真似と開閉と世界旅行
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遭遇~
前書き
もうすぐ新学期ですね。担任が理不尽にキレる教師じゃなきゃいいなぁ・・・ではどうぞ。
・・・そして早朝、ティアは問題なく復活し、ティアがルークを連れてくる。
「私とガイ、ティアとサキで四角に陣形を取ります。あなたはイオン様と一緒に中心にいて、もしもの時には身を守ってください」
そうジェイドがルークに言う。
「え?」
「お前は戦わなくても大丈夫ってことだよ。さあ、いこうか」
俺達は歩き出す。
「ま、待ってくれ」
不意にルークが俺達を呼び止めた。
「どうしたんですか?」
イオンが立ち止まり、尋ねる。
「・・・俺も、戦う」
「人を殺すのが怖いんでしょう?」
「・・・怖くなんかねぇ」
「・・・下手な嘘はいらねーよ」
「本当だ!そりゃ、やっぱちっとは怖ぇとかあるけど・・・戦わなきゃ身を守れないなら戦うしかねぇだろ。俺だけ隠れてなんかいられるか!」
「ご主人様、偉いですの!!」
ルークがミュウを叩き落とす。
「お前は黙ってろ!とにかくもう決めたんだ。これから躊躇しねぇで戦う」
すると、ティアがルークに詰め寄る。
「・・・人を殺すということは相手の可能性を奪うことよ。それが身を守るためでも」
「・・・恨みを買うことだってある」
「そんで、一生その罪を背負わなきゃいけない」
ガイと俺が言う。
「あなた、それを受け止めることができる?逃げ出さず、言い訳せず、自分の責任を見つめることができる?」
「おまえも言ってたろ。好きで殺してる訳じゃねぇって。・・・決心したんだ。みんなに迷惑はかけられないし、ちゃんと俺も責任を背負う」
「・・・でも・・・」
「いいじゃありませんか。・・・ルークの決心とやら、見せてもらいましょう」
ガイがルークの肩に手を乗せる。
「無理するなよ、ルーク」
「・・・(コクッ)」
「・・・んで?次はどうするんだ?」
「ええ、アニスとの合流地点であるセントビナーへ向かいます」
「アニス?」
俺が聞くと答えたのはイオンだ。
「アニスは僕の導師守護役ですよ」
「導師守護役ねぇ・・・んじゃ、相当厳ついのか?」
するとジェイドが笑う。
「いえいえ、とっても可愛らしい子ですよ」
「ふーん」
俺は既に子供でも強い奴はかなりいる事を知っているので、それ以上は特に聞かなかった。そしてセントビナーに到着するが・・・
「なんで神託の盾騎士団がここに・・・」
「タルタロスから一番近い街はこのセントビナーだからな。休息に立ち寄ると思ったんだろ」
「おや、ガイはキムラスカ人の割に、マルクトに土地勘があるようですね」
「卓上旅行が趣味なんだ」
「これはこれは、そうでしたか」
・・・確かに、ガイの部屋に結構地理関係の雑誌があったけど・・・
「んで、どうする?殺るか?」
「いえ、下手に騒ぎを起こすと、ここら辺をマークされてしまいます」
「だよなぁ・・・」
「大佐、あれを・・・」
ティアがジェイドに言う。・・・ジェイドって大佐だったのか。見ると馬車が通っていく。
「なるほど。これは使えますね」
「もう一台を待ち伏せて、乗せて貰うんだな?」
・・・結果、次に来た馬車に乗っていた人が、ルークとティアの知り合いだったため、あっさりと馬車に乗せてもらい、セントビナーに入る事ができた。
「・・・で、アニスはここにいるんだな?」
「マルクト軍の基地で落ち合う約束です。・・・生きていればね」
「イヤなことを言う奴だな。じゃあ行こうか」
「・・・悪いけど、俺は別行動を取らさせてもらうぜ」
「・・・どうして?」
ティアが俺を疑惑に満ちた目で見てくる。
「・・・俺は人を捜しているんだ。キムラスカにはいなかった。なら、マルクトにいるのかもしれない・・・」
「人捜し、ですか・・・」
ジェイドも同様に疑いを持っている。
「戦別れしちまってな。死んだと思ってたけど・・・じゃ、街の人に話を聞いてくるよ」
俺はみんなから離れ、街の人から情報を集める。
「こんな人を見ませんでしたか?」
俺は二人の似顔絵・・・念のため、明命達の分も見せる。
