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MASTER GEAR ~転生すると伝説のエースパイロット!?~

作者:小狗丸
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024

「サイクロプス! そのまま薙ぎ払え!」

『………!』

 ハジメの叫びにサイクロプスは光の奔流を放つ狙撃銃ヘラクレスをゆっくりと右へと移動させ、ヘラクレスの銃口の遥か先ではゴーレムの群れがビームの光の奔流に飲み込まれて次々と消滅していく。

 ヘラクレスから放たれるチャージショットの閃光は三秒もしない内に消えてしまったが、その時にはベット・オレイユに降下しようとしていたゴーレムの群れの全てがこの宇宙からその存在を消失させていた。

「これでこっちは片付いたな。急いでシヤン大尉の援護に……!」

 ビー! ビー!

 ハジメがサイクロプスをエイストの元へ移動させようとした丁度その時、コックピットにアラームが響きわたり、新たなゴーレムを生み出そうとしているマザーゴーレムが映った拡大画面が表示される。

「くっ! やっぱりマザーゴーレムを先に倒さないと駄目か! ……って、アレ?」

 拡大画面に映るマザーゴーレムは、ゴーレムを生み出しながらどこかを目指して移動しようとしており、それを見てハジメは首を傾げた。

「マザーゴーレムが移動している? 一体どこに?」

『イレブン少将! すぐにあのマザーゴーレムを追ってください!』

 思考するハジメの耳に焦った声のコロネル大佐からの通信が飛んできた。

「コロネル大佐? どうしたんですか?」

『今マザーゴーレムが向かっている方向……そこにはこの宙域に近づいてきている迎撃艦隊が確認されています。急いで追撃を!」

「迎撃艦隊が? それで何でそこまで焦っているんですか?」

『……イレブン少将。マザーゴーレムはゴーレムを生み出す際に自らの構成物質に近い鉱物や金属を積極的に吸収しようとする特徴があるのです。つまり……』

「……! マザーゴーレムは迎撃艦隊の戦艦を食べてゴーレムの数を増やそうと……! 分かりました。すぐに追撃します」

 コロネル大佐との通信を切るとハジメはマザーゴーレムを追撃するべくサイクロプスを発進させた。

 サイクロプスのブースターに限界まで火を吹かせて最高速度で飛び、遠く離れたマザーゴーレムの背が見える距離まで近づくと、ハジメはマザーゴーレムの向こう側に五つの光点があるのを発見した。

「あれが迎撃艦隊か?」

 光点が見えた方向を拡大画面で映すと、ハジメの予想通り数十体のアンダーギアを引き連れた五隻の戦艦がマザーゴーレムに向けて進んでいるのが見えた。

 ガガガガガガガガッ!

 五隻の戦艦が、数十体のアンダーギアが機関銃やミサイル、レーザー砲をマザーゴーレムに向けて放つ。だがマザーゴーレムは怯む様子もなく戦艦に向けて進み、そのまま腹部から数十体のゴーレムを生み出した。

 ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブッ!

 マザーゴーレムから産み出された兵隊蜂のゴーレムが戦艦に向かって飛び、戦艦に率いられたアンダーギア部隊がそれを防ぐために迎撃をするが、戦況はすぐに数で勝るゴーレムの方にと傾いていく。

「ああ、もう! 世話が焼ける!」

 兵隊蜂のゴーレムの群れに苦戦するアンダーギア部隊を見てハジメはコックピットで叫ぶと即座に行動を開始する。

 全速力で飛んでいたサイクロプスを急停止させると同時に射撃態勢に移行。損傷率が比較的に大きいアンダーギアとそれを襲おうとしているゴーレムを探し、ゴーレムに狙いを定める。そして狙いを定めた次の瞬間に……、

「撃て!」

 バシュン! バシュン! バシュン!

 サイクロプスが狙撃銃ヘラクレスを撃ち、ゴーレムの群れの数体がビームに飲み込まれて消滅する。それによってゴーレムの群れの動きがわずかに乱れた隙にハジメは迎撃艦隊に通信を行った。

「サイクロプス。迎撃艦隊の戦艦に通信を」

『……通信だと? あの機体からか?』

 戦艦との通信が繋がったのを確認したハジメは、被っている仮面に備え付けられたボイスチェンジャー機能をオンにして戦艦のブリッジに話しかける。

「迎撃艦隊、聞こえるか? マザーゴーレムの狙いは貴艦らだ。ここは我々に任せて貴艦らはすぐに撤退しろ」

『なんだと!? そんなことできるはずがないだろう! そもそも貴様は誰だ! 名を名乗れ!』

「私か? 私はベット・オレイユ宇宙軍所属、イレブン・ブレッド少将だ」

『なっ……!?』

 迎撃艦隊のブリッジはイレブン・ブレッドの名前に絶句し、ハジメは特例コードをブリッジに送り同じ言葉を繰り返す。

「もう一度言うぞ。ここは我々に任せて貴艦らはすぐに撤退しろ」

『こ、これは軍本部からの特例コード……!? わ、分かりました。どうか御武運を』

 迎撃艦隊は通信を切ると速やかに撤退行動に移り、それと同時にリンドブルムに乗っているファムから通信が入ってきた。

『イレブン少将。迎撃艦隊を帰したのはいいですけど、これからどうするおつもりなんですか?』

「大丈夫ですよファムさん。何とかする方法ならあります」

(……この世界に来てまだ一度も試したことがないけど、そんなことは言っていられないよね)

 ハジメは考えをまとめると口を開いて小さく呟いた。

「……リンドブルム。出番だよ」 
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