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魔法少女リリカルなのはStrikerS-King Seong clone of another-

作者:炎狼
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苦悩

 
前書き
サブタイがあってないような気もしますが

まぁどうぞ 

 
 呆然と立ち尽くすティアナの前には、いつもとは打って変り冷徹な視線を送る聖の姿があった。その様子に聖の後ろにいたスバルも少したじろいだ。

 すると聖はゆっくりと地上に降りると、まっすぐティアナの元に向かった。ティアナの目の前まで来ると静かに告げた。

「お前は後ろに下がってろ。これ以上いると邪魔になるだけだ」

「っ!!……わかり……ました」

 体を震わせながらティアナは言うと踵を返し、ゆっくりとした足取りでその場から下がっていった。それが心配になったのかスバルも地上に降り、ティアナの後を追おうとするとそこで聖が声をかけた。

「スバル。……ティアナのことちゃんと見といてやれ。お前はアイツの相棒だしな」

「はい!」

 スバルが行くのを見送ると聖はまた空に上がり、残りのガジェットの殲滅に向かった。



 全てのガジェットを殲滅し終わり、皆が事後処理に追われている中、聖はティアナのもとにいた。ティアナは先ほどからずっと俯いている。それだけ先ほどのミスがショックなのだろう。

「ティアナ。まぁさっきのミスについてはもう自分で大体わかってると思うから、追求はしない。だけどいつまでも引きずるな。失敗は次につなげればいいさ」

「……はい。わかりました」

 ずっと俯きながら言うティアナに少し心配を抱きながらも、その場を離れることにした。だが聖がその場を離れようときびすを返した時、前方になのはの姿が見えた聖はそのまま進むと、

