八条学園怪異譚
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第三十五話 座敷わらしその八
「私今でも小さいわよ」
「そうかな。私から見ればそれ程じゃないわよ」
こう茉莉也に言う。
「安心していいわよ、というかね」
「あっ、わかってくれたのね」
「茉莉也ちゃん小さいってこと結構気に入ってるでしょ」
「ええ、実はね」
自分の小柄さをだというのだ。
「小柄な女の子って男の子に人気あるから」
「だからなのね」
「許嫁の彼も私が小柄だからいいって言ってくれてるのよ」
「あっ、それはいいわね」
「でしょ?自分でも背が高い私って想像出来ないから」
こう言うのだ。
「小柄な私がいいのよ」
「茉莉也ちゃんが気にしていないといいわ」
「うん、ただね」
「ただって?」
「胸どう思うかしら、今の私の胸」
自分でその胸を前に押し出す、、そのうえでの言葉だ。
「こっちは大きいでしょ」
「確かに。結構ね」
座敷わらしは茉莉也は自分から身体の上体を前に出して見せてくる彼女の胸を見た、そのうえでこう言った。
「それが一番成長したわね」
「お尻も成長したわよ」
「いいじゃない、じゃあ許嫁の彼ともなのね」
「そうよ、大学を卒業したらね」
それからだというのだ。
「結婚するから」
「よかったわね、それは」
「ええ、ところでだけれど」
ここでだ、茉莉也は座敷わらしにこう言った。
「一ついいかしら」
「?どうしたの?」
「泉の話聞いてるかしら」
「ああ、皆でここで遊ぶ時に聞いてるわ」
座敷わらしはこう茉莉也の問いに答えた。
「何でも私達がこの学園に出入りするっていう扉みたいなものよね」
「そう、それだけれど」
茉莉也は座敷わらしと話しながらそのうえで今は静かにしている愛実と聖花の方を振り向いた、それで言うのだ。
「この娘達がそれを探してるのよ」
「茉莉也ちゃんのペット?」
「そうしたいけれどね」
さりげなく問題発言が出る、二人もびくっとなるが茉莉也はそれに構わずに座敷わらしに話し続ける。
「この娘達が冒険心ってやつでね」
「泉探してるの」
「見つけてからどうするかはまだ考えてないみたいだけれど」
それでもだというのだ。
「探してるのよ」
「凄くわかりやすい説明ね」
「そうでしょ、まあとにかくね」
「ここの泉ね」
「泉みたいな場所あるでしょ」
茉莉也は自分のペースで座敷わらしに話していく。
「そうでしょ」
「あの鏡ね」
「そう、あそこね」
「今すぐ行くの?」
座敷わらしは茉莉也を見上げて彼女に問う。
「そうするの?」
「どうするの?」
茉莉也は座敷わらしの言葉を受けて二人に顔を向けた、そのうえで問うた。
「今すぐ鏡のところに行く?」
「はい、何か私達今取り残されてる感じですけれど」
「それでも」
こう言うのだった。
「御願いします」
「まずやるべきことをやってから」
それでだと答えてだ、それでだった。
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