SAOもう一人の聖騎士
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追想~舞い戻る聖騎士~
前書き
さて、シュピーゲル追想諞もそろそろ終盤です。誰が出てくるか・・・・・・もうわかりますよね?
「よし・・・・・・・誰もいないね・・・・・」
金属扉を開けたことで真っ白い埃が舞い上がる。この管制室はかなり重要な場所だったようだ、ざっと見回したところ面積は二十坪近くあり、かなり広い。一つ一つの機器の前に置かれていたであろう椅子がことごとく転がり、ハンドガン系の銃器や未使用の弾丸が散乱している。
同じ様に劣化が激しかったものの、端末はほぼ完全な状態で起動していた。ここでマップのデータを手に入れればすぐにでもシノン達と合流出来るし、管制の名の通りもしかしたら機械兵を停止・・・・・・まではいかなくとも、警備する場所を変更したり出来るかも知れない。
シュピーゲルは管制室の端末に手を触れ、機械兵の管制プログラムを起動させた。この基地の全体マップが現れ、警備機械兵が青い光点で表示される。この入口付近の赤い光点は・・・・・・・もしかして、シノン達だろうか?だとすれば、『自分が戻って来るまで絶対に動くな』と言うシュピーゲルの命令を守り続けていることになる。・・・・・・機械兵との戦闘も、一度や二度では無かっただろうに
「これじゃ、合流しないと殺されちゃうね・・・・・・・」
少しだけ、口を緩めた。機械兵の配置を探索がしやすくなるように変え、マップデータを持って管制室を出ようとし、
自らの後ろにいる何者かの気配を、察知した。
隠れようともしていない動きだった。ふらりとした足取りはまるで酔っ払いのようで、足取りには何の敵意もなく、それどころかあらゆる感情を察知させず、だからこそ異様な影。
幽霊かと思ったがそんなはずは無い。
距離は五メートル強、こんなところを一人で歩きまわる者が普通のプレイヤーであるわけがなく・・・・・・・
シュピーゲルは躊躇わず光剣に手をかけ、
その両腕が、斬り飛ばされる。
ずん、と腹の底を震わせる震動が地下空間を揺らした。ただ一歩の踏み込みでその男は距離を消し飛ばし、順手に握られた右の一刀でまだ展開すらしていないシュピーゲルの光剣を弾き、逆手に握った一刀で両腕を大根の様に切断した。シュピーゲルの斬撃よりさらに数段速い。
震動の余波で跳ね上がった椅子が壁にぶち当たって粉々になり、埃が嘘の様に舞い上がり、厚く埃が積もっていた床が一瞬で綺麗になる。
ひび割れた壁や天井の破片がパラパラと落ち、この仮想世界では絶対に出ないはずの赤色が腕の断面からほとばしり、
静かになった。
シュピーゲルのHPは一ドットも減っていない。
光剣は抜く前に右の鞘で押さえられ、左の柄はシュピーゲルの肩に触れて停止している。
この時点でもうシュピーゲルは気付いていた。抜剣すらしていない男に完全に抑え込まれたこと。そして先程の『錯覚』はこの男が『戯れ』に放った殺気の産物であることを。
いや、正確には気付いたのではない。『知っていた』のだ
「・・・・・・・おいおい」
口の端を歪める男。
二刀一対の双刃。それでありながらシュピーゲルを凌駕する剣の腕。近接戦闘における純粋な技量の差。神速の踏み込みと腹を揺さぶる震動、・・・・・・・そして、翻るコートとテンガロンハット。そして不敵に煌めく漆黒の双の瞳。服装の色の違いはあれど、その全てをシュピーゲルは知っている・・・・・・・覚えている。
「しっかりしてくれよ。何かと出くわす度に剣を抜いてたんじゃ、そこらのMob(イカレ)と変わらんぜ」
起きる筈の無いことが起こっている。
いるはずのない男がここにいる。
「クラ、ディール・・・・・・・!?」
亡霊を見たが如く、その名を呟く。
伝説のPKKギルド、審判の騎士(ラダマンテュス)筆頭、白騎士のクラディールは、かつての戦友との世界を超えた再会に、昔と同じように飄々と笑んだ。
後書き
か、課題が終わらねぇ・・・・・・・
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