「……ティアナのことちゃんとフォローしてやれよ?」

 すれ違いざまになのはだけに聞こえるように小さく言うと、なのはも少し笑みを見せながら頷いた。

 その後なのはとティアナは2人で話しをするため茂みの中に姿を消した。聖も残してきた事後処理をするため、他の皆がいるところに向かった。



 事後処理も終盤に近づいた時はやてが一人の男性を連れて聖の元にやってきた。男性は長い緑色の髪が特徴的で、服装は白いスーツだった。

「聖君。今暇か?」

「あらかた事後処理は終わったしな。暇といえば暇だな、そちらは?」

 聖が男性の方に目を向けると、男性の方から挨拶してきた。

「君がクロノくんの元部下だった聖くんだね?査察官のヴェロッサ・アコースだ。よろしくね」

 握手を求めてきたヴェロッサに聖は応対し自らも自己紹介をした。

「白雲聖だ。よろしくなヴェロッサ、クロノ提督のこと知ってるってことは本局にもいたのか?」

「うん。でも僕が行った時は大体君は非番か、外にでていて会うことはなかったけどね」

「はいはい。その話はまた今度にしてくれへんかなロッサ」

 言葉をさえぎるようにはやてが口を出してきた。そして聖に向き直る。

「聖君。戦闘中にガジェットを召喚した魔導師を見て交戦したってホンマか?」

「ああ。正確にはガジェットを召喚していた子の近くにいた男の方と交戦した、だけどな」

 聖の訂正にはやては少し考え込む。そのはやてに変わりヴェロッサが聖に問う。

「その男や召喚師の子の特徴とかは覚えているかい?」

「男の方はフードを深くかぶっててあまり顔は見えなかった。召喚師のこの方はまだ女の子だったな、薄紫色の髪にで黒い服を着ていたな」

「なるほどね。はやてはどう思う?」

 ヴェロッサは考え込んでいたはやてに話を振る。結論がでたのかはやては大きくなずいた。

「その2人がスカリエッティの協力者であることは間違いなさそうやな。……とりあえずこの事はまた上層部に伝えとく必要があるなー」

 はやての言葉に2人は頷いて同意する。するとそこへフェイトとなのは、そしてまた1人の男性が現れた。

 男性の方は深い緑色の服に身を包み、眼鏡をかけていた。

「はやてちゃん。こっちは終わったよー」

「うん、ご苦労様や。じゃあ聖君他にあったら報告書にまとめといてや?」

「あいよ」

 そういうとはやてはヴェロッサと話があるそうなので席をはずした。はやてがいなくなった後なのはが聖を呼んだ。

「聖君。紹介するね、こちらユーノ・スクライアくん。本局の無限書庫の司書長さんで私達の友達なんだ」

 なのはが紹介する中聖は少しだけ笑うとなのはに告げた。

「ああ、知ってる。久しぶりだなユーノ」

「うん、そうだね聖」

「あれ?2人とも知り合いなの?」

 2人がまるで昔からの友人のように離す様子を見て、なのはが首をかしげる。なのはの様子に聖がため息をつく。

「あのな……もともと本局にいたんだ。知らないわけないだろ?」

「あ」

「忘れてたのかよ……」

 あきれ気味に言う聖になのはは若干苦笑いで返した。それを見ていたフェイトやユーノも若干というよりかなり苦笑いだった。

「でも2人はどうして知り合ったの?」

 場の空気を変えようとフェイトが聖に聞く。

「えっとな、あれだ俺が古代ベルカの歴史について調べ物してるときに少し手伝ってもらったのが始まりだな。その後もたまに本借りにいってたりしたし」

「そうなんだ。でもなんで古代ベルカのことを調べたの?」

「ん?いやただの趣味。他のもともと歴史とか好きだからな」

 聖の説明を納得したようにフェイトが頷くとユーノが補足する。

「まぁ本当に熱心に勉強してたよ聖は。ただ……返却は遅かったけど」

「それをいうなってーの」

 ユーノの頭を軽く小突いた聖は若干ムスッとするがそこをフェイトがしかる。

「もうだめだよ聖。ちゃんと期日は守らないと……」

「へーへー。わかりましたよー」

 頭をかきながら言う聖にフェイトは呆れ顔だ。まぁ10代も後半になって期日を守らないのを呆れるのはしかたないことだとは思うが。

 その後もユーノのおかげで、聖の本局での失敗談が次々にばらされていったのであった。



 アグスタでの事後処理を終え六課に皆が戻ってきたのは、夕方だった。しかしその後も報告書などもまとめたおかげで、全ての仕事が終了したのは深夜になってからだった。皆その激務で疲れたのか殆どはすぐに眠ってしまった。

 しかし聖はまだ起きていた、仕事は既に終わりにしているため読書をしていたのだ。読書をいい感じに進めていると安綱が不意に声をかけてきた。

〈読書中失礼します聖様〉

「んー?どうかしたか?」

 ページをめくりながら応答する聖に安綱が続けた。

〈いえ先ほどから外の方で微弱ながら魔力反応があるので、小耳に入れておいたほうがいいかと思いまして〉

「魔力反応?」

 聖がベッドから起き上がり外を見ると確かに外で何か光っている物見える。時折点滅するその光に照らされ1人の少女が浮かび上がった。

「ティアナ?」

〈そのようです〉

「……ったく。何やってんだかアイツは」

 あきれた声を漏らしながらも聖はティアナの元に行くべく、自室を後にした。



 ティアナが見えた近くまで行くと、聖は見知った男に遭遇した。その人物とは、

「ヴァイス?何やってんだこんなところで」

「うぉ!?……なんだ聖かよ脅かすんじゃねーよ」

「わりーわりー。それでやっぱりお前もか?」

 聖が問うとヴァイスは木にもたれかかりながら頷いた。その木の向こうには先ほど見えたティアナの姿があった。

「俺がヘリの整備始めた時ぐらいからずっとだからな……もう五時間はぶっ通しだ。休憩もとらずにな」

 嘆息混じりに言うヴァイスに聖も顔を曇らせた。そして少しすると隠れていたところから出てティアナに声をかけた。

「おい!ティアナ!」

「っ!?……白雲隊長」

 急に名を呼ばれ若干体をビクつかせたティアナだったが、聖を一瞥した後またすぐにトレーニングを再開した。

 その様子に聖も思わず溜息を付いてしまった。

「ヴァイスから聞いたけど……もう五時間も続けてるみたいじゃねーか。いい加減部屋戻ってさっさと寝ろ」

「いえ。もう少しやっていきます。凡人なものでもっと努力しないと……」

 トレーニングを続けながらティアナは答える。その目は真剣であるもののどこか焦りが見えた。

「凡人って……。お前ら新人はみんな同じだと思うぜ俺は」

「そんなことありません!」

 聖の言葉をさえぎるようにティアナは声を荒げた。聖はそれに驚くことなく言葉をつむぐ。

「そうかい……。じゃあ好きにしな」

「……ありがとうございます」

「ただし!条件を守れ」

 俯いているティアナに聖は近づくと告げた。

「深夜12時以降は訓練をするな、睡眠もとらねーと次の日の訓練に響くからな。いいな?」

「はい!」

 大きく返事をしたのを確認すると、聖は踵を返しヴァイスのところまで戻る。そこでヴァイスが聖に問うた。

「いいのかよ?聖。あんなこと言って」

「ああ。だけど守らなかったら俺がじきじきに、しごいてやるから大丈夫だ」

「……そいつぁおっかねーな」

 引きつった笑みを浮かべながらヴァイスは答える。

 聖は肩をすくめるヴァイスに言葉をつむぐ。

「ヴァイス。頼みがあるんだが……」

 小声で告げられたそれにヴァイスは快く承諾した。

「ああ。別にかまわねーぜ」

「世話かけるな」

「いいさ」

 どこかの怪異専門家と吸血鬼モドキの少年のような台詞をかわし、聖はその場を後にした。



 そしてそれから約一週間後、今日は2ON1で模擬戦をすることとなったらしい。所謂なのは1人に対し、それぞれの部隊の新人2人が模擬戦をするということだ。

 それが開始される直前になり聖はやってきた。

「おう聖、ギリギリだったな。なんか用でもあったのか?」

「ああ、ちょっとな。最初は……ティアナとスバルか」

 ……ヴァイスの話だと俺が言っといた時間の方は守ってたみたいだけど、さてどうなるかだな。

 聖がヴァイスに一週間前頼んだのはティアナが無理をしないための監視だった、聖自身がやってもよかったのだが、彼は別に調べるものがあったのだ。それはティアナの家族構成だ、調べたといってもはやてに聞き、そしてティアナの兄のことについて調べただけだが。