「いや、知らないなぁ」
「そうですか・・・」
俺はため息を吐く。
『ため息を吐くと幸せが逃げるッスよ』
「うるせぇよ・・・は?」
俺は慌てて空間から方天画戟を取り出す。
『どもッス』
「・・・」
『ダークリパルサーッスよ!』
俺は方天画戟を操作して、ハンドアックスとダークリパルサーに分離させる。
『初めてッス!オイラは咲さんをサポートする為に生まれたッス!』
「ッ・・・」
言葉に出来ない苛立ちが募る。
「よく喋る奴だな・・・」
『よく言われるッス!でも、それが取り柄ッスから!』
俺は空間に投げ入れる。
「少し黙ってろ・・・!」
『ひどいッス~~~~・・・』
ダークリパルサーの声が聞こえなくなる。・・・長いからリパルでいいや。
「リョウコウの奴・・・余計なシステムをつけやがって・・・!」
・・・かなり後になって、これはリョウコウが付けた訳ではないと知り、謝る事になろうとはまだ知らなかった・・・
街の隅にいるルーク達を見つける。
「・・・どうしたんだ?」
「いや、神託の盾が撤退したんだが・・・どうやら六神将が絡んでいるみたいだ?」
「六神将?」
「神託の盾の幹部六人の事です」
イオンが答えてくれると、ルークが言う。
「でも、五人しかいなかったな」
「黒獅子ラルゴに死神ディストだろ。烈風のシンク、妖獣のアリエッタ、魔弾のリグレット・・・と。いなかったのは鮮血のアッシュだな」
「・・・ッ、ま、待ってくれ・・・今・・・なんて・・・」
「?いなかったのは鮮血のアッシュ・・・」
「違う、その前!・・・アリエッタって言ったのか!?」
「あ、ああ・・・」
「・・・どうしたんだよ、サキ」
ルークが俺に聞いてくる。
「・・・アリエッタと俺は・・・一緒にいたんだ・・・ずっと前に・・・」
「ほう・・・敵の幹部と知り合い・・・ですか」
ジェイドの疑惑が強くなるのを感じる。
「彼らはヴァン直属の部下よ」
「ヴァン師匠の!?」
「六神将が動いているなら、戦争を起こそうとしているのはヴァンだわ・・・」
「六神将は大詠死派です。モースがヴァンに命じているのでしょう」
「大詠師閣下がそのような事をなさるはずがありません。極秘任務のため、詳しいことを話す訳にはいきませんが、あの方は平和のための任務を私にお任せ下さいました」
ティアが言うとルークが反発する。
「ちょっと待ってくれよ!ヴァン師匠だって、戦争を起こそうなんて考える訳ないって」
「兄ならやりかねないわ」
「なんだと!おまえこそモースとか言う奴のスパイじゃねえのか!?」
「二人とも、落ち着いてください」
「(俺が思うにゃ、どっちも怪しいけどな)」
イオンがなだめているのに、これを言うとまたヒートアップするので、俺は黙る。結局、俺達はアニスからの手紙で、カイツールに向かう事になった。
「・・・ま、水の中を歩くなんて思わなかったぜ」
俺達はフーブラス川に来ていた。
「仕方ないわ。近道の橋が壊れていたんだもの」
俺の愚痴にティアが真面目に返してくる。
「ここを越えれば、すぐキムラスカ領なんだよな」
「ああ。フーブラス川を渡って少し行くと、カイツールっていう街がある。あの辺りは非武装地帯なんだ」
「早く帰りてぇ・・・もういろんなことがめんどくせー」
「ご主人様、頑張るですの。元気だすですの」
ルークはミュウを踏む。
「おめーはうぜーから喋るなっつーの!」
「みゅう・・・」
「八つ当たりはやめて。ミュウが可哀想だわ」
「ルーク。面倒に巻き込んですみません」
「ちっ・・・」
イオンが言うとルークも落ち着く。
「さあ、ルークのわがままも終わったようですし、行きましょうか」
「わがままってなんだよ!」
ジェイドはスタスタ歩いていく。
「無視すんな、こら!」
「ジェイド・・・ルークの扱いをわかってるな」
俺達はどんどん奥へ進んでいく。すると・・・
「ガオオオン!」
「・・・ライガ!」
「後ろからも誰か来ます」
後ろにいた人物を見たとき・・・
「あ・・・」
俺は思わず声を漏らした。
「妖獣のアリエッタだ。見つかったか・・・」
「逃がしません・・・っ」
やっぱりこの声はアリエッタ・・・!
