぞ、オラァ!」
「ふ、二人共……食事中に喧嘩は……」
「ああん?」
「ひゃ、なんひゃうへぇうう……」
「あ~あ、赤の戦士で鋼の騎士ちゃん噛んじゃった~」
「噛んだのはオレのせいではないだろ!」
あの人達は注意しなくてもいいのかな? それとも関わりたくないから無視して料理を食べているのかな? 剛姫は微笑ましく見守って止める気は今のところない。なんだろう、私って……損しているのかな?
●
「美味しかったです、剛姫さん」
「そう言ってくれると、料理スキルを上げてよかったと思うわ」
食事を終えた、私達は明日の予定を立てる話しに進めていた。
「なんか妙な味がする……」
赤の戦士はハーブティーを飲むと眉間にしわを寄せ、白いカップをテーブルに置くと狙撃者から「飲んだことないの~? 意外とお子ちゃま~」っとからかい、「うっせ、飲んでなくて悪かったな!」と開き直って、隣の鋼の騎士がビビって涙目になっていた。
ちょっとしたことで気にはなるが、ハーブティーなのに色が紫だとあんまり飲む気はしないな……それを言えば他の食材とか料理とかも含まれるか。
今更SAOの食べ物の色について気にしてしまったが、紅茶を飲んで流すことにした。
「それじゃあ、明日のことでお話でもしましょうか」
自然と剛姫が仕切りを始める。みんな、剛姫が仕切ることに誰も気にしてはいなかった。
「……早い話し、明日は別々で行動しましょう。はい、決定」
「ちょっと待て!」
剛姫は話しと言うよりも連絡事項を伝えて終わりかけていたが、赤の戦士が待ったをかけてきた。
「なんでそんな簡単に決めるんだよ!」
ごもっともである。簡単に決めすぎですって。まともな反応しているのは私と赤の戦士、他は唖然としている鋼の騎士。漆黒の表情は淡々としていて、狙撃者はにやにやとその場の雰囲気に笑っていた。
「そうね、流石に簡単過ぎたわ」
「たく、失敗したらめんどくせぇことになることくらいわかっているのか?」
「心配しているの?」
「そ、そんなわけねぇだろ! オレ自身のために言っている! 別にお前らのことなんてどうでもいいんだからな!」
世の中にはいるものだな、リアルツンデレのテンプレを言う人って。前からツンデレ属性の人だと思ったけど、これほどはね……。
赤の戦士は萌え属性にも入るのはともかくとして、言い分は頷ける。裏層攻略に失敗したら私達だけではなく、攻略組、アインクラッドに住むプレイヤー全員にデメリットが発生してしまう可能性があるから失敗はできない。
そんな剛姫は落ち着いて説明してくれた。
「一日を終えて攻略して行ったけど、大自然の迷路に出てくるモンスターはそこまで困難ではなかったわね。みんなを見ても、上手く対応できている。このままなら攻略は不可能にはならないことはほぼ確実ね」
このまま行けたらか……。
今のところは安全エリアの解放イベントのみで、他はどうってことはなかった。気になる点で言えば、誘い文字が書いてあった巨大で派手な扉。でも、剛姫が調べるも何もなかったと告げていた。ボスが待ち受けていることもそうだけど、他になにが起こるか予想できてしまうあたり、安全とはいえない。
「とは言え、知らないフィールドに攻略して行くのには期限があって危険もある。本当は六人全員で行動するべきだけど、あの広さを考えると少し分散した方が効率良い気がするの。だから、まずは三人二組で組んで攻略して行きましょう」
でも、そう言うことを言うと……。
「剛姫、ソロでは駄目なんですか?」
「白の剣士はソロがいいの?」
「それは……」
言えない。剛姫に自分は過去にパーティを死に追いやったことで深い傷跡が痛みだし、恐怖が襲ってくるなんて……言ったところで迷惑をかけるだけだ。他のみんなだって、失っているものがあるはずだ。私だけ否定するのは、和を崩壊するのと同じだ。
私のバカ。向き合うって決めていたのに、これじゃあいつまで経っても前に進めない。
「白の剣士の言い分はわからなくないけど、ソロだとね、危ないのよ。今日のようにモンスターは二人一組でのエンカウント率が高いし、それにスイッチも使ってくるから、一つの差でも大いに危険度は増す。だから最低限でも二人以上、自分を補う人がいなければならないのよ。」
「……そうですね」
そうだ。それでいい。そうじゃないと、私は前に進めない。
「ごめん、剛姫。その案で行こう」
