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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  二十四話:妖精の村のポワン様

「あっ!ちゃんと来てくれたのね!」

 地下室に入ると、透けてる人が私を見て、輝くような笑顔を見せます。

 うん、こうやって改めて見ると、やっぱり可愛いね!
 カウンターに乗っちゃうお行儀の悪さと私の勉強疲れで、きつく当たってしまったけれども!

 まあ相手も人間じゃないから、そこまで子供ぶる必要も無いし!
 彼女がハーレムメンバー足り得るかどうかも、私が好評価を得られるかも、これから、これから!
 全く、問題無し!

 見た目ローティーンなんで、ハーレムメンバーとか言っちゃうと、将来的に犯罪臭がしなくも無いが!
 中身はあっちのほうが相当上だろうし、別にいかがわしいことするわけじゃ無いし!
 これも、全く問題無し!

 透けてる人の表情が、微妙に険しくなります。

「今、なんか失礼なこと考えなかった?」

 おっ、鋭いね!
 やっぱ、妖精でも気にするの?年齢とか。

「そんなこと、ないですよ?それよりも、おはなしは、なんですか?」
「本当かしら……。まあ、でもそんなことより、そうよね!お願い!私を、助けて!」

 助けてって、言われても。
 論理的に話を進めるのが、苦手なんだろうか。
 気付いてほしいからって、イタズラとかしちゃうくらいだしなあ。
 そんなのでもしも気付かれたとしても、怒らせるだけなのに。

「たすける?……どうすれば、いいんですか?」
「あっ!そ、そうよね!えっと、あ、そうだ!私は、ベラ!あなたの、名前は?」

 ここで、自己紹介ですか。
 グッダグダだね!
 普通の六歳児と話したら、全く収拾がつかなそう。

「わたしは、ドーラです。ベラさんは、ようせいさんですよね?ようせいさんが、どうしてここにいるんですか?」
「そうなのよ!私は、エルフなんだけど!あ、妖精でも、どっちでもいいんだけど!私たちの国が、大変なの!それで、助けてくれる人を探しに、人間界に来たんだけど!誰も、私に気が付いてくれなくて……あ、待って!誰か、来たみたい!」

 透けてる人改めベラが、慌てたように自分の口を手で塞ぎます。

 どうせ聞こえないんだろうに。
 聞こえたら、逆に喜ぶところじゃないの?

 足音がして、特に気配を隠すでも無く、普通にパパンが現れます。

「ドーラ。ひとりか」
「おとうさん。どうしたんですか?」
「話し声がしたので、誰かいるのかと思ってな」
「モモと、いっしょですから。おはなし、してました!」
「そうか……」

 ベラのいる辺りをじっと見つめる、パパン。
 口を手で覆ったまま、冷や汗を流すベラ。

 まさか、見えては無いと思うけど。
 気配は感じてるのかね?

 話し声とか言ったけど、いつもの野生の勘的なアレで、私がなんか得体の知れないものと接触してるのを察して来たんじゃないの?
 未来の『私』の時は来なかったけど、そこはやっぱ『私』だから?

 なんてどうでもいいことを考えてるうちに片方見えてない筈の静かな睨み合いは終わり、パパンが視線を私に戻します。

「……ここは、とても寒い。日が当たる分、外のほうが暖かいくらいだ。風邪をひかないうちに、上がってきなさい」
「はい!さっき、きたばかりですから!もうすこししたら、また、おそとに、いってきます!」

 と、然り気無くアリバイ工作的発言をする私に頷き返し、パパンは戻って行きました。

 ベラが手を外し、大きく息を吐いて、汗を拭います。

「……ああ、びっくりした!一瞬、見えてるのかと思ったわ!あの人とは、まだ会ってなかったし!」

 え?
 助けを求めに来たのに、この村最強の男、パパンに会って無かったの?
 ダメじゃん!
 こんなド田舎の村に来ちゃうあたりで既に、ダメダメだけど!

「……あ!気付いてもらえたら、そのほうが良かったのよね!なんだ、焦って損したわ!」

 今、気付くの!?
 そこはいっそ気付かないまま、流してしまえば良かったのに。
 どうでもいいけど。

「とにかく、私たちの国に来て!ポワン様に、詳しい話を聞いて!」

 ベラに説明してもらうより、そっちのが圧倒的に早そうだもんね。
 賢明な選択だね。

 ポワン様って誰だよとか(知ってるけど)、突っ込めば突っ込んだ分だけ時間かかりそうだし、さっさと行きますか。

「わかりました!」

 どうやって行くの?なんてことも、聞きません。

「それじゃ、私についてきて!」

 ベラが手を振りかざすと、さほど高くも無い地下室の天井に光のトンネルのようなものが出現し、そこから光の階段が降りてきます。

 うーん、俄然ファンタジーっぽくなってきたね!

 いざ、出発!
 妖精の国へ!!





