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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  十三話:お城の探索を始めます

 照明が点いたところでさっさと階段を見付けて下り、背後から怪しい気配がするのも無視して(ここで出てくる石人形みたいな動く石像、ゲームでは経験値入らなかったしビアンカちゃん救出が先!最優先!!)通路を駆け抜け、空中庭園に出ます。

 花畑に囲まれて、お墓が二つ、並んでます。

 この花のお手入れは誰がしてるんだろうなんて頭の隅で考えつつ、ガタガタ音のするほうのお墓に近付き、音のしないほうのお墓をチラ見し、

 ……『ドーラの墓』って書いてある!
 ちゃんと、書いてある!
 なに?カップル扱い?
 むしろ、夫婦扱い!?
 うひょー(ニヤニヤ)

 ……いかん!
 こんな顔ビアンカちゃんに見られて、面白がってるなんて思われたら大変!!

 慌てて表情を引き締め、『ビアンカの墓』と書いてある墓石を、力一杯押して動かします。

 墓石の下の狭い空間に押し込められていたビアンカちゃんが、捨てられた子猫のような目で、こちらを見上げます。

 なにこれ、可愛い!
 超絶、可愛い!
 拾う、拾う!!

「ビアンカおねえさん!だいじょうぶですか!?」
「…………いっ!いままで、……なに、やってた、のよっ……!」

 今にも泣き出しそうな顔で、精一杯、強がるビアンカちゃん。
 ひとりでは動けないようなので、穴の中から引っ張り上げて助け出します。

「おそくなって、ごめんなさい」
「……ほんと、に!おそい、のよっ……!」
「ごめんなさい」

 瞳を潤ませ、それでもこちらを睨み付けて、なんとか自分を保とうとするビアンカちゃんを、抱き締めます。
 私のほうが背が低いので、抱き付くみたいでカッコつかないが。

「……」

 黙り込むビアンカちゃんの背中をポンポンと、あやすように叩きます。

「……う……」

 うんうん、大丈夫、大丈夫。

「……う、うわーん!!」

 ドーラちゃんの小さな体に縋り、肩に顔を(うず)めて、大声を上げて泣き出すビアンカちゃん。

 うんうん、怖かったよね。
 わかってたことだけど、ごめん。

 泣き続けるビアンカちゃんに黙って肩を貸し(身長の問題で胸が貸せない残念感)、背中をゆっくり、優しく叩き続けること暫し。

 ビアンカちゃんがやっと泣き止み、肩から顔を離してこちらを見ます。

「……肩。ぬれちゃったね。ごめんね」
「だいじょうぶです!すぐ、かわきます!」

 むしろご褒美です!
 とか言っちゃう変態性も無いので、大丈夫です!

「……ひどいこと言って、ごめんね」
「わたしは、だいじょうぶです!あんなことがあったら、びっくりして、あたりまえです!」
「……うん。びっくりした。……怖かった」
「……まだ、こわいですか?もう、かえりますか?」

 イベントクリアできないと困るけど、ビアンカちゃんが無理そうなら、また明日にでも一人で来たらいいしね!
 思い出作りも、十分でしょう!

「……ううん!さっきまでは、怖かったけど。よく考えたら、おどかすばっかりで、なんにも無かったもの!なんだか、腹が立ってきたわ!」

 おお。
 開き直り、入りました!

「行きましょう!ぜったいに、たいじしてやるんだから!!」

 ビアンカちゃんの、気合いが上がった!
 結果、オーライ!

 でも、その前に!

「ビアンカおねえさん。ちょっと、うごかないでくださいね?」

 ビアンカちゃんの目元をそっと手で覆い、泣き腫らした顔にホイミをかけます。

 ……よし!
 キレイ、キレイ!

「これで、もとどおり!キレイに、なりました!」

 泣き腫らしたままじゃ、折角の可愛さが台無しですからね!
 ……いや!それでもやっぱ、可愛いけど!
 笑顔が、一番!

 ビアンカちゃんが、ちょっと恥ずかしそうです。

「……ありがとう!さ、もう行こう?」
「はい!いきましょう!」

 ああ……なんという初々しさ!
 脳内ビアンカちゃんフォルダが、また一つ充実した!
 着々と、思い出が製造されてます!


 足腰にもしっかり力が戻ったビアンカちゃんの前に立ち、幽霊城の探索開始です!





 お墓のあった空中庭園を通り抜け、再び城内に入ると、そこには女性の姿が。

 超絶ってほどじゃないけど、なかなかの美人さんですね!
 若干、透けてるけど!
 生きてれば、ハーレムメンバーリストのそこそこ上位に食い込めるレベル!
 ハーレムメンバーは人外でも可ですが、生身限定でお願いしたい!

 隣でビアンカちゃんが固まってますが、確かこの人に話しかけないと進めないので、下手に止められないうちに済ませるとしましょう!

「こんばんは!おしろの、オバケさんですか?」
「ど!ドーラ!」
 
 ビアンカちゃんがびっくりして、硬直が解けたようです。
 でも、もう用は済んだはずなので、止められてももう大丈夫!

 透けてる女性は問いかけに答えてくれること無く、(かな)しげに、儚げに微笑み、消えて行きました……。

 ……消えてる間って、どこにいるんだろ?
 見えないだけで、いるの?
 瞬間移動?
 異界的などこかに、入り込んでるの?

「ドーラったら!いきなり話しかけたりしたら、あぶないじゃない!」

 ビアンカちゃんに怒られました。
 だって、そうしないと進めないんだもの。

「ごめんなさい。でも、わるいひとじゃ、ないみたいでした!」

 謝ってる間に部屋の中央の本棚が音を立てて動き、階段が現れます。

「あ!かいだんですよ!これで、さきにすすめますね!」
「ほんとね。……さっきの人が、出してくれたのかな?」

 やっぱり、ビアンカちゃんは賢いね!

「そうですね!やっぱり、いいひとなんですよ!」

 そんな簡単に人(?)を信じるのもどうかと思うが、まあ知ってるし。

「そうかもね。とにかく、行きましょうか!」
「はい!」



 階段を下りて次の階には、城主のものらしき立派なお部屋があり。
 と言っても、手入れはされてなくて(すす)けてますが。

 さっきの女性が、ソファーに座ってます。

 アイテムが欲しいので、家捜ししたいんですが。
 ここは、許可を取るべきだね!

「すみません!おへやを、いろいろみてみても、いいですか?」
「ま!また!ドーラってば!」

 女性は相変わらず答えてくれませんが、微笑んでます。
 ……肯定と、受け取ります!

「ありがとうございます!わあ、すてきなタンスですね!ちょっとよごれちゃってるけど、きっと、もとはすごく、きれいだったんですね!……あ!やくそうと、ておりのケープ!これ、つかわないんですか?……もらっても、いいですか?……ありがとうございます!」

 女性はニコニコと微笑んでます。
 イベントクリアまでは哀しく微笑んでるはずの彼女ですが、若干楽しそうに見えるのは、気のせいでしょうか?

「わあ!おしろは、たからばこも、すてきですね!……あ!ぎんの、トレイですね!ちょっとよごれてるけど、みがいたら、きれいになりそう!……もらっても、いいですか?……ありがとうございます!」

 ていうか名産品(リメイク版追加要素)ですよね、これ?
 船でフローラちゃん(もしくは以下略)に会えなかったから、無いかと思ってたけど。
 これがあるからって、全部あるとも限らないか。


 ひとまず、この部屋の家捜しは完了です!
 女性にしっかりとごあいさつして、次に行きましょう! 
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