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久遠の神話

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第四十八話 会食その六

「これは非常にいいことです」
「ですね。アメリカ人としてそうなっているんですね」
「その通りです。それでなのですが」
 大石はこのことも上城に話した。
「先程ここに工藤さん達が来られてお話してくれたことですが」
「どんなお話ですか?」
「この神戸にアフリカ系の軍人の方が来られたそうです」
「そのアフリカ系アメリカ人のですか」
「はい、来られました」
 そうした人物がだというのだ。
「何でも空軍大尉だそうです」
「空軍っていうとパイロットですか?」
「いえ、パイロットではないそうです」
「そうなんですか」
「軍人といっても様々でして」
 大石は空軍といえばパイロットだと考えていた上城にこう述べた。
「パイロット以外の仕事も多いのです」
「ううん、軍隊って色々あるんですね」
「工藤さんもそうですね」
「確か海上自衛隊も」
「船だけではありません」
「そういえば航空隊もありますね」
「海上自衛隊は航空基地も多く持っています」
 哨戒機やヘリがある、飛行艇も使っている。
「そしてその航空基地もです」
「パイロットの人だけじゃないんですね」
「整備か管制、補給の人達がいます」
 その彼等の話になる。
「それに御飯を作る人達もです」
「基地には色々な人がいるんですね」
「そうです。軍にいるのは前線に出る人だけではないのです」
「それを支える人達もいるんですね」
「その大尉の方はも元々はそうした方だそうです」
 その前線に出る同僚を支える職種だというのだ。
「電子関係の整備を担当されているとか」
「そうした人ですか」
「丁寧な物腰の紳士だとか」
 大石は上城にこのことも話した。
「いい方だとのことです」
「そうですか」
「一度会われますか?」
「自衛官の人なら工藤さんは知ってます」 
 だがそれでもだというのだ。
「ですがアメリカ軍の人は」
「上城君は御存知ないですね」
「はい、アメリカ軍についても」
「確かに荒くれ者もいますが大抵は紳士ですよ」
「沖縄で聞く様な話は」
「海兵隊が多いのですが海兵隊は常に真っ先に前線に向かいます」
 火事場に飛び込むとも言う、海兵隊はアメリカ軍の先鋒なのだ。
 しかも常時戦闘態勢だ、それならばなのだ。
「気が立っている荒くれ者も多いです」
「そうなるんですね」
「そうです、ですから事件を起こる人もいます」
 だがそれはあくまで一部であり海兵隊の全てがそうではない、大石は上城に言外でこの話もしたのだった。
「そしてその方は空軍ですが」
「空軍はどうなんですか?」
「技術者集団で理知的な方が多い傾向にあります」
 やはり全員がそうではないがそうだというのだ。
「そしてその方は特に将校なので」
「紳士なんですか」
「将校は紳士になる為の教育も受けます」
 社会的な立場、しかも国際的なそれがある。だからこそそうなる為の教育も徹底して受けることになるのだ。
「ですから」
「それでなんですか」
「スペンサー大尉というそうですが」
 大石は彼の名前も上城に話した。 
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