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遊戯王GX ~Unknown・Our Heresy~

作者:狂愛花
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第4話 恐怖漂う泉での狂乱

 
前書き
今回の話はちょっと病んでる要素が入っています。

苦手な方は読まない事をお勧めします。

どうぞ。 

 
side 雪鷹

「雪鷹さんなんです!!」

彼女の声が湖に響き渡った。

その言葉に俺は面食らった。

俺の頭に何故という単語が過る。

「えぇ~と・・・・なんで、俺?」

俺は必死に言葉を探し彼女に訊ねた。

すると、彼女は顔を赤くさせ俯いて途切れ途切れに言った。

「あ、あの、私、雪鷹さんと、万丈目君が、デュエルしているの、見ていて、それで・・・」

彼女の言葉に俺と直哉は驚愕しお互いに顔を見合わせた。

直哉は人より気配に敏感。

誰かが近くに居れば、直哉はその人物の存在に気付いたはずだ。

それなのに直哉が見落とすなんて。

そんな俺たちの感情を読み取ったのか、彼女は言った。

「わ、私、すごく、影が薄くて、人になかなか気づかれないんです・・・・」

その言葉に俺たちは別の意味でまた驚愕し、呆れたような表情を浮かべた。

「でも、普通あれ見たら逆にデュエルしたくないんじゃないの?」

俺はもう一つの疑問を訊ねた。

「い、いえ、私のデュエルも、よく、オーバーキルするので、この学校、私みたいに、オーバーキルする人、居ないので、雪鷹さんのデュエルを見て、なんだか、親近感が、湧いてしまって・・・・」

彼女は俯いたまま指を弄りながら答えた。

その時、俺は彼女から同じ雰囲気を感じた。

とても、心地良い、俺好みの感じが・・・・・・。

「駄目・・・ですか?・・・」

弱弱しく、上目使いで目に涙を溜めながら彼女は言った。

そんな彼女から視線を外し、俺は腕を組み少し考えた。

特に断る理由はない。

それに、彼女から感じる雰囲気が何か確かめる必要がある。

俺は心の中で答えを出した。

「・・・・・・わかった。でも、後悔しても知らないよ?」

俺がそう言うと彼女の顔がパァっと明るくなった。

「は、はい! ありがとうございます!」

そう言って彼女は頭を勢いよく下げ、焦りながらデュエルディスクに準備を整えた。

俺も直哉が使用していたディスクを腕に装着し、腰のケースに入れていたデッキを取り出し、ディスクにセットした。

「じゃ、行くよ?」

そう言って俺はディスクを展開した。

それに続き、彼女もディスクを展開する。

「「デュエル」」


俺 LP4000

手札 5枚

場 0枚


影光さん LP4000

手札 5枚

場 0枚

ターンランプが彼女のディスクに点灯した。

先行は彼女の様だ。

「わ、私のターン、ドロー!」

彼女は遠慮がちにデッキからカードを引いた。

「私は、も、モンスターをセットして、カードを、一枚、セットします。これで、ターンエンドです」

「俺のターン! ドロー!」

俺はデッキからカードを勢いよく引いた。

「俺は、手札から永続魔法《神の居城-ヴァルハラ》を発動!!」

『え!?』

水面が震え、俺のフィールドに直哉が使用した居城、ヴァルハラが再び現れた。

俺の使用したカードに直哉以外の全員が驚愕の声をあげた。

「さらに、手札から魔法カード《トレード・イン》を発動! 手札からスペルビアを墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする!」

俺は手札のカードを1枚を墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローした。

引いたカードを確認して、俺は順調と思い笑った。

「そして、ヴァルハラの効果発動! 手札から《堕天使アスモディウス》を特殊召喚!!」

ヴァルハラから光が夜空に放たれる。

夜天を漂う暗雲が疾風に払われ、暗黒の風に誘われ夜天の空より、黒紫の翼を羽撃かせ、純白に輝く居城とは相容れぬその姿を月光の許に現した。

その姿を見た者は皆思った。


天使じゃない、“悪魔”だと。




堕天使アスモディウス 攻撃力3000守備力2500
効果モンスター
星8/闇属性/天使族/攻3000/守2500
このカードはデッキまたは墓地からの特殊召喚はできない。
1ターンに1度、自分のデッキから天使族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
自分フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
自分フィールド上に「アスモトークン」(天使族・闇・星5・攻1800/守1300)1体と、
「ディウストークン」(天使族・闇・星3・攻/守1200)1体を特殊召喚する。
「アスモトークン」はカードの効果では破壊されない。
「ディウストークン」は戦闘では破壊されない。




