俺と現実とファンタジー

今回の話で翔太の”運動神経がずば抜けていい”以外の強さの秘密が明らかになります 

sideシャグリーン

は、白髪の動きが止まりおった……？　いや違う……”スピードがいきなり遅くなった”……
そして動きが止まった瞬間、翔太が殴り飛ばしたんじゃ……
じゃが何故動きがいきなり遅くなったんじゃ？　確かにあやつの動きは現実では『ありえない』……だが、翔太は触れておらん……まてよ、まさかパワーアップした事とは……！

｢ジーくんが……じゃ、しょうがないかな。お姉さんが言っちゃう☆」
｢へぇ……雑魚じゃぁねえみたいだなぁ、よっしゃ俺も行くぜぇ！」

二人同時か……しかし今の翔太ならば、勝てるやもしれん。

｢二人同時かよ……やってやらぁ！」

金髪の女が放つ突きを翔太はステップを使い躱す。女は型はなっているが翔太の能力のせいで動きが遅くなっており、なんともチグハグだった。そして突きを弾き、左拳でアッパーを―――

｢ははっ！　後ろがガラ空きだぁっ！」

そうじゃった！　これは二対一……まずい！　あれは喰らってしま―――
――ふ、防いだ！？　体をひねり腕の鉄甲を使い防いだ！　後ろに向けて蹴りを放ち、金髪を牽制することも忘れない……そして後ろに跳び退った！
……じゃがわしはこの攻防に疑問を抱いていた……パワーアップの内容は解った、じゃから奴らの動きが翔太よりずっと劣る動きになっておることもわかる……じゃが！

｢ぐうっ……これならどうだぁ！？」
｢はぁぁっ！！」

巨躯の男がミサイルを放ち、金髪の女が竜を嗾ける。竜や、翔太に向かっていったミサイルは無効化され消えたが、関係のない場所に着弾したミサイルのせいでそこらで爆発が起き、岩の破片が大小合わせ無数に飛ぶ！
翔太はそれを必死に避けていたが、やはり疑問が残る動きだった。
当たると思った一撃や、破片を全て”避ける”、”防ぐ”……いくら運動神経が良いとはいえ、ここまでの動きができるものか？　特訓もしたが、それを含めてもおかしい。

そもそも”運動神経が良い”とは思考した理想のイメージを完璧に再現できる、次の行動の予測ができる、ということでもある。じゃが、それだけではあの動きは…………まてよ、あるぞ……その動きを可能にするものは確かにある、それは現実でも”再現可能”だし、元から持っていても不思議ではない……金髪オッドアイとの戦いで武器を全て避けたことも、人外(クソッタレ)との戦いの違和感もこれなら頷ける……けれど有り得てよいのか……！？

｢ぜぇ、ぜぇ……当たれっての……このヤロウ……」
｢はぁ……はぁ……いい加減……にしてよ……はぁ……」

わしが思考しているあいだにも勝負は進んでおったが、普段どおり動いていたのか、敵二人は疲労の色が見えており、翔太にも疲労の色はあったが二人に比べればまだまだいけるようだった。
まあ、あまり無駄な動きしとらん上に相手が無駄な動きばかりしておったらこうもなるわな。

｢まだまだ！」

巨躯の男に向かって翔太は走り出す！

｢な……めんなぁ！」

巨躯の男もそれを迎え撃つ！　巨躯の男が打ち出した拳を避け、ボディブローを入れる！
続けてミドルキック！　更にボディブロー！

｢ぐ……ぶっ……！　ん……なろぉ……！」

あの巨躯の男、なんてタフなんじゃ！　だが翔太は巨躯の男が悪足掻きとして倒れこむように放った拳を簡単に躱し、男を踏み台に金髪の方へ向かう！

｢ま……だ！　まだ、よ！」

どうやら英雄派の連中はタフなものが多いらしいの……火事場の馬鹿力のおかげか、女の放つ突きの速度は上がっていた。　が、それをも翔太は躱し、顔面に拳を叩き込んだ！
……あの突きの速度はかなり速かった。　じゃが翔太は躱した……まさか翔太は……


神経伝達速度と筋収縮速度が驚異的に速いのか！？


それならば現実でもあり得るし、今まで見せた動きにも納得できる…………
……翔太よお主はとことん不幸じゃな……それだけの才能を持ち、かなりの努力を重ねてきたのに、それを世間で発揮することもなく死んでしもうたんじゃから……

｢これは……ちょっとまずいかな、退散するか」

曹操がそう言った直後、全員の体が霧に包まれ……次の瞬間には消えていた……


side翔太

……ふぅ～、終わった……。ちょいときつかったな今回は……

｢翔太よ……お主の力は……」
｢ああ、お前が思っている通りだ、パワーアップの内容は―――
”効果範囲の拡大”だわな。確かにパワーアップだよな、これ。」
｢いや、それではないんじゃが……」

それでは無い？　じゃぁ何なんだ……？　まぁいいか、あとで聞けば。っとそれより……

｢飯にしようぜ。腹減ったっての……」
｢うむ、そうじゃな。考えていても仕方ないか」

……しかしテロリスト集団『禍の団』(カオス・ブリゲード)か……
また厄介事が来そうな予感がするっての……

 

またもやグダグダになったような……