SAOもう一人の聖騎士
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追想~灰色の刃風~
前書き
すいません、お盆で少しネットができませんでした・・・・・・・ではそろそろ終盤です、シュピーゲル追想諞、どうぞ!
「ここは・・・・・・」
シュピーゲルは少しでも探索を安全かつ容易にするため、マップ制作に勤しんでいた。しかも単独で、である。一見無謀にしか見えないが、これにもしっかりと理由があった。彼が単独で行動しているのは、途中でもし機械兵に出くわしても彼一人なら簡単に逃げ切れるからである。
崩れかけた奥に続く地下道への入り口を発見し、そちらへ足を向ける。階段を降りると、真っ暗な地下道から濃密な錆の臭気が鼻をついた。ヒュウ、ヒュウと侘しく鳴る風がより哀愁を誘う。
「やっぱり、こんな辺境のダンジョンがマッピングされてる訳ないか・・・・・・やれやれ、先は長そうだ」
徐々に闇に慣れ始めた目をふと壁に向けると、近日公開される予定だったであろう映画のポスターが貼られている。立場の違い故に結ばれない男女の悲恋を描いたものらしいが、折角のポスターも色が落ち、劣化してボロボロになっていた。どんな偶然か、公開日時は(設定上)二百三十年前の今日だった。
剥がれかけたそのポスターの右端が錆びついた風がかさりと揺らす。その時、シュピーゲルはすでに光剣を抜いていた。
いる。
先程倒したのと同じ種類の機械兵だ。別動隊か、それとももとの部隊から外れたのか。いずれにせよ数は数体。増援を呼ばれる前に仕留めておくべきだろう。
凄まじい速度で飛び出してくる影。紅い狂気の目が光り、シュピーゲルはその狂った紅い光りを真っ向から見返した。
蒼白い光刃が走り、半円の軌道を描いて閃いた。
闇に翻る光刃が機械兵の身体の右から入って、最小限の動作で胴を抜いた。片手剣単発技、『スラント』。勿論、このGGOにはソードスキルは存在しない。先程スラントと言っていたがあくまでそれはただの斜め斬りである。そのため、発動後の硬直など端から存在しない。
左下に落ちた斬撃はそこで止まらず、一切の淀みなく低空を駆け、後続の二機目を的確に捉えている。跳ね上がった剣先が標的の首を斬り落とす時、シュピーゲルの銀灰色の瞳は既に次の反応を見つめている。
「くそ、増えてる!」
無人の荒れたホームを抜け、車両の存在していないレール上に飛び降り、駆ける。いつの間に増えたのか、後方にも多くの機械兵が待ち構えている。怯むこと無く光剣を握り直し、細く細く呼気を吐く。
「・・・・・・・通して貰うよ」
水の満ちた杯を傾けた様に、行き場も無く淀んでいた空気が一気に流動した。腐りかけたオイルが飛び散り、壁や床を点々と汚していく。辛うじて読めたあのポスターも、暗い赤色をしたオイルによってそこにポスターがあったことすら分からなくなってしまった。
ガチガチガチッ!と硬質な足音が次々と動き始める。四方八方から赤茶色の斬撃が何閃も降り下ろされる細い音。その中で、ブオン、ブオンと一際歪な音を立てる一閃のみが敵を逃さない。
予測線の存在しない茶色い『死線』を頭を傾ける、半身を引くといった最小限の動作で回避し、同じように手首の関節だけを使った最小限の反撃。蒼白い高密度エネルギーの残光がまるで旗の様に翻る。
「邪魔だ!」
包囲網の穴を空け、瞬時に自らの限界速度まで到達。高速で動き続ける両足は、速すぎて最早残像すら置き去りにしている。立ち塞がる二体の機械兵に地を這うような低姿勢で肉薄し、右から左へ、そして振り抜いた瞬間に手首を返して先程の軌道をなぞる様に続く一閃。二回斬撃を放ったはずなのに、かかった時間は一刹那にも満たしていない。
シュピーゲルは疾走の途中、一つの扉に目がついた。扉に打ち付けてあるプレートにはこうある・・・・・・・『警備機械兵管制室』と。
「っ!ここは・・・・・・・!?」
奥に備え付けられた穴に手を突っ込み、そこにあるハンドルを思いきり捻る。扉が開ききる前に、シュピーゲルはその中へ飛び込んだ。
後書き
た、大変だ・・・・・・・!課題が!課題がぁ!
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