「さらに、アスモディウスの効果発動! 1ターンに一度、デッキから天使族モンスターを墓地に送る事が出来る! 俺は、デッキからアテナを墓地に送る!」

俺はセットされているデッキを取り出し、扇の様にして広げ、その中から1枚を取り出し、墓地に送った。

「1ターンで、攻撃力3000のモンスターをいとも簡単に・・・・」

明日香が呟く。

「カードを1枚セットし、アスモディウスでセットモンスターに攻撃!! ヘル・パレード!!」

アスモディウスは右腕をセットモンスターに向けると、翼を羽撃かせ、闇の風を起こした。

黒き疾風は刃の様にセットモンスターを切り裂き、トマトの様なモンスターの姿が現れた。

しかし、そのモンスターは悲鳴をあげて直ぐに爆発していった。

そして、爆風が彼女を襲う。

「クッ! こ、この瞬間! 《キラー・トマト》の効果が発動します。デッキから、《レプティレス・ナージャ》を特殊召喚します」

彼女も俺の様に、デッキを取り出し扇の様に広げ、その中から1枚のカードを取り出し、ディスクにセットした。

そして、彼女のフィールドに半人半蛇の少女がとぐろを巻いて現れた。




レプティレス・ナージャ 攻撃力0守備力0
効果モンスター
星1/闇属性/爬虫類族/攻 0/守 0
このカードは戦闘では破壊されない。
このカードがモンスターと戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、
そのモンスターの攻撃力を0にする。
また、自分のエンドフェイズ時、
フィールド上に表側守備表示で存在するこのカードを表側攻撃表示にする。




ナージャの姿を見た俺は目を見開いた。

ナージャは転生前の俺がかなり気に入っていたカード。

しかし、あのカードはこの世界には存在しないはず。

まさかと思い俺は彼女を見詰めた。

「・・・・俺はこれでターンエンド」

俺の言葉でターンランプが彼女のディスクに点灯した。

そして彼女はデッキからカードをドローする寸前でその手を止めた。

その行動に俺は考えるのを止め怪訝な表情を浮かべた。

その時だった。

「クヒ、クヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!」

『ッ!?』

彼女が突然奇声をあげて笑い出した。

「もう、良いよね?」

彼女はそう言って髪を振り乱しながら血走った眼で俺の事を見た。

その瞳は、先程の水色とは正反対の、禍々しい深紅に染まっていた。

「ッ!」

明らかにさっきの彼女とは様子が違う。

さっきのは、演技?

いや、そうは見えなかった。

なら、目の前の彼女は一体・・・・・・。

その時、俺の中に1つの答えがゆっくりと浮上してきた。

「僕の性格の急変に驚愕してるね~」

彼女は驚愕する俺たちの表情を見て楽しんでいた。

その時、俺は彼女の瞳を見た。

その瞳には人の嫌う感情が蠢いていた。

“殺意”と“凶気”が。

「僕のターン! ドロー! 僕はフィールド魔法“サベージ・コロシアム”を発動するよ!!」

止めた手を動かし、彼女は勢いよくデッキからカードをドローした。

そして、ヴァルハラを含むフィールド全体を包むようにして、剣闘士が戦う闘技場、コロシアムが轟音を轟かせ現れた。




サベージ・コロシアム
フィールド魔法
フィールド上に存在するモンスターが攻撃を行った場合、
そのモンスターのコントローラーはダメージステップ終了時に300ライフポイント回復する。
このカードがフィールド上に存在する限り、
攻撃可能なモンスターは攻撃しなければならない。
エンドフェイズ時、ターンプレイヤーのフィールド上に
表側攻撃表示で存在する攻撃宣言をしていないモンスターを全て破壊する。




