銀色の魔法少女
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空白期編
第二十四話 再会
side 遼
五月ももう終わるかという日の昼頃、私は海鳴大学病院にいた。
「………………」
周りは知らない人ばかりで、すごく緊張する。
私がここにいる原因は、半月ほど前に頑張りすぎたのが原因だった。
あの日からずっと何かある度に視界がゆっくりになるし、やっぱり筋肉痛もひどい。
本当にひどい時はグリムゲルデに学校へ行ってもらってるが、やっぱり寝たきりはつまんない。
クリムの調べによると、ここにそれ関連に詳しい名医に診てもらうために、私はここにいる。
……まあ、もう診察は終わって今は適当に時間を潰している最中だ。
視界はおそらく心因性の何かというところまではわかるらしいが、それ以上は不明。
だけど、、無駄というわけではなかった。
あの先生本当に名医だと思う。
ひどかった筋肉痛がすごく楽になった! これだけでも収穫だろう。
「――だせ――、また――」
この時間では珍しい女の子の声。
興味がわいてそっちを見る。
そこには私と同じくらいの歳の、電動式の車椅子に乗った少女がいた。
その子は慣れた手つきで車椅子を操作する。
(一、二年……いやもっとかな)
私はいつからその子が車椅子なのか考えてみる。
けれど長い間としか分からず、目を閉じて考えるのを止める。
再び目を開けた時、その子と目があった。
そして、その子はこう言った。
「遼ちゃん!」
え? 誰?
side はやて
「ほな、石田先生、おおきに」
石田先生にお別れを言って、うちは出入り口に向かう。
その時に見覚えある人が目に入った。
銀色の髪に緑色の瞳。
小さい頃に目の奥に焼き付いた、彼女の容姿。
うちの両親が生きてた頃に、連れてもらった研究所でであったあの子。
事故で死んだと思ってた。
………………。
気がついたら、うちは自然とその子のところに向かってた。
そして、目を開けたその子と目があった。
「遼ちゃん!」
「?」
彼女は不思議そうに首をかしげる。
どうやら、うちのこと忘れてるみたいやな。
「えっと、うちやよ、八神はやて、小さい頃に研究所で会ったこともあるよ」
「……八神、…研究所、…八神、八神!」そう呟いて顔を上げる。
「……ああ、あの時の」
「やっと思い出してくれたん」
「……うん、ごめんなさい」
「まあ無理もないかなぁ、あの後すぐに事故があったし」
うちの両親が死んでもた『岡島研究所爆破事故』。
うちらの両親は仲が良くて、事故があったあの日にうちらを会わせてくれたんやった。
その時すぐに別れてもうたけど、結果的にうちはそれで生き延びた。
事故現場から離れたところにいたおかげで、それに巻き込ませずに済んだ。
「事故でみんな死んでもうたと思たけど、遼ちゃんは無事だったんやね」
「……うん、両親がかばってくれたから」
「そうなんや……」
聞いちゃいけないことやった、と反省する。
「はやてが気に止むことじゃない、あなたの両親も同じ、でしょ」
「知っとったん?」
「……うん、警察の人から聞いた」
「そうなんや、うちは、……泣いてるだけやったから、そこまでできんかったなぁ」
遼ちゃん、初めて会った時は危なっかしい子かと思たけど、結構しっかり屋さんやったんやな。
そこでうちは疑問に思う。
「そう言えば、遼ちゃんはどうして病院に? 怪我してるようには見えへんけど」
「ちょっと、目眩がして、今は大丈夫だけど」
「そうなんや、体は大事にせんとあかんよ」
「うん、善処する」
善処って、あまり大丈夫には思えへんな……。
「……そうだ」
? なんやろ?
「今日、ウチに来ない?」
「遼ちゃんちに? ええの?」
「……うん、今日はちょうどチーズ鍋、三人じゃ食べきれない」
まあ、今日のご飯の買い物もまだやし、およばれしてもええかな。
side ???
彼女が出て行った後、私はとある人に電話をかける。
「あ、もしもし士郎さん、ええ、フィリスです、最近、新しい教え子増やしました? ……そうですか、いえ、今さっき『神速』のコントロールができてない子が来たんだけど、士郎さんじゃないのなら恭弥くんか美由希ちゃんなのかしら、遼ちゃんって言うのだけど、……え!、なのはちゃんのお友達! なら、今日にでも、早くちゃんと教え直したほうがいいと思うの、 彼女、小さいのに相当無理してるから、あのままじゃいつか故障しちゃうよ」
side 士郎
電話を切って考える。
(あの歳で神速までたどり着くなんて、普通じゃ考えづらい、美由希から聞いた射抜といい、一体あの子はどんな世界を生きてきたのだろう……)
「帰ったら、恭弥と美由希と家族会議だ「あなたー、ちょっと手伝ってー」、ああ、今行く!」
仕方ない。今は仕事に集中しよう。
そう思い、桃子のいる厨房へと向かった。
後書き
オリジナル設定多数。
はやての両親がいつどうやって死んだのか明言されてなかったので、
そこに適当に設定を入れてみました。
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