「アリエッタ!見逃して下さい。あなたならわかってくれますよね?戦争を起こしてはいけないって」
「イオン様の言うこと・・・アリエッタは聞いてあげたい・・・です。でもその人達、アリエッタの敵!」
「アリエッタ。彼らは悪い人ではないんです」
「ううん・・・悪い人です。だってアリエッタのママを・・・殺したもん!」
アリエッタの声には明確な殺意があった。
「何言ってんだ?俺達がいつそんなこと・・・」
ルークの疑問に答えるようにアリエッタが言う。
「アリエッタのママは、お家を燃やされて、チーグルの森に住み着いたの。ママは仔供達を・・・アリエッタの弟や妹達を守ろうとしてただけなのに・・・」
「まさかライガの女王のこと?でも・・・あ」
ティアが俺を見て言葉を詰まらせる。
「彼女はホド戦争で両親を失って魔物に育てられたんです。魔物と会話できる力を買われて、神託の盾騎士団に入隊しました」
「じゃあ、俺達が殺したライガが・・・」
「それがアリエッタのママ・・・!アリエッタはあなた達を許さないから!地の果てまで追いかけて・・・殺します!」
アリエッタが構えた瞬間、俺は叫んだ。
「ま、待ってくれアリエッタ!」
アリエッタは俺を見て・・・首を傾げた。
「髪が延びてるからわからないか・・・?俺だ、サキだ」
アリエッタの目が見開かれる。
「う、そ・・・?だって、だってサキは死んだって・・・」
「俺は生きている。それに・・・ッ!?」
ライガクイーンは生きている。そう口走りそうになった瞬間、いきなり地震に襲われた。そして何か蒸気のようなものが吹き出してくる。
「地震か・・・!」
「おい、この蒸気みたいなのは・・・」
「障気だわ・・・!」
ガイの言葉にティアが答える。イオンは焦りながら叫ぶ。
「いけません!障気は猛毒です!」
「きゃっ!!」
見るとアリエッタとライガが障気の直撃にあい、倒れる。
「アリエッタッ!!」
俺は全力で走り、アリエッタを抱き抱える。
「(こうなったら・・・!)」
障気は吸い続けると不味い。俺は黒ずんだ左手を解放するように力を籠めて・・・その時、歌が聞こえた。
ーーーーー♪
「この譜歌は・・・ユリアの譜歌です!」
・・・次の瞬間には、景色は元に戻っていた。
「障気が消えた・・・!?」
「障気が持つ固定振動と同じ振動を与えたの。一時的な防御壁よ。長くは持たないわ」
「噂には聞いた事があります。ユリアが残したと伝えられる七つの譜歌・・・しかしあれは、暗号が複雑で詠みとれた者がいなかったと・・・」
「詮索は後だ。ここから逃げないと」
「・・・そうですね」
そう返事するとジェイドは・・・こともあろうに俺に・・・正しくは俺が抱き抱えているアリエッタに槍を向けた。
「ッ!」
「や、やめろ!なんでそいつを殺そうとするんだ!」
俺が身構え、ルークが叫ぶ。
「生かしておけば、また命を狙われます」
「だとしても、気を失って無抵抗の奴を殺すなんて・・・」
「そうだ・・・もう・・・」
俺の頭の中を黒い感情に塗りつぶされていく。
「俺の家族を殺させるか・・・殺されるなら・・・そいつをブッコロシテヤツザキ二シテヤル」
身体中に闇が集まり、方天画戟を引き出して構える。
「ッ・・・!」
ジェイドの目の色が変わる。
「どうやら・・・あなたは危険すぎるようですね・・・」
俺とジェイドの間に殺気が渦巻く。
「止めてください、二人とも」
イオンの声で思考が元に戻る。
「ジェイド。彼女を見逃してください。アリエッタは元々、僕付きの導師守護役なんです」
ジェイドはしばらく俺を見た後・・・振り返る。
「・・・まあいいでしょう」
「障気が復活しても、当たらない場所に運ぶくらいはいいだろう?」
「ここで見逃す以上、文句を言う筋合いではないですね」
ガイは俺の耳元で話しかけてくる。
「(家族を失う悲しみは・・・わかるぜ)」
「(え・・・)」
「さぁてと!障気が復活する前に早くしようぜ」
俺はライガとアリエッタを寝かせる。
「・・・後で必ず誤解を解くよ・・・」
頭を軽く撫でてやってから俺は立ち上がり、みんなを追いかけた・・・
「・・・少しよろしいですか?」
カイツールの目の前でジェイドがみんなを止める。