「クッ! そのカードは・・・・」

俺はフィールドを見て表情を歪めた。

そして、俺の表情を見た彼女は愉快そうに口笛を吹いた。

「フュ~! その顔は効果を知ってるようだねぇ!! さらに! 永続罠“スピリットバリア”を発動!! バトル! ナージャでアスモディウスに攻撃!!」

『何!?』

彼女の行動に俺と直哉と水瀬を除く周りの面々が驚愕した。

「攻撃力0のモンスターで攻撃力3000のモンスターに攻撃ってただの自爆じゃない!!」

「でも、スピリットバリアがある限り戦闘ダメージは無いわ。それに、あのモンスター、もしかして戦闘破壊される事によって発動する効果を持っているんじゃないかしら」

明日香は腕を組み、鋭い眼差しでナージャを見詰めた。

確かにナージャの効果に戦闘は絶対不可欠だ。

しかし、明日香の推測と彼女の目的は違っている。

ナージャがアスモディウスに飛びつき、その首筋に自身の牙を突き立て咬みついた。

勿論、明日香の説明道理、戦闘ダメージは0。

しかし、ナージャは破壊されていなかった。

「ナージャの効果発動! このカードは戦闘では破壊されない!」

「なんですって!?」

彼女の言葉に明日香が目を見開く。

驚愕する明日香の反応を見て、彼女の口角がさらに上につりあがった。

「さ・ら・に♪ ナージャと戦闘を行ったモンスターは、エンドフェイズ時に攻撃力が“ゼロとなる”!!」

『何!?』

ナージャの効果に明日香たちは驚愕した。

そして、明日香はさっきの彼女の行動の意味を理解し、額から汗を流した。

「俺はカードをセットし、ターン終了! さぁ、アンタのターンだ」

影光? LP4000⇒4300

彼女のターンエンド宣言と同時に、アスモディウスの身体に異変が起こった。

ナージャに咬みつかれた首筋を抑えながら、アスモディウスは膝をついて崩れ落ちた。


堕天使アスモディウス 攻撃力3000⇒0


「なんてコンボなの・・・・。どんなに攻撃力の高いモンスターを出しても、あのコンボの前では無力だわ!」

「それだけじゃない。サベージ・コロシアムは戦闘を強要するカード。ターンプレイヤーのモンスターが戦闘を行った時、そのプレイヤーはバトルフェイズ終了にライフを300ポイント回復する。しかし、それよりも気になるのは、彼女の突然の変化だ。彼女はあんな性格なのか?」

直哉が水瀬に訊ねる。

訊ねられた水瀬は、彼女の雰囲気に怯え、身を震わせていた。

「い、いえ、影光さんとは、アカデミア行きの船の中で知り合ったので、彼女の事を深く知らないのです」

そんな直哉たちの会話が聞こえてきた。

翔たちの方に視線を向けると、翔たちも同じように、彼女の突然の変異に驚き、怯えていた。

十代も珍しく体が震えていた。

あれは武者震いなどではないだろう。

枕田や浜口も彼女の発する雰囲気に怯えお互いに抱き合っていた。

あの明日香でさえ、彼女の雰囲気に怯え自身の体を抱きしめていた。

水瀬と直哉の方に視線を向けると、水瀬も恐怖し直哉の制服の袖を強く握りしめ、直哉は顔を歪め、明日香同様に自分の身体を強く抱きしめていた。

そう言う俺は、確かに恐怖している。

体が震えている。

でも、この状況・・・・・・。

「フ、フフフ、フハハハハハハハハハハハ!!!!」

『ッ!?』

愉しい!

久々の快感に体が震える!!

自分好みのデュエルに口角が上へとあがって行く!!

この状況に愉快を覚える俺自身に恐怖している!!

十代たちは俺までも奇声を上げた事に驚愕している。

俺の事をよく知っている親友の直哉は、どうにも好きになれない俺のこのキャラの登場に顔を引き攣らせていた。

「どうしたの? 壊れたの? アハハハハハハ!!」

俺の奇声に歓喜し、笑っている彼女。

その言葉に俺は指を左右に振り舌打ちをチッチッチッとならし甘いと言うアピールを送った。

「違うよ。これは元々。この状況下において最も場に馴染めその上、この場を有効利用できるキャラと言えば、これしか浮かばなかったんだよ」

彼女の恐怖が漂うこの水上において、このキャラは恐怖を糧としさらに強くなる。

彼女の事などもうどうでもいい。

今は目の前に居る彼女を徹底的に壊したくてしょうがないんだ!!

「“僕”のターン、ドロー」

デッキからカードをドローすると、不意に俺の口元に笑みが浮かんだ。

side out


side 直哉

「な、なぁ、直哉」

「ん、ん?」

震える十代が俺に訊ねてきた。

俺は震える体を必死に抑えこむ。

「雪鷹のあれって・・・・」

十代の言葉に俺の眉間に皺が寄る。

周りに目を配れば理子や明日香たちも此方に顔を向けていた。

俺は内に溜まっている空気を吐き出し、綺麗な空気を肺に送って行く。

「雪鷹のあれはキャラクタ―だ」

「キャラクター?」

俺の言葉をオウム返しする理子。

「嗚呼。アイツは、自分の好きなキャラクターの性格を演じる事で、自分自身をそのキャラクターに近づこうとしているんだ。そして、フィクションに近づく事で、自分という存在を向上さしているんだ。でも、アイツが好む性格は狂いものが主流だ。だから、彼女の変異で場が恐怖に包まれたのなら、アイツの本領が寄り発揮される事になる」

