『曹徳の奮闘記』改訂版
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第九十五話
「曹操の軍船を探せッ!! 奴を討ち取ればこの戦は終わるッ!!」
夏候淵を捕らえた後、砲撃をしつつ曹操の軍船を探していた。
「旗船は判るか?」
「探していますが……黒煙等で視界が遮られたりしますので……」
「む……それは仕方ないな。全力を尽くしてくれ」
「はいッ!!」
「……いましたッ!! 曹操の旗船ですッ!!」
「間違いないかッ!!」
「はい、間違いありませんッ!! 旗船の『師』の旗もありますッ!!」
そいつだな。
「砲撃で敵の進路を押さえて斬り込むッ!! 準備をしておけッ!!」
「斬り込むのか?」
「あぁ……曹操とはこいつで決着をつけたい」
焔耶の言葉に俺はそう返しといた。
「……そうか。なら私が後ろを支えてやるから存分に暴れてこい」
焔耶はニヤリと笑った。
「頼りにしてるぞ焔耶」
「あぁ任せておけ」
そして船は曹操の旗船を砲撃して進路を押さえつつ左舷に平行した。
「総員斬り込み用意ッ!! 接舷だ接舷ッ!!」
船はゆっくりと曹操の旗船に近づいた。
「駄目ですッ!! 王双の軍船が接近してきますッ!!」
「華琳様ッ!! このままでは……」
「……総員、敵の斬り込みに備えよッ!!」
曹操はそう命令を下した。
「それでは……」
「此処で……王双を迎え撃つわ。そろそろ決着をつけなければならないわ」
曹操はそう呟いた。そして曹操の旗船に王双の軍船が取りついた。
「総員抜刀ッ!! 突撃ィ前へェッ!!」
「弓隊は射撃をして斬り込み隊を支援せよッ!!」
『ウワアァァァァァーーーッ!!!』
弓隊が援護射撃をしつつ斬り込み隊が旗船に乗り込んだ。
「撃ェッ!!」
左舷の一番砲が火を噴いて旗船の甲板に穴を開ける。
「華琳様のところへは行かせはせんぞッ!!」
夏候惇が奮戦をしている。
「ちぃ、猪武者め……」
「長門ッ!! 先に行けッ!!」
そう言って焔耶が夏候惇と対峙する。
「けど焔耶。お前だと夏候惇とは……」
「私を忘れては困る」
そこへ思春が現れた。
「思春、お前は蓮華に付いて……」
「桜花が護衛してくれている。蓮華様にもお前を援護せよと言われているからな」
思春はそう言って夏候惇と対峙する。
「焔耶、思春……頼むぞッ!!」
俺は二人に感謝して奥へと進んだ。
「……夏候惇にしては王双には斬りかからないな?」
「フン、華琳様の命令だからな。王双は通せとな」
夏候惇はニヤリと笑い、得物を構えた。
「行くぞォッ!!」
そして三人が衝突した。
「ちぃ、敵兵がわらわら出やがって……」
「ウオォッ!!」
「牙突ッ!!」
奥へ突き進んでいた俺だが、わらわらと出てくる敵兵に手を焼いていたがそれは程なく終わった。
「……久しぶりね王双」
現れたのは死神鎌「絶」を装備した曹操だった。
「……大人しくしてもらおうか……曹操。既に戦いは終わった」
「まだ終わったわけではないわ王双……いや曹徳と言った方が良いかしら?」
……はぁ。
「……曹徳は当の昔に捨てた名だ」
曹操の言葉に俺は遂に曹徳だと認めた。周りを見るが火が回ってきている。
「なら曹徳、夏候淵はどうしたのかしら?」
「そんなもんとっくに斬り捨てた」
俺は牙突の構えをして曹操も絶を構えた。
「曹徳ゥゥゥーーーッ!!」
「行くぞ曹操ォォォーーーッ!!」
そして周りが炎の中、俺は曹操に斬り込んだ。狙いは曹操の左脇腹(曹操から見たら右脇腹)ッ!!
「それくらい読んでいるわよッ!!」
曹操が右へと退避するが、それでは駄目だな。
「突きがかわされてもそこから横薙ぎに変換出来るんだぞッ!!」
「し、しま……」
そして俺は曹操の左脇腹から横一文字のように斬り込んだ。
腹から血が噴き出し、曹操は倒れそうになるが絶を杖代わりにして倒れる事はなかった。
けどな……。
「曹操、まさか手を抜いたわけじゃないよな?」
「………」
曹操は俺の言葉に黙り、絶を構えて突っ込んだ。右肩からの袈裟斬りをしようとしたが、斬りかかる寸前で刃で防いだ。
「……わざと受けたのは対等となるためよ」
「何……だと……?」
「幼い時からの鍛練で、貴方は私に勝てなかった。そのために斬撃を受けたのよ」
「……ふざけんなッ!! そんな事で負傷したと言うんかッ!!」
「ガフッ!!」
俺はそう叫び、曹操を蹴り飛ばした。
「生け捕りにしようと思ったが……此処で斬り捨てる」
そう言った時、背中がゾクッとした。
「……この覇王を生け捕り? 貴方こそふざけてないかしら? 本気を出せば貴方は死ぬわよ?」
……これはかなりやばい殺気だな。てことは今までは本気じゃなかったのか。
「しゃあァァァァァッ!!」
「ぐゥッ!!」
曹操が俺の両太股に斬りつける。ちぃ、これだと瞬発力が落ちるな。
「貴方に気を付ける点はその瞬発力。それを押さえれば私は余裕で勝てるわ」
「……それはどうかな?」
俺はニヤリと笑った。
「……何ですって?」
「余裕で勝てる? 覇王ともあろう奴がそう思うとはな。確かに瞬発力は押さえられたけど、それでも俺が勝てるぞ」
俺は曹操を煽った。曹操はフッと笑った。
「良いわ。余程自信があるのね、その自信は無くしてあげるわよッ!!」
曹操は絶を横薙ぎで斬りつける……いや、絶の尖端を俺の左脇腹から突き刺すんだろうな。
「自信じゃない。確信だッ!! 牙突『零式』ッ!!」
「ッ!?」
俺は絶を狙って牙突『零式』を放った。絶は持ち手の部分が砕けた。
尖端は俺の左脇腹に突き刺さっていたが、それほど食い込まれてなくギリギリだった。
そして曹操は衝撃で壁まで吹き飛ばされた。
後書き
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