「・・・んだよ。もうすぐカイツールだろ。こんなところでなにするんだっつーの」
「ティアの譜歌の件ですね」
イオンの言葉にジェイドは返事をする。
「ええ。前々からおかしいとは思っていたんです。彼女の譜歌は私の知っている譜歌とは違う」
・・・譜歌は詠唱と旋律を組み合わせた・・・簡単な話“歌魔法”だ。だが、従来の譜歌は譜術ほど威力はないが・・・ティアが歌う譜歌はユリアの譜歌・・・ようするに譜術と同等の力を持っている。当然条件もあり、譜に込められた意味と象徴を理解、更に旋律に乗せる時に隠された英知の地図を作る・・・ぶっちゃけ一子相伝のかなり難しい技術という訳だ。・・・そして、ティアが言うにはティアの一族はユリアの血を引いているらしい。そして、再び歩き出す。
『さっき凄い怒ってたッスね。オイラもかなり恐かったッス』
頭に声が響く。
「(いきなりなんだ・・・!)」
『でも、やっぱり咲さんならあそこは怒るッスよね~』
「(うるせえ!お前に俺の何がわかるんだよ!)」
『そ、そんなに邪険にしなくても・・・』
「(・・・ハッキリ言ってやる。お前の言動の一つ一つがムカつくんだよ!)」
『ガ、ガーン!ッス!』
「(そういうのがムカつくってんだよ!くそ、俺はこんなふざけた武器で恋を・・・!)」
『えっ・・・』
「何でもねぇ!テメエは黙ってろ!次にふざけたこと抜かしたらリパルの部分をへし折るぞ!」
『そ、それだけは勘弁して下さいッスー!』
最後だけ叫んでしまい。周りに怪訝に思われる。俺は舌打ちをしながらカイツールに入った・・・
・・・カイツールに入ると・・・少女が兵士と話していた。
「あれ、アニスじゃねえか?」
「証明書も旅券もなくしちゃったんですぅ。通してください。お願いしますぅ」
「残念ですが、お通しできません」
「・・・ふみゅう~」
そう言ってアニスは去り際に・・・
「・・・月夜ばかりと思うなよ」
「(・・・)」
空耳・・・か?
「アニス。ルークに聞こえちゃいますよ」
イオンがそう言うと・・・
「ん・・・きゃわーん!アニスの王子様♪」
「・・・女ってこえー」
ガイがビビりながら呟く。
「(はぁ・・・な!?)」
和やかな会話をしている中・・・殺気を感じた。その直後、
「どうやって検問所を越えますか?私もルークも旅券がありません」
「ここで死ぬ奴にそんなものはいらねぇよ!」
ガキィン!
いきなり誰かが降ってきて、ルークを吹き飛ばす。そして俺達に背を向けている男はルークを追撃しようと・・・
「退け、アッシュ!」
「・・・ヴァン、どけ!」
・・・いきなり現れたヴァンがルークをかばっていた。男は舌打ちして飛び去っていく。
「師匠!」
「ルーク。今の避け方は不様だったな」
「ちぇっ、あっていきなりそれかよ・・・」
「・・・ヴァン!」
ティアがナイフを構える。
「ティア、武器を収めなさい。お前は誤解をしているのだ」
「誤解・・・?」
「頭を冷やせ。そして私の話を聞く気になったら宿に来い」
そう言ってヴァンは去ろうとするが・・・
「ヴァン師匠!助けてくれて・・・ありがとう」
「苦労したようだな、ルーク。しかし、よく頑張った。さすがは我が弟子だ」
「へ・・・へへ!」
俺達はティアをなだめ、宿屋に向かう。・・・さて、どうなるか・・・
後書き
サキ
「・・・」
ガイ
「荒れてるなぁ」
サキ
「自己紹介しろ」
ガイ
「あ、あぁ・・・俺はガイ・セシル。ファブレ公爵のもとで使用人をしているんだ。よろしくな」
サキ
「あと、こいつ女性恐怖症だから、シィ、ユエ、撫子、サチ辺り。ガイに近寄ってくれ」
ガイ
「おい!俺を殺す気か!」
サキ
「安心しろよ。みんな美少女だから。・・・あれ、つか知り合いに美少女しかいないような・・・」
ガイ
「美少女とかそういう問題じゃない!むしろ女性は大好きだ!」
サキ
「声高々に女好きって宣言されてもな・・・それじゃ、次回の続・真似と開閉と世界旅行!」
ガイ
「次回も見てくれよな」
サキ
「さて・・・霞ー、いるかー?」
ガイ
「やめろぉぉぉぉ!」
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