「うん。では、白の剣士が賛成したけど」
「も、問題ありません……」
「オッケーです」
鋼の騎士はおどおどしながら、狙撃者は気楽な感じで賛成をする。漆黒も声は出さなかったが手振りで賛成を表し、剛姫はそれを理解した。
赤の戦士も……。
「やってやるよ」
否定することなく、素直に賛成した。
「あれ~? 赤の戦士はてっきり否定するかと思ったんだけどな~?」
「いつまでもバカにすんじゃねぇよ、調子乗り過ぎ野郎。ソロだと危ないことだってわかっているんだよ」
やっぱり赤の戦士は口が悪く、ぶっきらぼうではあるけども、ちゃんと見ているところは見ていて、なおかつ冷静だ。戦闘も爆発的で荒っぽい戦いの中に、冷静さを見せていた。
「全員賛成ね。それぞれのペアだけど、みんないろいろとあることだろうから運で決めましょう」
「くじ引きでもやるんですか?」
「もっと単純な方法よ」
剛姫は右手を前に出し、グー、チョキ パーと手を動かして私達に伝える。
「なるほど、単純ですね」
私も剛姫と同様に右手を前に出す。みんなも同様に片手を前に突き出した。
「あの……かけ声どうしましょうか」
「そんなもん、ジャンケン、ポンでいいだろ」
「ジャン、ケン……ポン……」
「おい、狙撃者。なんで笑っているんだ、ああん? オレは別におかしいこと言っていねぇだろ!」
「どうでもいいから早くして」
「なんだと!」
「赤の戦士、漆黒の言う通りパッパと済まそうよ。もうジャンケン、ポンでいいよ」
「バカホワイトは黙ってろよ!」
「みんな行くわよ。ジャンケン、ポン」
剛姫の掛け声で明日のパートナー・ペアが決まる。気軽に全部任せられないが、ジャンケンによって今日とは違うことになるのは確実だ。
「おお、一発」
「決まりね」
綺麗に一発でグー、チョキ パーに分かれて、明日の攻略する二人一組は三つに分かれることができた。
ますはグー組。
「実はというとな。オレ、おまえと組みたかったんだ。悪いな、弱い奴とか言って」
「い、いえ、弱いのは事実ですので……」
「そこは自信持って強いとか言えよ」
「す、すみません!」
てっきり鋼の騎士を貶したり、見下したりするかと思っていたけど普通にそういうこと言えるんだと思ってしまった。
片手斧はトマホークのように扱い、当たると爆発エフェクトが轟く攻撃型の赤の戦士と、片手槍の矛先を生き物のように伸びてはしなやかに動く、見るからにもタンク型の鋼の騎士。スタイルも性格も反対な二人が組むことになったけど……大丈夫かな? 終始赤の戦士に怯える鋼の騎士が想像つくんだけど。
「…………」
「おい、なに見てんだよバカホワイト」
「いや、そういうことも言えるんだなって……」
「てめぇらはオレをなんだと思ってやがるんだ!!」
赤の戦士が憤怒する中、狙撃者は笑いを堪えてもがいていた。当然、その狙撃者にも赤の戦士は怒りだした。
しょうがないんだもん。私達の中では赤の戦士はそう言う気遣いとか言わないんだもん。
気を取り直して、次にパー組。
「やりー、剛姫と一緒だ」
「ふふっ、狙撃者の投剣の威力と正確、頼りにしています」
「いえいえ、むしろこっちの台詞ですよ」
短剣を投剣のように投げ、弾丸のような速さと威力を使用する狙撃者と、剣と斧の二刀流、私達六人の中では一番強く、カリスマ性もあって自然とまとめ役となっている剛姫。基本的に剛姫は誰とでも組んでも相性が良い感じに見えてしまう。いや、剛姫が誰であろうと相性にしてくれるのだろう。
そしてチョキ組は……
「よ、よろしくね」
「決まったから、今日はここで解散させてもらうわ」
「ちょっと、漆黒さん!?」
私と居合いスキルと抜刀する速さと、『閃光』と対照することから名づけられた漆黒。その漆黒は決まると同時に勝手に解散宣言を口にして、その場から去ってどこかの外へと行ってしまった。
「そうね、漆黒の言う通り今日は解散。明日はペアごとで好きなように行動してもいいわよ。はい、解散」
「お、お疲れ様です」
「鋼の騎士ちゃんをいじめると赤の戦士は恥ずかしい台詞を披露してもらうからね」
「なんで、てめぇから忠告受けなくちゃいけねぇんだよ、オカンか!」
改めて剛姫が解散宣言を告げると、みんなはこれから二次会をやるかのように私を除いて外へ出て行った。
…………。
……別に、寒いギャグとか言ってないし、空気を読まない発言もしてないのに、なんで……自然にハブられているの?
