万華鏡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十五話 厳島神社その十二
「凄い顔でしょ」
「うっとり、ってなってるな」
「神社での演奏は雅楽の基本だけれど」
「こうした場所にすると特になんだな」
「そうだと思うわ」
こう美優に話す。
「演奏したいのよ」
「そんな感じだよな、本当に」
「私は楽器は駄目だけれど」
和楽器は、という意味である。
「舞担当だけれど」
「そっちかよ」
「それでもこうした舞台でね」
景子もだった、二つの舞台特に高舞台を観ながら話す。
「踊りたいのよ」
「そうなのね」
「ええ、そう思うわ」
見れば景子もうっとりとした顔になっている、出来ればというのだ。
「私もね」
「景子ちゃんもなんだな」
「出来ればね」
願望だ、だがそれでもだというのだ。
「舞いたいわね」
「何か夢なんだな」
「そう、夢よ」
まさにだというのだ。
「こうした場所でね。演奏を受けてね」
「舞うか」
「そう、いいわよね」
美優にうっとりとした顔で話していく。
「ここで舞えたら」
「それ出来るのかよ」
「それがね」
景子はこのことは残念な顔で述べた。
「無理なのよ」
「無理なの?」
「違う神社だから」
彼女の家の神社でもその上の八条神社でもないからだというのだ。
「ここでは舞えないの」
「神社にもそういうのあるの?」
「神様が違うとね」
「そういうのがあるの」
「厳島は厳島だから」
その神社であり神だからだというのだ。
「また違うのよ」
「そうなのね」
「ええ、また別の神様なのよ」
「ううん、難しいのね神道も」
「色々あるわよ、神様の数が物凄く多いから」
日本の神の数は途方もないだけだ、八百万の神々という言葉は伊達ではないのだ。
「だからね」
「そういえば神社って多いわね」
「物凄く多いでしょ」
「特に関西はね」
彩夏もこのことを言う、日本全土に神社は数多くあってなのだ。
「それだけ神様も多いのね」
「そうなのよ」
「それで景子ちゃんが舞えるのは」
「八条神社の系列だけよ」
「そうなるのね」
「祀られている神様が多いから」
だからだというのだ。
「それだけ色々なものがあるのよ。同じ雅楽を使っても天理教とは違うところね」
「天理教はどうなの?」
「どの教会も祀られている神様は同じだから」
天理王命という、この神が天理教で崇拝されている神だ。
ページ上へ戻る