 モモが光に怯えてついてこないんじゃないかとか気にしつつ(ノリノリでついてきてました)階段を登り、光に包まれて一瞬視界が真っ白になり、あまりの眩さに目を瞑り、再び目を開けると。


 そこは、妖精の国でした。
 生きている木をそのまま住まいに改造した家々に、澄みきった水を湛える大きな池。
 その池の向こう側にある、一際大きな木の家に続く、大きな蓮の葉を足場にした道。

 村の中を行き交う妖精やドワーフの姿も相まって、非常にメルヘンチックではありますが、降り積もった雪が寒々しさを掻き立てます。
 透明度が高くてわかりませんでしたが、よく見ると池にも氷が張ってますね!

 やはり妖精の国たるもの、色とりどりの花が咲き乱れる、色鮮やかな光景を見せて欲しいよね!
 一面の銀世界ってのも、悪くはないんだけど!

 という具合に村の景色をじっくり眺めて楽しんでた私を、ベラが急き立てます。

「さあ、こっちよ!ポワン様に会って!」

 村を眺めるのは後でも出来るのでいいっちゃいいんだけど、やっぱり最初に着いた時の、その時だけの感動ってあるからね!
 気持ちはわかるけど、あんまり急かさないでほしいわー。
 どうせベラが手間取ったせいで(私が積極的に捜索しなかったせいとも言う)散々待たせてるんだから、今更ちょっと遅くなったくらい、たいして変わんないよ!
 むしろそっちの都合で呼びつけておいて、そっちの都合で急き立てるとか、そのほうが心証悪くするんじゃないの?ゲームのポワン様の感じだと。
 このベラは、良くも悪くもそこまで考えて無さそうだが。

 とか思いながらも、まあ一通り眺め終えてはいたところだったし、別にベラも悪気は無さそうなので、おとなしくついて行きます。
 あの大きな木の家にも、早く入ってみたいしね!


 蓮の道を通って池を渡り、大きな木の中に入って、水でできた、固いような柔らかいような不思議な感触の階段を登り、妖精の村が見渡せる、大きな木の家の最上階。
 ポワン様のお部屋に、到着です。

 ポワン様は見た目、十五歳くらいでしょうか?
 ベラよりは若干上に見えますが、それでも大人の女性というほどでは無い。
 だけど雰囲気がとても落ち着いていて、それだけで大人の女性であると感じさせます。
 可愛らしさと美しさを兼ね備えていて、とってもいいですね!
 花をモチーフにしたらしい服装も、華やかでお洒落だし!
 ベラの服装も可愛いし、動きやすそうでいいんだけどね!


 ベラが、ポワン様に声をかけます。

「ポワン様!人間の戦士を、連れて来ました!」

 跪くとか、無いんだね。
 女王様では無いから?

 女王様じゃないはずだけど、玉座っぽい可愛い椅子に座ったポワン様は、にっこり微笑んで答えます。

「まあ。なんて、可愛い戦士様ですこと」

 ゲームで見ると、単純に褒めてるのか皮肉かわかりにくかったけど、全く嫌味っぽさが感じられませんね!
 確かに、ドーラちゃんは可愛いですけれども!
 ポワン様も、すっごく可愛いです!!

 ベラが、なんか焦ってます。

「め、滅相も無いです!彼女は、こう見えましても!」

 なにさー、ドーラちゃんが可愛く無いとでも言いたいの?
 そりゃあ、ちょっとは苛めたけど。
 そこまで根に持たれるほどでは、無くね?

「言い訳はいいのですよ、ベラ。全ては、見ておりました」
「ええっ!?す、……全てを、……ですか?」
「ええ。全てを、です」

 内心でそんなわけ無いひとりボケをかましてるうちに、なんか雲行きが怪しくなってます。

 あれ?
 ポワン様、お説教モード??

「まだ幼いとは言え、私たち妖精の存在に気付く清い心と、よく事情も聞かずに助けについて来てくれる優しさを持った小さな戦士様に、不満などある筈もありません。それに引き換え、あなたのあの有り様はなんですか、ベラ?」
「も、……申し訳、ありません!」

 ああ、やっぱりですか。
 見てたら怒るよね、上司としては。
 可愛い笑顔のままなのが、なんか怖い。

「気付いてもらうために取る行動が何故、ああなるのですか?それで気を引いて、助けてもらえるとでも?」
「はい……仰る通りです……」
「私たちを見ることが出来ない方々に、例えば気付いてもらえたとして。その後どうやって、助力を願うつもりだったのですか?大体、あなたはいつも……」
「はい……はい。申し訳ありません……」

 なんか本格的にお説教が始まってしまったので、モモと一緒に村の景色を楽しむことにします。

「わあ!ここは、ながめがいいですね!むらのなかも、そとも、よくみえますよ!」
「ニャー!」

 モモも、景色を楽しんでるようですね!
 ポワン様は声も可愛いし、内容を気にしなければBGMみたいなもんだよね!
 トーンも、柔らかいし!

 急かされてあんまりしっかり見られなかったけど、こんな特等席で見られるなら、結果、良かったよね!


 と、他人の不幸は蜜の味なんてことは無いけれど、折角の機会をふいにすることも無いと、妖精の村をまずは景色から堪能する、ドーラちゃんとモモなのでした。 
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