真似と開閉と世界旅行
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バチカル~
前書き
新キャラ登場。ではどうぞ。
「ここが・・・バチカル?」
そう聞いたのはルークだ。
「なんだよ。初めて見たみたいな反応して・・・」
「仕方ねぇだろ!覚えてねぇんだ!」
ガイの言葉にそう返す。
「記憶喪失になってから外にでてなかったのか」
「・・・すっごい街!縦長だよぉ」
アニスが街を見上げながら言う。
「チーグルの森の何倍もあるですの」
「ここは空の譜石が落下してできた地面の窪みに作られた街なんだ」
「自然の城壁に囲まれてるって訳ね。合理的だわ」
ティアが感心する。
「うわ~・・・」
愛依が目を輝かせて辺りを見渡す。そのまま進もうとしたら・・・漆黒の翼がいた。
「・・・そちらのお坊っちゃまがイオン様かい」
「何なんですか、おばさん!」
「つるぺたのおチビは黙っといで。楽しみにしといで。坊や達。・・・行くよ!」
「へいっ!」
漆黒の翼は去っていく。・・・当然、アニスは激怒している。
「なんなの、あいつら!サーカス団みたいなカッコして!」
「そういや、あいつらどことなくサーカス団の“暗闇の夢”に似てるな。昔、一度見たきりだから自信はないが・・・」
ガイが言う。
「なんだよ!おまえ俺に内緒でサーカスなんか見に行ってたのかよ!」
「あ、ああ、悪い悪い・・・」
「・・・気になりますね。妙なことを企んでいそうですが」
「イオンを気にしてたみたいだな・・・気を付けろよ、イオン」
「はい。わかりました、サキ」
・・・そして、バチカル城に到着する。しかし・・・
「ただいま大詠師モースが陛下に謁見中です。しばらくお待ちください」
「モースってのは戦争を起こそうとしてるんだろ?伯父上に変なことを吹き込まれる前に入ろうぜ!」
「おやめ下さい」
「俺はファブレ公爵家のルークだ!邪魔をするようなら、お前をクビにするよう申し入れるぞ!」
「(こういう時に貴族って役に立つよな)」
「ルーク、いいのでしょうか。こんな強引に・・・」
「いいんだよ」
俺達は中に入る。すると当然玉座の近くにいる男が反応する。
「無礼者!誰の許しを得て謁見の間に・・・」
「うるせぇ、黙ってろ!」
「その方は・・・ルークか?シュザンヌの息子の・・・!」
シュザンヌ、とは奥様の事で、インゴベルト六世陛下は奥様の兄に当たる方だ。
「そうです、伯父上」
「そうか!話は聞いている。よくマルクトから無事に戻ってくれた。すると横にいるのが・・・」
「ローレライ教団の導師イオンと、マルクト軍のジェイドです」
「ご無沙汰しております、陛下。イオンにございます」
近くにいた男が狼狽える。
「導師イオン・・・お、お捜ししておりましたぞ・・・」
「モース。話は後にしましょう。・・・陛下、こちらがピオニー九世陛下の名代、ジェイド・カーティス大佐です」
ジェイドが片膝をつく。
「御前を失礼いたします。我が君主より、偉大なるインゴベルト六世陛下に親書を預かって参りました」
そうして、ルークはインゴベルト六世陛下に言う。
「伯父上。モースが言っていることはデタラメだからな。俺はこの目でマルクトを見てきた。首都には近付けなかったけど、エンゲーブやセントビナーは平和なもんだったぜ」
「な、何を言うか!・・・私はマルクトの脅威を陛下に・・・」
「うるせっ!戦争起こそうとしてやがるんだろうが!おまえマジうぜーんだよ!」
「ルーク、落ち着け。こうして親書が届けられたのだ。私とて、それを無視はせぬ。皆の者、長旅ご苦労であった。まずはゆっくりと旅の疲れを癒されよ」
こうしてみんなが休もうとしたが・・・
「ルークよ。実は我が妹シュザンヌが病に倒れた」
「母上が!?」
「わしの名代としてナタリアを見舞いにやっている。よろしく頼むぞ」
「(ナタリア・・・?)」
愛依が呟く。俺は愛依の耳元に口を近づける。
「(ナタリア様はインゴベルト六世陛下の娘で、ルークの許嫁だよ)」
「(お、お偉い方なんですか!?)」
・・・とにかく、一旦俺達はルークの屋敷に向かうことになった。
「父上!ただいま帰りました」
「報告はセシル少将から受けた。無事でなによりだ。ガイとサキもご苦労だったな」