そう言って俺は再び自分の体を強く抱きしめた。

この世界へ来る前も、アイツの狂いっぷりに一瞬だけ、俺はアイツを嫌いになる所だった。

でも、“あの時”から、俺は決心した。

どんな時でもアイツの親友で居てやるって事を。

そして俺は再び雪鷹のデュエルに視線を戻した。

そこに居るのは、俺の大好きな親友の姿ではなく。

俺の大嫌いなアイツの姿。

side out


side 三人称

「僕のターン、ドロー! 僕はアスモディウスの効果発動! デッキから堕天使ゼラートを墓地に送る。そして、場のアスモディウスをリリースして、手札から《堕天使ディザイア》をアドバンス召喚!」

雪鷹の場で跪いているアスモディウスが闇の霧に包まれその姿を消す。

そして、アスモディウスを包む霧がゆっくりと晴れて行く。

しかし、その場にはアスモディウスの姿はなかった。

そこには、スペルビアと同じような深紅の翼を羽撃かせ、両腕に巨大な鉤爪を付けた新たな堕天使の姿があった。




堕天使ディザイア
効果モンスター
星10/闇属性/天使族/攻3000/守2800
このカードは特殊召喚できない。
このカードは天使族モンスター1体を
リリースしてアドバンス召喚する事ができる。
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に
このカードの攻撃力を1000ポイントダウンし、
相手フィールド上に存在するモンスター1体を墓地へ送る事ができる。




ディザイアの姿を見た彼女が不敵な笑みを浮かべた

「残念でした! 罠発動!《奈落の落とし穴》!! 消えちゃえ!! ディザイア!!」

ディザイアの足元に突然落とし穴が現れた。

ディザイアは翼を羽撃かせて空に逃げようとするが、穴の中から無数の手が現れ、ディザイアを穴の中に引きずり込んでいった。

「アハハハ! すごいすごい! でも、まだだよ? 僕はヴァルハラの効果を発動!! 再び現れろ! 堕天使アスモディウス!!」

自身のモンスターが破壊されたのに、雪鷹は愉快に笑っていた。

そして、再びヴァルハラから光が放たれ、天より黒紫の翼を羽撃かせてアスモディウスがフィールドに舞い降りた。

「そして、アスモディウスの効果発動! デッキからスペルビアを墓地に送る。 それじゃ、いくよ? バトル! 行け! アスモディウス! ヘル・パレード!!」

雪鷹は再びディスクからデッキを取り、扇の様に広げた。

そして、その中から1枚のカードを取り出し、墓地に送り、デッキをディスクにセットし直す。

アスモディウスが放つ闇の瘴気がナージャを襲った。

しかし、ナージャは破壊されず、プレイヤーにもダメージは無い。

「僕はカードを一枚セットして、ターン終了だよ♪」

僕 LP4000⇒4300

「ハハハハハハ!! アスモディウスはナージャの効果で攻撃力が0になるよ!!」

影光の場に居るナージャがアスモディウスに飛びかかり、その首筋に噛みついた。


堕天使アスモディウス 攻撃力3000⇒0


ナージャの毒にやられ、アスモディウスが膝をついた。

「改めて、僕のターン!! ドロー!! 僕は、《レプティレス・スキュラ》を攻撃表示で召喚するよ!!」

彼女の場にゴシックドレスを着た赤髪の女性が現れた。

しかし、その姿は異様だった。

何故なら、彼女の下半身は目が無い四足歩行の巨大な爬虫類の生物だった。

その生物の身体の左右には、生物と同じ顔が二つ並び口を開けおぞましい鳴き声を響かせていた。




レプティレス・スキュラ
効果モンスター
星4/闇属性/爬虫類族/攻1800/守1200
このカードが戦闘によって攻撃力0のモンスターを破壊した場合、
そのモンスターを墓地から自分フィールド上に
表側守備表示で特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。




