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万華鏡

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第三十四話 トラックその五

「ああした人間になっては駄目なのよ」
「あんな最低な連中にはですか」
「絶対になんですね」
「反面教師にしてね」
「それでああはならない様にする」
「そういうことですね」
「反面教師も大事よ」
 そうした輩もだというのだ。
「自分はああなってはならないっていう人を見ることもね」
「そうなんですね、そうした人を見ることも」
「大事なんですか」
「自分が反面教師になっても駄目よ」
 反面教師を見て学ぶからにはというのだ。
「絶対にね」
「人の振り見て我が振りですか」
「つまりは」
 生徒達も先生の言葉を聞いて納得しだした、そうしてだった。
 トラックを見てだ、里香はこんなことも言った。
「こんな素晴らしいトラックをこれからも造れたらいいわね」
「いや、もっと凄いだろ」
「もっとなの」
「ああ、現状維持じゃなくてさ」
 美優は里香に対して微笑んで話す。
「そう思わないと駄目だろ」
「前向きになのね」
「何でもな」
「車を造ることだけじゃなくて」
「音楽でもだろ、あたし達が練習して演奏して歌うのもさ」
 そうしたことがだというのだ。
「今よりもよくないたいって思ってるからだろ」
「ええ、今のままだと下手なままだから」
 里香はややマイナス思考であった、それでトラックのことは現状維持で言ったのだ。しかし美優の話を聞いてだった。
 考える顔になってだ、こう言った。
「もっと前向きにね」
「トラックだってさ」
「今よりもなのね」
「ずっといいのを造ってさ」
 美優は笑顔で里香に話す。
「皆に役立ってもらわないとさ」
「そうね、駄目よね」
「今のままだとトラックだって駄目だろ」
「もっと性能がいいものじゃないと」
「音楽と同じでさ」
「そうなんだよ」
 こう里香に話す、そうして。
 自分もトラックを傍で見て確かな顔で言った。
「いいトラックだけれどさ」
「このままではよくないのね」
「満足したらそれで終わりっていうしさ」
 それだけにだというのだ。
「これよりいいの造ってこそだろ」
「今に満足せずになのね」
「だからあたし達も頑張らないとな」
「それで今よりよくなるのね」
「明日は今日よりもよくなって」
 そしてだというのだ。
「明後日は明日よりよくなってな」
「そう思ってやっていくのね」
「結構お気楽にやってるけれどな、あたし達って」
 このことは振り向いてみればそうだった、プラネッツの活動はトレーニング等は欠かしていないがそれでもなのだ。
「ゆるゆるっていうかな」
「ううん、言われてみれば」
「マイペースだよな」
「そうよね」
「けれどマイペースでもな」
 それでもだとだ、美優は笑顔で話す。 
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