「「・・・はっ」」
「使者の方々もご一緒か。お疲れでしょう。どうかごゆるりと」
「ありがとうございます」
「ところで、ルーク。ヴァン謡将は?」
「師匠?ケセドニアで別れたよ。後から来るって・・・」
「ファブレ公爵。私は港に」
「うむ。ヴァンのことは任せた。私は登城する」
ファブレ公爵はそう言って出ていく前に・・・
「キミのおかげでルークが吹き飛ばされたのだったな」
「・・・ご迷惑をおかけしました」
ティアが謝る。
「ヴァンの妹だと聞いているが」
「はい」
「ヴァンを暗殺するつもりだったと報告を受けているが。本当はヴァンと共謀していたのではあるまいな?」
「共謀?意味がわかりませんが」
「まあよかろう。行くぞ、セシル少将」
「なんか変だったな。旦那様」
ガイが呟く。
「ヴァン師匠がどうしたんだろう・・・」
「私もここで・・・」
「どうせなら奥様にも謝っていけば?・・・まぁ、奥様が倒れたのもルークがいなくなったせいだろうし・・・」
「・・・そうね。そうする」
俺達は奥様の部屋に向かう・・・途中。
「ルーク!」
「げ・・・」
奥から走ってきたのは・・・
「まあ何ですの、その態度は!私がどんなに心配していたか・・・」
「いや、まあ、ナタリア様・・・ルーク様は照れてるんですよ」
「ガイ!あなたもあなたですわ!」
「ルークを捜しに行く前に私の所へ寄るようにと伝えていたでしょう?どうして黙っていったのです」
「俺みたいな使用人が城に行ける訳ないでしょう!」
近づくナタリアからガイが飛び退く。
「何故逃げるの」
「ご存知でしょう!」
「私がルークと結婚したら、おまえは私の使用人になるのですよ!少しは慣れなさい!」
「無理です!」
俺はゆっくりと後退りをする。
「サキ!」
「ハイッ!?」
「あなたもそんな真っ黒な格好をして・・・もっとしっかりしたものを着なさい!」
「い、いえ・・・これは動きやすいので・・・」
「そんなので私の使用人が勤まるの!?」
「お、仰る通りです・・・」
正直に言う。この人苦手だ。
「おかしな人たち。こんなに情けないのに、なぜメイド達はこの二人がお気に入りなのかしら」
ナタリア様がルークを見る。
「それにしても大変ですわね。ヴァン謡将・・・」
「師匠がどうかしたのかよ?」
「あら、お父様から聞いていらっしゃらないの?あなたの今回の出奔は、ヴァン謡将が仕組んだものだと疑われているの」
「それで私と共謀だと・・・」
「あら・・・そちらの方は?・・・ルーク!まさか使用人に手をつけたのではありませんわよね!」
ナタリア様がティアを見てルークに言う。
「なんで俺がこんな冷血女に手を出すんだ!つーか、使用人じゃねーよ!師匠の妹だ」
「・・・ああ。あなたが今回の騒動の張本人の・・・ティアさんでしたかしら?」
「んなことより、師匠はどうなっちまうんだ!」
「姫の話が本当なら、バチカルに到着次第捕らえられ、最悪処刑ということもあるのでは?」
「はぅあ!イオン様!総長が大変ですよ!」
「そうですね。至急ダアトから抗議しましょう」
「なあ、師匠は関係ないんだ!だから伯父上に取りなしてくれよ!師匠を助けてくれ!」
「・・・わかりましたわ。ルークの頼みですもの。その代わり、あの約束早く思い出してくださいませね」
「ガキの頃のプロポーズの言葉なんて覚えてねっつーの!」
「記憶障害のことはわかっています。でも、最初に思い出す言葉があの約束だと運命的でしょう?」
「い、いーからとっとと帰って伯父上に師匠の取りなししてこいよっ!」
「もう・・・意地悪ですわね。わかりましたわ」
ナタリア様は帰っていく。・・・あんな典型的なお姫様っているんだなぁ・・・麗羽よりかは幾分マシだけど・・・猪々子、斗詩。お前らの苦労を知ったよ。・・・そしてティアとルークは奥様に会ってきて・・・
「ナタリア様って綺麗な人。可愛いドレスも似合うし・・・」
「そうかぁ?ぎゃあぎゃあうるせーだけだよ」
「それにティアだって綺麗じゃないか」
ガイが不意打ち気味に言うと、ティアの顔が赤くなる。
「あ・・・ありがとう・・・」
そしてガイに近寄って・・・
「・・・ご、ごめんなさい。うっかりしてたわ」
「いや、こっちこそスマン」
