久遠の神話
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第四十八話 会食その二
「全体主義国家です」
「じゃあ二次大戦の時のアメリカは」
「民主主義とは言えませんでした」
大石はこうも言い切った。
「全くです」
「ううん、アメリカがですか」
「そうした考えも可能です」
「日系人の人達も大変だったんですね」
「略奪暴行を受けても警察も何もしませんでした」
当時のアメリカは法治国家でもなかったというのだ。
「全くです」
「酷い話ですね」
「警官も人間であり」
偏見があるというのだ。
「それ故にです」
「略奪とかもあったんですね」
「日系人の方々は強制収容所に入れられ名誉も失い」
合衆国が絶対に守る筈のそれに限らずだった。
「人権も剥奪され財産もです」
「奪われたんですね」
「収容所に入れられる為社会活動ができなくなりました」
そしてそこで財産を売る羽目になったがそれが二束三文で買い叩かれたのだ。つまり彼等は全てを失ったのである。
「それが第二次世界大戦に起こったことです」
「ううん、じゃあ僕達がアメリカに行くと」
「流石に今はないです」
大石は今現在は大丈夫だと断言した。
「このことは合衆国においても負の歴史として語り継がれています」
「人種差別の歴史ですか」
「アメリカは自由の国ですが人種差別の国でもあります」
様々な人種が集まるが為にどうしてもそれがあったというのだ。
「日系人の話もその一つだったのです」
「日本からの移民もできないんですね」
「今はできます」
そうした移民制限、排日移民法はなくなったというのだ。
「そして日系人を排撃した政治家がいたのですが」
「それは誰ですか?」
「当時のカルフォルニア州知事アール=ウォーレンです」
「アール=ウォーレン!?」
「はい、彼は日系人をジャップと呼び予断と偏見で以て日系人を攻撃していました」
「人種差別主義者だったんですね」
「その通りです」
大石もウォーレンがそれに他ならなかったと認める。
「そうした団体に入っていたという説もあります」
「KKKですか?」
上城は人種主義的団体、アメリカのそれと聞いて真っ先にこの団体を連想した。
「それですか?」
「KKKばかりとは限りません」
大石はその上城にアメリカにある人種主義団体はクランだけではないことも話した。
「他にも存在していまして」
「KKK以外にもあるんですね」
「そうです。主張は同じでもです」
「それでもそんな団体に入っていた人が知事だったんですか」
「そうした時代でした。そしてです」
さらに言う大石だった。
「彼の攻撃は戦時中続きましたが」
「確か日系人の人達は」
ここで上城はあることを思い出した、その思い出したことはというと。
「戦争に参加して活躍したんですよね」
「四四二部隊です」
「そうでしたよね。アメリカ軍で一番強かったっていう」
「彼等はその活躍で偏見にも打ち勝ちました」
「じゃあ人種差別を行っていた人達は」
「今その答えが出ています」
その答えはいうとこうしたものだった。
「偏見で他者を迫害した醜悪な者達だと」
「ですよね、やっぱり」
「人の発言や行動は残ります」
大石は何時になく厳しい声で上城に話した。
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