 ティアナの兄、ティーダ・ランスターは航空隊の一等空尉でエリートだったらしい。しかし、ティアナが10歳の時、彼は21歳という若さで殉職している。違法魔導師の追跡と捕縛の任務中、対象との戦闘で破れたのが原因らしい。しかしティアナが今のように力を求めるようになったのは、他の理由があると聖は考えた。

 それはティーダの死を不名誉であり、無意味と侮辱した心無い上司の言葉にあるということだ。自分のこと優しく育ててくれた兄のことを、そのように侮辱されればティアナの心にはさぞ大きな傷が残ったことだろう、それがおそらく今のティアナが力を欲するようになった原因になったのではないかという結論が聖の中で出された。

 あごに手を当てながら考え込んでいるとフェイトが聖の方を叩いた。

「聖、始まるみたいだよ」

「ん、ああ」

 フェイトの声に反応しビルの上からティアナたちを見下ろすと、ティアナがクロスミラージュを構えていた。ティアナの周辺には魔力弾が浮遊し、ティアナはそれを上空にいるなのはに向けて打ち出した。

「クロスシフトか……」

「ああ、みたいだなだけどキレがねーな」

 そうなのだ、普段のティアナのクロスファイアシュートならばもう少し早く、動きもキレがあるはずなのにそれが見られない。

 現になのはに容易に避けられているし、先にウイングロードで空に上がったスバルに対しディバインシューターを放たれてしまっている。

 スバルはそれを防御に徹しながらほぼ強制的に突破した。なのはもそれを叱咤するが、スバルはそれをちゃんと避けますからと反論した。

 それに対し疑問を抱いたのはなのはだけではなかった、聖もまたその行動に疑問を持つ。先ほどの場合、たとえば完全にやむ終えない状況ならば、ああいった行動もありといえばありだ、しかし今の場面はどう考えてもそんなことをする必要はない。

 その行動に聖も顔をしかめながら見ているとティアナが消えていることに気付く、皆もそれに気付いたのかあたりを見回すと、一つのビルの上にティアナがクロスミラージュを構えていた。

「砲撃!?ティアナが!?」

 驚愕の声を上げるフェイト。それもそのはずティアナは本来砲撃型ではなく、射撃型だ。それがアウトレンジからの大威力砲撃を選ぶとは思っても見ないのは当たり前だ。

 だがスバルとなのはのほうでも動きがあった。再度、スバルがなのはに突っ込み今度は真正面からなのはのラウンドシールドを破ろうとしていたのだ。

 だが新人のスバルの力でなのはのシールドが破れるはずもなく、そこに停滞させるだけがやっとのようだ。しかしそこで先ほどまでビルの上にいたティアナが消えた。いやそれは最初からティアナではなく、ティアナの生み出した幻覚、所謂フェイクシルエットだ。

 本物ティアナはというと、スバルの作り出したウイングロードの上を駆けていた。そして、なのはの頭上までやってくるとクロスミラージュで作り出したダガーブレードをなのはに向けて急降下する。

 激突の衝撃で周囲に砂煙が舞い一瞬だが三人の姿が見えなくなる。だが砂煙が晴れたあとそこにいたのは、レイジングハートを待機モードにし、スバルの拳とティアナのブレードを素手で受け止めるなのはの姿だった。

 その光景にその場にいた全員が息を呑む。ただ1人聖だけはじっと三人を見つめていた、いや見つめていたというよりは睨み付けていたというほうが正しいだろう。

 呆然とするティアナとスバルだが、ティアナは不意に後退すると先ほどの砲撃魔法に入る。それと同時にティアナの悲痛な叫びが吐き出される。

「私は……!もう、誰も失いたくないから!!だから!!強くなりたいんです!!!!」

 それを聞いたであろうなのはも悲しそうな顔をするが、その手の周りには魔力が収束する。そして告げられたのは冷たい言葉。

「少し……頭冷そうか……」

 そして収束された魔力弾はティアナに打ち出され、ティアナはそれを避けることもできずに直撃する。直撃によりふらつく彼女に再度魔力砲、しかも今回はティアナ自身の技であるクロスファイアシュートが放たれる。

 が、それはティアナに直撃する瞬間、聖によって切り裂かれた。

 聖の姿を見たなのはを含めその場にいた全員が驚愕の表情をするが、スバルは少しだけ安堵が混じったような表情を浮かべていた。

「どういうつもりなのかな……聖君」

 なのはが聞く、その口調はとても冷淡で普段のなのはからは想像ができなかった、目も聖を睨みつけている。

「……」

 対する聖もただ黙ってなのはを睨みつけるだけだ。だがその目はなのはだけに向けられているものでもなかった。

 にらみ合う2人の間には不穏な空気が流れる。 
 

 
後書き
以上です

次はいよいよなのはVS聖です。なるべき熱い展開にしたいと思います

感想、ダメだし、アドバイスなどなどお待ちしております 
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