「お前な、さらっとそういうこと言うから女に惚れられるんだよ」
「・・・思ったことを言っただけなんだがなぁ」
それが悪いんだっつーの。
「愛依、お前は城に行けば部屋が用意されて・・・」
愛依が俺のマントを掴む。
「その・・・咲さんと・・・一緒がいい・・・」
「・・・」
もしかしたら、破壊者になる前はこんな引っ込み思案だったのかもしれないな。
「ルーク、俺は愛依を部屋に連れていくよ。・・・じゃあな」
そして一晩経って・・・
「サキ、起きてるか?」
朝早くガイが入ってくる。・・・まだ愛依は寝ている。
「用事ができたぜ。ルークの世話係だ」
「は?」
・・・話を聞くと、和平の第一歩として、アクゼリュスという場所の住民を助けることになった。アクゼリュスは障気が溢れだし、危険な状態にあるらしい。マルクト側の通路も障気で塞がれているため、キムラスカ側から向かうと言うわけだ。ルークはキムラスカの親善大使としてアクゼリュスに向かうことになり、俺とガイがルークの世話係に選ばれたらしい。
「じゃ、俺は先に行ってるぜ」
ガイが出ていく。俺は愛依を見て・・・
「(置いてったら泣くよな・・・絶対)」
俺は愛依を起こして説明して・・・
「い、行きます!」
・・・即答だった。
『意外に優しいッスね』
「こんなんじゃ殺意も湧かねーっつの」
そうして城に行くと、丁度ルークと・・・ヴァンが出てきた。
「兄さん・・・」
「話は聞いた。いつ出発だ?」
「そのことでジェイドから、提案があるらしいですよ」
「ヴァン謡将にお話しするのは気が引けるのですが・・・まあいいでしょう」
・・・ジェイドが言うには神託の盾の船が海を監視しているらしい。そこで囮の船を出し、俺達は陸路を行くという訳だ。・・・囮の方にヴァンが立候補したため、ヴァンと別れた。
「・・・こちらは少人数で行くべきです」
ジェイドは愛依を見る。
「これ以上同行者を増やさないようにしましょう」
「・・・で、残ったのが冷血女と記憶喪失二人に女嫌いか・・・」
「誤解を招く言い方をするな!女性は大好きだ!」
「女好きだと声高に言うのもどうかしら・・・」
「き、記憶がなくてごめんなさい・・・」
「そこは謝るポイントじゃないって・・・」
途中でアニスが走ってくる。
「ルーク様ぁ!」
・・・ただし、その途中にガイがいたが。
「ひっ・・・」
「逢いたかったですぅ。・・・でもルーク様はいつもティアと一緒なんですね。・・・ずるいなぁ」
「あ・・・ご、ごめんなさい。でも安心して、アニス。好きで一緒にいる訳じゃないから」
「さりげに酷いな・・・」
「アニス。イオン様に付いていなくてもいいんですか?」
「大佐!それが・・・朝起きたらベッドがもぬけの殻で・・・街を捜したら、どこかのサーカス団みたいな人が、イオン様っぽい人と街の外へ行ったって・・・」
「サーカス団って・・・あの、昨日の・・・」
愛依が言うとジェイドが溜め息を吐く。
「やられましたね。多分漆黒の翼の仕業だ」
「なんだと!?あ、まさか神託の盾とグルか!」
「追いかけるか!」
「駄目だよ~!街を出てすぐのトコに六神将のシンクがいて邪魔するんだもん」
「・・・まずいわ。六神将がいたら私達が陸路を行くことも知られてしまう」
「ほえ?ルーク様達、船でアクゼリュスへ行くんじゃないんですか?」
・・・結局、アニスを連れていき、旧市街にある工場跡から街を出る事になった。
「バチカルが譜石の落下跡だってのは知ってるな。ここから奥へ進んでいくと、落下の衝撃でできた自然の壁を突き抜けられるはずだ」
「なるほど、工場跡なら・・・」
「ーーー排水を流す施設がある」
ジェイドとティアが理解する。
「そういうこと。ここの排水設備はもう死んでるが、通ることはできるはずだ」
「まあ、ガイ。あなた詳しいのね」
『!?』
振り替えると・・・
「見つけましたわ」
・・・ナタリア様だ。
「なんだ、おまえ。そんなカッコでどうしてこんなトコに・・・」
ナタリア様は動きやすそうな服に着替え、背中に矢筒を背負っていた。
「決まってますわ。宿敵同士が和平を結ぶという大事な時に、王女の私が出ていかなくてどうしますの」
「・・・アホか、おまえ。外の世界はお姫様がのほほんとしてられる世界じゃないんだぞ。下手したら魔物だけじゃなくて、人間とも戦うんだぞ」
