ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
二十七話:洞窟のスライムくん
サクサクと、パウダースノーを踏みしめて、妖精の国の大地を西に進みます。
時折、風で雪がふわりと舞い上がって、キラキラと輝きます。
美しい、世界です。
……うむ!だが、寒い!
買ってて良かった!毛皮のフード!
買い物もせずすぐ出ようとか言ったの、誰だよ!死ぬわ!!
なんか背後で、視線を逸らしてる感がビシバシするけど!
「モモ、だいじょうぶですか?つめたく、ないですか?」
「ニャー」
獣とは言え素足で雪の上を歩いて、冷たくないわけが無いんですが、気丈にモモが答えます。
しもやけになったら可哀想だし、凍傷になったら大変だし!
さっさと進んで、洞窟についたら念のため、ホイミでもかけとこう!
「ううー……寒いわね!急ぎましょう、風邪引いちゃうわ!」
ベラが、なんか言ってますが。
寒いよ!そりゃ、寒いよ!
見ればわかるでしょ?
ていうか、君は知ってたでしょ!?
ムダなことはしない主義なんで、突っ込まないけれども!!
ビアンカちゃんと一緒だったときとは違い、戦闘に遠慮も要らないので、遭遇する魔物はブーメランでサクサク倒し。
モモの実力も気になるところではありますが、たぶんまだレベルが低いからね!
もうちょっと上がるまで!
少なくとも、洞窟に着くくらいまでは!
私が倒しちゃっていいよね!
寒いしね!なにしろ!
ということで、誰憚ること無く魔物を倒しまくり(パパンもいないし!)。
あっという間に、西の洞窟に到着です。
自分とモモの体についた雪を払い、モモの足にホイミをかけてると、ベラが驚きと呆れがないまぜになったような感じで言ってきます。
「ドーラって、……強いのね。まだ、小さいのに。びっくりしたわ」
子供としては、確かに強いかもしれないが。
その子供を、戦わせようとしてたんでしょ?
そんな、驚かれましても。
「おとうさんと、たびを、してましたから。おとうさんの、おかげです!」
自分でもそれなりに頑張ったが、ブーストされてる部分はあるので、ウソでは無い。
「そうなのね。ポワン様にあの村に行くように言われたときは、どうしてかと思ったけど。きっと、ドーラのこと知ってたのね」
てっきりベラの天然炸裂かと思ってましたが、ポワン様チョイスでしたか!
ベラだとただのうっかりで、たまたま運が良かっただけとしか思えないのに、ポワン様だとわかると急に深謀遠慮の結果に思える不思議!
そっか、私、狙い撃ちか!
……ヤバい、どこまで知ってるの、ポワン様!?
うっかり一人言も言えないじゃん!
ていうか、『私』との会談を、見られてたら……!!
……今さらどうしようも無いが、あとで探りは入れてみよう!
『私』の態度を見た限り、そう不味いことにはならないだろうけど!
内心の動揺を押し隠し、あくまで平静を装って、ベラに言います。
「わたしが、ぜんぶ、たおせればいいんですけど。フルートをとったひとが、すごくつよかったら、ひとりじゃダメかもしれませんから。このどうくつなら、そとよりは、さむくないし。ベラさんとモモにも、ためしに、たたかってもらいますけど。いいですか?」
魔法が使えるのは知ってるけど、動きとかは、実際見てみないとわかんないとこあるからね!
ベラが意気込んで答えます。
「もちろんよ!そのために、ついて来たんだから!剣は使えないし、杖で殴っても、ドーラほど強くはないけど。魔法が使えるし、攻撃を避けるのは得意だから!役に立って見せるわ!」
おお、頼もしいね!
力があっても怖じ気付くような性格だと、レベルやステータスに係わらず、戦いでは使えないからね!
正に、適材適所!
流石、ポワン様!!
「ニャ、ニャー!」
モモが、なんか主張してます。
ごめんね、後になっちゃったけど、忘れて無いよ!
「モモも、だいじょうぶなんですね?いままでは、おとうさんがたおしてくれてたし。ここまでは、わたしがたおしちゃったから、モモがたたかうのは、はじめてみますけど。むりは、しないでくださいね?」
「ニャー!」
モモも、張り切ってますね!
まだ子供とは言え、元は野生の魔物のはずだから、そんなに心配はしてないけど。
それでも勿論、死なせるわけにはいかないから、慣れるまでは特に、気を付けて見ておくとしましょう!
どちらもたぶん戦闘経験はあるということで、結論から言えば全く危なげ無く。
今まで戦えなかった鬱憤でも晴らすかのように、生き生きと動き回るモモ。
妖精らしく身軽に攻撃を躱し、杖で牽制して距離を取り、ギラの魔法で敵を倒すベラ。
普段の天然ぶりがウソのような、きびきびとした動きです。
考えるより動くほうが得意なんですね、ベラは!
どちらも決定力に欠ける部分はあるので、基本は私が倒して、討ち漏らした分に止めを刺してもらったり、ベラには補助に回ってもらったりするのが良さそうではありますが。
ベラはともかく、モモに関しては、あんまりすることが無いと退屈しちゃうだろうからね。
臨機応変にいきましょう!
ということで、ひと通り二人の戦いぶりを見た後は私も普通に戦闘に参加して、適宜指示を出しつつ順当に敵を倒します。
早々に子供ぶりっ子を放棄したおかげで、自然と私が指示を出す雰囲気にできたね!
ベラも特に不満は無さそうだし、こんな感じで行こう!
とか考えてるうちに、人が住んでそうな場所にたどり着きました。
なんか、暖かいです。
話を聞くついでに、暖も取らせてもらいたいところですね!
どうせまた冷えるとは言え、ずっと冷えたままっていうのはやっぱり体に悪いからね!
住人らしきドワーフっぽい人に声をかけようとしたところで、その手前にいたスライムがこちらに気付き、ビクッとして口を開きます。
「うわっ!ぼ、ぼくじゃないよ!アイツだよ!ぼくは、わるくないよ!いじめないで!!」
一方的に捲し立てた後、下を向いてぷるぷると震えてます。
妖精の村のスライムくんとは、えらい違いだなあ。
足して割ったら、ちょうどいいのに。
同じ種族でも、結構性格って違うもんなんだね。
まあここは、未来のモンスター使いとして?
現役の、美幼女として?(ベラとの外見年齢差を鑑みて修正)
優しく、警戒をときほぐしてあげるべきだね!
にっこりと微笑み、語りかけます。
「だいじょうぶ、ですよ?わたしたちは、いじめたり、しません」
ドーラちゃんの優しい声に、気弱なスライムくんは恐る恐る顔を上げて、ドーラちゃんの(自称)真っ直ぐな瞳を、おどおどと見つめ返し。
「……ハッ。す、すみませんでした!フルートを取ったのは、ザイルです!」
急にピシッと姿勢を正して、きびきびと教えてくれました。
……あれ?
思ってたのと、違う……。
「ぼくが知ってるのは、以上です!あ!カギの技法なら、そこのおじいさんに、聞いてください!ザイルの、おじいさんです!」
話が早くて、助かるけども。
別に威圧したりなんか全くしてないわけだけど、この反応は、なんでなの?
……魔物の考えることは、よくわからん。
と、これがある意味、未来の縮図であったことになど、この時点では気付く由も無く。
解せない気持ちを抱えながら、さっさと用件を済ませるべく、ドワーフのじいさんに意識を移す、ドーラちゃんなのでした。
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