「行くよ? スキュラでアスモディウスに攻撃!!」

スキュラは水面を蹴ってアスモディウスに向かっていく。

下半身の獣が跪いているアスモディウスを食らおうとした。

その時、雪鷹は影光と同じように不敵な笑みを浮かべた。

「罠発動!! 《聖なるバリアー・ミラーフォース》!!」

「そんな!?」

襲われそうになっているアスモディウスの前に、虹色に輝くガラスが現れ、向かい来るスキュラを跳ね返しアスモディウスを守った。

跳ね返されたスキュラは水面に叩きつけられ爆発して逝った。

その爆風に巻き込まれナージャも爆発して逝った。

爆風が影光を襲う。

「チッ! 僕はカードをセットしてターンを終了するよ!」

影光? LP4300⇒4600

血走った眼で彼女は雪鷹を見た。

雪鷹はその視線をケラケラ笑いながら受け流していた。

「僕のターン! ドロー! 僕は手札から《アドバンスドロー》を発動! 場のアスモディウスをリリースしてデッキからカードを2枚ドロー! さらに手札から《トレード・イン》を発動! 手札から《堕天使ゼラート》を墓地に送りデッキからカードを2枚ドロー!!」

アスモディウスが光に包まれ消えて行き、その光の残光が雪鷹のデッキトップに灯る。

雪鷹は光の灯ったデッキトップからカードを2枚ドローした。

そして、雪鷹は手札のモンスターを墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローした。

雪鷹は一気に手札を5枚まで回復させた。

「まだだよ!! 手札から《死者蘇生》を発動!! 墓地から《堕天使スペルビア》を特殊召喚! そして、スペルビアを墓地から特殊召喚した事で効果発動! 墓地から堕天使ゼラートを蘇生!」

水色の光を放ち、癒しの光で輝いている十字架が雪鷹の頭上に現れる。

癒しの光に照らされた大地に罅が走り、大地を突き破り、深紅の翼を羽撃かせて堕天使スペルビアがフィールドに降臨する。

そして、降臨したスペルビアの中から聖天使としてデュエルモンスターズ界で広く知られている、その神々しい姿に大きな翼を持つ大天使ゼラートが現れた。

しかし、その姿は神々しいというより、その逆で禍々しく、純白の翼も血に染まり真っ赤になっていた。

闇に落ちたその姿は、まさに堕天使だった。

「そして、フィールド魔法《死皇帝の陵墓》を発動!! ライフを2000払い、手札より《光と闇の竜(ライト&ダークネスドラゴン)》を召喚!!」

俺 LP4300⇒2300

湖を囲むコロシアムが音を立てて倒壊し、ヴァルハラが輝くその後ろに、中国の王の墓場が現れた。

墓場には王に仕えていた兵士たちの銅像が列を成し王の遺体を守っていた。

そして、墓場を守る2体の兵士が宙を舞い、2つの銅像が同時に割れたと思った瞬間、フィールドに光輝くものが舞い降りてきた。

その者の姿は純白と漆黒の対となる2色を左右の身体と翼に持つ竜だった。

光と闇の竜は影光に向かって大きく咆哮を轟かせた。

その咆哮に水面が大きく揺れる。

「なんだって!? そいつは!?」

光と闇の竜の姿を見た影光は急激に焦り始めた。

その表情に雪鷹は楽しげに笑った。

「察しの通りだよ。このモンスターは万物全てを拒絶する! バトル!! スペルビアでダイレクトアタック!! インフェルノ・ゲート!!」

スペルビアは翼を羽撃かせて闇の疾風を起こし、その疾風が影光を襲う。

「ガァァ!!」

影光? LP4600⇒1700

「これで終わりだよ? 愉しかったよ お姉ぇちゃん」

光を消した雪鷹の瞳が彼女を捉えた。

見詰められた彼女は何故か笑っていた。

その感情を雪鷹は知っていた。

「アハハハハハハ!! 気にいったよ!! 君、名前は?」

影光が雪鷹に訊ねてきた。

「雪鷹、相原雪鷹だよ。お姉ぇちゃんは?」

「始めに君と戦っていたのが影光(カゲミツ)アヤメ。それで、僕は影闇(カゲヤミ)殺姫(サツキ)だ」

そう言って不敵に殺姫は笑った。

「わかったよ。殺姫ちゃん。じゃ、“死んで?”」

そう言いながら雪鷹は右手を上げ、勢い下ろすと同時に命令を出した。

「堕天使ゼラートで攻撃!! デリート・コーラス!!」

雪鷹の声を聞いたゼラートが剣を振りあげ、殺姫目掛けて勢いよく振り下ろした。

「アァァァァァァァァァァァ!!!!」

殺姫 LP1700⇒0

to be continued
 
 

 
後書き
いかがでしたか?

私の書く小説は大抵狂いものが多いので、今後もこのような描写を書く事が多いと思います。

なので、無理をしない程度に読んでくださいね。

 
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