ルークが言うがナタリア様は怯まない。
「私だって三年前、ケセドニア北部の戦で、慰問に出かけたことがありますもの。覚悟はできていますわ」
「慰問と実際の戦いは違うしぃ、お姫様は足手まといになるから残られた方がいいと思いま~す」
「失礼ながら、同感です」
アニスとティアが言う。
「ナタリア様。城へお戻りになった方が・・・」
「今ならバレずに済むと思うので・・・」
俺とガイも止めるが・・・
「お黙りなさい!私はランバルディア流アーチェリーのマスターランクですわ。それに、治療士としての学問も修めました!その頭の悪そうな神託の盾や無愛想な神託の盾より役に立つはずですわ」
「・・・何よ、この高慢女!」
「下品ですわね。浅学が滲んでいてよ」
「呆れたお姫様だわ・・・」
「これは面白くなってきましたねぇ」
「・・・だから女は怖いんだよ」
「・・・今は同感」
「何でもいいからついてくんな!」
「・・・あのことをばらしますわよ」
ルークが顔色を変え、ナタリア様と二人で話した後・・・
「ナタリアに来てもらうことにした」
『・・・』
「よろしくお願いいたしますわ」
「・・・ルーク。見損なったわ」
「う・・・うるせーなっ!とにかく親善大使は俺だ!俺の言うことは絶対だ!いいな!」
「あ、そうですわ。今後私に敬語はやめて下さい。名前も呼び捨てること。・・・そうしないと王女だとばれてしまうかも知れませんから」
「で、ですがナタリア様・・・」
「サキ」
「う・・・わ、わかりました・・・じゃなくって、わかったよ」
ふと気づいたら愛依が一言も喋らないのに気付いた。
「・・・怖くない、怖くない。暗いのなんて怖くない・・・!」
「あ、愛依?」
肩を叩くと・・・
「ひゃああ!?」
「うわ!?」
愛依が奇声を上げた。
「(・・・怖いの苦手なんだな)」
とにかく進むが・・・ナタリアの進行速度が早い。
「おい、ナタリア!もう少しゆっくり歩けよ!」
「なんですの?もう疲れましたの?だらしないことですわねぇ」
「そ、そんなんじゃねえよっ!」
「・・・うはー、お姫様のくせに何、この体力馬鹿」
アニスが愚痴る。
「何か仰いました?」
「べっつにー」
「導師イオンが拐かされたのですよ。それに私達は苦しんでいる人々のために、少しでも急がなければなりません。違っていまして?」
「確かにその通りだけど、この辺りは暗いから、少し慎重に進んだ方がいいと思うわ」
「そうですよ、ナタリア様。少しゆっくり歩きませんか?」
ティアとガイが言う。
「ガイ!私のことは呼び捨てにしなさいと言ったはずです!」
「おっと。そうでした。失礼・・・ではなくて、悪かったな」
「ナタリア」
意外にもジェイドが口を挟む。
「この八人で旅する以上、あなた一人に皆があわせるのは不自然です。少なくとも、この場ではあなたは王族という身分を棄てている訳ですからね」
「・・・確かにそうですわね。ごめんなさい」
「あれ、案外素直」
「一々うるさいですわよ」
「・・・」
「やー、皆さん。理解が深まったようですね。よかったよかった」
「どこがだよ、おい・・・」
「大丈夫、大丈夫・・・皆がいるから大丈夫・・・」
まだブツブツ言ってるよ。
「・・・まだ出口じゃないんですか・・・」
尋常じゃないくらいガクブルしている愛依が聞く。
「ああ、多分そろそ・・・」
俺は動きを止める。
「なんか臭うな」
「油臭いよぅ!」
「この工場が機能していた頃の名残かな?それにしちゃ・・・」
「待って!音が聞こえる・・・何か・・・いる?」
「まあ、何も聞こえませんわよ」
「いえ・・・いますね。魔物か?」
俺達は全員身構え・・・
「危ない!」
ティアがナタリアを突き飛ばす。・・・直後、油のスライムみたいな魔物が降ってくる。
「うわっ!きたーっ!」
「いやーーー!!」
愛依が叫ぶ。
「愛依、下がってろ!」
ナタリアが弓矢を構える。
「ビアシスライン!」
光を纏った矢が飛ぶが・・・
グニャン
「な、矢が・・・」
「なら、これならどうだ!」
ガイが走り出す。
「弧月閃!」
グニュン
「くっ・・・」
「だったら!リパル、鎌!」
『了解ッス!』
ガシャン、と音を立てながら鎌に変形させ、斬りつける。
ズバァ!
