絵氏様=Aska様
ログイン画面などが終了し、眼を見開くとそこには≪はじまりの街≫の中だった。新生ALOで何度か来た経験のある≪浮遊城 アインクラッド≫ここはその第1層の最初の街だ・・・
しかしここからは新生ALOでは進行フィールドだった分、内容は大きく変わる。まずは前情報のあった、SHOPを見て回らないければ、どこまでが初代SAO通りなのかはわからない。いくつかの店を回れば大体の目途はつく。最初の所持金もコンバートしていてもSAO初代の設定通り1,000コル、この所持金で買える装備など、たかが知れているが、何とか最初の装備は整えたい。
俺は対人関係において、揉め事が嫌いで、弱気な性格なのは自負しているがここではそれを克服できるはずだが、装備がなければ話にならない。
俺はすぐに事前に調べた情報を頼りにいくつかの店を走り回る。「事前情報通りだな」ここが最も金額も安く、俺の使いたい装備が入手できる・・・
俺は長剣や槍・細剣・両手剣・斧の類は似合わない。となれば選ぶのは曲刀もしくは短剣。ここはSPDを考慮して短剣を使おう、防具は白と紺色の組み合わせが俺の好みだ・・・
俺は装備を整え残金でポーションを2個買いフィールドに出ることにした・・・
時間は現在15:30。結構時間はかかったがここからはいったんLv上げを進めていかなければ。BOSSドロップのラストアタックボーナスを入手していかなければ、キリトには絶対に勝てない。
俺はフィールドに出て、フレイジー・ボアを討伐することにした。スキル発動方法を含め、主なプレイ方法はALOと同じ、なら迷うことはない。
俺はフレイジー・ボアをひたすら狩り続けることにする。かれこれ1時間ほど狩りを続けたがそろそろ休憩を取ろうと重い、システムアシストを開いたLvがあがり今はLv2・・・
最初のスキルスロットは2つ「短剣」と「索敵」スキルを入手した。打倒キリトを目標としている以上メインベースはソロプレイで感覚と研ぎ澄まさなければ・・・
「おーい」ふと後ろで声が聞こえたため、俺は後ろに振り返る。そこには『片手用細剣』を携えた女剣士もとい少女剣士が立っていた。
「えっと、俺???」と俺は確認をすると少女剣士は頷き「うん、君だよ」と笑顔で答えた。「このゲーム開始からずっと狩りしてるの?」と確認される。俺は頷くことで肯定した。「そっかぁ、君はソロプレイヤー?」
「今は始まったばかりだから、ソロとも何とも言えないよ」と俺は答えた。「そっかぁ。そうだよね。だったら少し私と一緒に狩りしない?」少女剣士は話を切り出した。が・・・
時刻はそろそろ17:30になろうというところ、俺はそろそろ晩飯を食いたいこともあるから、「夕食の後でもいいかな?」と切り出すと・・・
リンゴーン、リンゴーン
大きな鐘の音が聞こえ、俺たちの身体は身体は青白く輝き、最初にログインした『はじまりの街』の中央広場へと飛ばされ、俺は困惑していた。「これは、どういうことだ?強制テレポート?」
そして横では、さっき会話をしていた少女剣士も同じように困惑しているようであり、「なんで?どうなってるの?」
「上を見ろ!」誰かの叫び声が聞こえ、俺は空を見上げた。
赤い空に『Warning』『System Announcement』という文字が見える。
その空から白い霧が現れ、小さな少女の姿を象っていく。
「おねぇちゃん?」となりの少女剣士は小さく呟いた・・・
『プレイヤーのみなさん、私たちの世界へようこそ』
「え?」「私たち?」と俺たちは同時に呟いた。
『私の名前はメンタルヘルス・カウンセリング・プログラム001≪Yui≫です。今このナイトメアサーバーをコントロールしているGMの一人です』
「ユイ」Yuiと言えば、SAO内においてキリトとアスナの娘として存在していたAIの名前だよな?
「やっぱりお姉ちゃん・・・」少女剣士は小さく呟いていた。
『プレイヤーのみなさんはすでにこのゲームから魔法や蘇生アイテム・蘇生手段が削除されていることは知っていることと思います。しかしそれはゲームの不具合ではなく≪ソードアート・オンライン-ナイトメアサーバー-≫本来の使用です』
『皆様は今後、このサーバーで死亡した際にはこのサーバーに再入場することは許可されません。またPKによる死亡も同様です。』
『死亡が確認され次第、ナイトメアサーバーが機種およびID形式を認識し、入場禁止処分を受けることとなります。基本ベースは初代ソードアート・オンラインに乗っ取った内容であり、すでに無茶なLv上げを行うプレイヤーの中から128名のプレイヤーがソードアート・オンライン ナイトメアサーバー アインクラッドから永久退場しています。』
『しかし充分に留意してください。皆様にとってナイトメアサーバーはすでにただのゲームではなく、もう一つの現実というべきものです。』
「なるほど、最初のSAOを再現しているわけか・・・」
「みたいだね。」とお互いに会話をし、確認を行う。
『このゲームの攻略方法はただ一つ。第百層にいるゲームマスターであるパパを倒すことです。』
『以上でソードアートオンライン-ナイトメアサーバー-正式サーバーのチュートリアルを終了します。プレイヤー皆様の検討を祈ります。』最後の一言が残響を引きユイは消え去った。