「……寝よ」
独り言を呟き、白いドアが目印の個室へ入り、六畳ぐらいの広さの中にあるベッドへダイブ。仰向け状態になって今日のことを振り返り、早めに睡眠をとった。
●
時刻は12から0へとリセットし、日が一つ増えた時に自然と目を覚ました。
本当はもう少し経てばアラームが鳴って起床するはずだったけど、なにも問題はない。むしろ少し前に起きられたことは良いことだ。
私はアイテム一覧を確認してから外へ出て、攻略ダンジョンである大自然の迷路へと向かった。
明日……いや、日付が変わったので朝方に私は漆黒と共に攻略して行かなければならない。そう決めたのは今日の朝からであり、解散した時から朝までは制限されてはいない。言うなれば今の時間帯ではフリーな状態になっている。つまり、唯一ソロで活動できる時間帯だ。
拠点であるホームから出て行き、歩くこと数分。深夜も目立つ『大自然の迷路・入り口』と、大きな赤い字で書かれた看板を発見した。
ありがたいことではあるけど、どうしてそこまで目立たせる必要があるのだろうか、ちょっとした疑問に思いながらも大自然の迷路に足を踏み入れた。
明かりもない夜の森林ダンジョンは不気味を増し、不安を募らせ、恐怖が襲ってくる。なにしろ、まず人がいないことと暗闇であることだ。普通の人だったら、数時間でパニックになっているかもしれない。
だが、私は何も感じないわけではないけども平気である。それは武器があるからと、森林ダンジョンに慣れてしまったことだろう。
では、逆はどうだろうか。
例えば“明るすぎる森林ダンジョン”は明かりがあるから安心感を与えるのか、常識外れと認識して不安を感じるのか。
答えは後者だった。
「なんだ、これ……っ!?」
その光景に唖然、呆然 驚愕をしてしまう。
日が出ている頃は、パステルカラー染められた不自然な色の自然なダンジョン。深夜になれば少しは目立つ程度だと思っていたが甘かった。
夜なのに日よりも明るかった。
イルミネーションのように樹や葉っぱに茂み、雑草など自然物は光輝の如く暗黒の存在を打ち消している。
常識外れもいいことだ。昨日のことといい、深夜にダンジョンへ足を踏み入れてみてば視界に映る光景はまさしく、闇を打ち消す明かりすぎる森林。明かりがあることにはいいが、普段じゃありえない光景に自然にも警戒心を生んでしまう。
その光景に美しいと観光気分で味わうなら幸せなんだろうけど、残念ながら森林ダンジョンというだけあって、モンスターの存在は大きい。昼に大鎌を持った骸骨、すなわち死神が出てきたらそれはそれで恐ろしい。そのようにモンスターが襲いかかってきたら恐怖が襲ってくるのだろうか。
いや、問題ない。
私は、前に進むだけだ。
マップを表示しながら、とりあえずは安全エリアに向かって歩き出す。同じダンジョンでも昼と夜とは違ってくるので、未知な場所へ足を踏み入るよりは知っている道へ辿って行き、違いを確かめた方が安全だろうと思ってのことだ。
歩いて行くとさっそく現れてきたのは、二刀流のスラッシュリザードマン。しかも三体同時。
「二十四時間御苦労さま……」
腰にかけている鞘からカタナを抜き、構えることなく右手で持ちただ攻撃を受けるかのように突っ立った。
スラッシュリザードマンが攻撃をしかけてくる。
――来た。
交差するように左右の剣を斜めから斬り下ろしてくる。回避しながらカタナスキル『津波』という、地にカタナを引きずりながら斜め上に斬り払おうとする、が。
感触として手ごたえはなく、固い物に弾かれた感覚が走った。
「なっ――――」
邪魔された。
正確に言えば防がれた。
もう一人のスラッシュリザードマンによって。
防いだスラッシュリザードマンは『津波』を受け止めて後退した隙に、もう一体、つまり三体目の襲いかかってくる。
気のせいか、昼間よりも動きは早い気がする。
くっ、なんとか、回避を――――。
「なにしているの?」
「うぇい?」
唐突に声をかけられて変な声を漏らしてしまったものの、けして私はミスをして回避に失敗したことはない。だって、いきなり声をかけられたと同時に一閃がスラッシュリザードマンの振る二刀を弾き返してくれた。
「し、漆黒?」
現れてきたのは漆黒だった。弾き返したのは居合いによるものだったとすぐに理解した。でも、なんでここに……。
「ひとまずは切り抜けるわよ。無論協力しなさい」
「し、漆黒……どうしてここに?」
「今、言わないと戦えないバカなの?」
「そうじゃないけど……わかった。つか、むしろこっちから協力をお願いしたいんだけど」
「わかっているじゃない」
「急に上から……いや、いいか」
体制を整え直して、特に作戦も決めないまま、素直に私達は三体のスラッシュリザードマンに刃を振るう。
思えば、漆黒とペアになるのは運命だったかもしれない。その日の夜に漆黒に会うのも、漆黒に助けられるのも、一緒に共闘するのも神様が定められた運命だったと考えてもおかしくはないかもしれない。黒と白、間逆に対する色だけど、その日の戦闘では上手く行ったような気がしたし、安心して背中を預けるプレイヤーだと不思議に感じたのだ。
その日の夜、私は何回も何回も向き合えないソロプレイに走っていて、痛い目に遭ってしまいそうになるも漆黒に助けられる。その時、私は漆黒と協力することで、不思議と笑いそうになってしまった。
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