「通った!」
「なるほど、物理は通らないようですね」
「でしたら、アニスちゃんにお任せ!」
アニスが詠唱を始める。
「光の鉄槌!リミテッド!」
ズガン!
「行きますよ。・・・雷雲よ、我が刃となりて敵を貫け。サンダーブレード!」
ジェイドの一撃で魔物が苦しむ。
「終わりよ!エクレールラルム!」
ティアの譜術で魔物が完全に沈黙した。
「な、なんだったんだ、この魔物はよ・・・」
「・・・中身は蜘蛛みたいだな」
「油を食料にしている内に、音素暴走による突然変異を起こしたのかもしれませんね」
「・・・あ、あの。ティア」
「何?」
ナタリアが話しかける。
「ありがとう。助かりましたわ。・・・あなたにもみんなにも迷惑をかけてしまいましたわね」
「いいのよ」
「よくねぇよ。足引っ張んなよ。・・・ところで、排水施設ってのは一体・・・」
「下の方じゃないかな・・・ん?」
ガイが何かを見つける。
「あれ・・・非常口だよな」
「調べてみましょう」
「愛依、大丈夫か?」
愛依はぺたんと座りながら顔だけをこちらに向ける。
「あの・・・腰が抜けました・・・」
「・・・ぷっ」
俺は笑いながら愛依に手を貸す。
「よし、あそこに梯子を降ろせば外に出られるな」
「ケセドニアには砂漠越えが必要よ。途中にはオアシスがあるはずだから、そこで一度休憩しましょう」
「ガイ。あなたが先に降りなさい。私が足を滑らせたらあなたが助けるのよ」
「・・・俺がそんなことできないの知ってて言ってるよな」
「だって早くそれを克服していただかないと、ルークと結婚した時に困りますもの」
「ルーク様はもっとず~~っと若くてぴちぴちのコがいいですよねっ♪婚約なんていつでも破棄できますし♪」
「・・・なんですの」
「何よぅ・・・」
「ルーク。あなたって最低だわ」
「何なんだよ!俺のせいかよ!」
「やー、仲が良さそうで何よりです」
「あんたの目は節穴かっつーの!」
そして降りると・・・神託の盾がいた。ルークが剣を抜く。
「イオンを返せぇぇぇぇぇ!!」
そこにいた・・・鮮血のアッシュと打ち合う。
「・・・おまえかぁっ!」
二人がつばぜり合いをし・・・ルークの動きが止まる。
「アッシュ!今はイオンが優先だ!」
「わかってる!・・・いいご身分だな!ちゃらちゃら女を引き連れやがって」
アッシュの顔は・・・ルークとそっくりだった。ルークは口元を押さえてうつ向く。
「・・・あいつ・・・俺と同じ顔・・・」
「・・・どういうこと?」
ナタリアが呟く。
「ところで・・・イオン様が連れていかれましたが」
「・・・あああ!!しまったーっ!」
みるみるうちに神託の盾のタルタロスが見えなくなっていく。
「どちらにしても六神将に会った時点で囮作戦は失敗ですね」
「バチカルに戻って船を使った方がいいんじゃないか?」
「無駄ですわ」
「・・・なんで」
気分が悪そうにルークが聞く。
「お父様はまだマルクトを信じていませんの。囮の船を出港させた後、海からの侵略に備えて港を封鎖したはずです」
「陸路へ行ってイオン様を捜しましょう」
結局陸路に決定した。俺達はオアシスに向かって進みだした・・・
後書き
サキ
「それじゃ、今回は・・・」
ナタリア
「私ですわね。初めまして。私はナタリア・L・K・ランバルディアと申します」
サキ
「ちなみに、L・Kはルツ・キムラスカの略ね」
ナタリア
「それにしても私は随分と遅いパーティーインですのね」
サキ
「ま、タイミング的にはグレイセスのヒューバート並みだからな。実質レギュラーパーティーじゃ最終加入だし」
ナタリア
「・・・そうですのね。・・・それでは皆さん。また次回をお楽しみに」
サキ
「次回の続・真似と開閉と世界旅行!」
ナタリア
「是非見てください」
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