ハイスクールD×D ~銀白の剣士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第10話
Side 渚
兄さんへのお仕置きは、夜になり始めたころに終わった。お尻を押さえて痛みをこらえる姿は何とも言えない悲壮感を漂わせていました。そして、家に帰ることになり小猫ちゃんと別れた。
ただ、フリードとバルパーを追いかけて行った三人のことが気になる。無事だといいんだけど・・・・・・・。
「「ただいま」」
「ただいま帰りました」
そんなことを考えているうちに、家に着いた。玄関で靴を脱いでリビングに向かおうとしたところで、台所から母さんが手招きをしている。三人で首をかしげながら台所の方へ向かった。少し母さんの顔が何やら企んでいるような顔だったのが気になった。
「ほら、アーシアちゃん」
「はぅ!」
母さんに押されて、アーシアさんが飛び出してきた。
アーシアさんがエプロンをしている。ん? ちょっと待て・・・・・・。あの肌の露出はおかしい。まさか、エプロンしかしていないだと・・・・・・・・? 僕の中で1つの答えが出された。つまり『裸エプロン』だと。
隣にいる兄さんを見てみると、笑顔を浮かべながら鼻血を出していた。とても幸福そうな表情を浮かべている。
「な、なんで・・・・・・?」
「クラスのお友達の桐生さんから。も、もちろん下着はつけてません! スースーします・・・・・・・あぅ」
言わなくていいことまで話しいてくれました。そして、どんな人かわからないけど桐生さん。あんたは何がしたいんだ!?
「うふふ、かわいいでしょう? 母さん、大賛成よ、こういうの。ああ、若いころを思い出すわぁ・・・・・・・」
知りたくなかった母親の過去の話を知ってしまった・・・・・・。自分の母親の裸エプロンとか誰得だよ・・・・・・? あっ、父さんか。
「なるほど、その手があったわね」
なにやら、リアス先輩がつぶやいているが、参考にしなくていいと思います。
「アーシア、魔性の女になれるわね。エッチな子だわ」
「えー! 私、エッチな子になりたくないです」
アーシアさん・・・・・・そんな恰好で言っても説得力が欠片ありませんよ。
「少し待ってなさい。私もそれをやってみるわ」
リアス先輩が足早に台所から立ち去っていく。
「リアスさん、私も手伝うわ!」
母さんはリアス先輩を追っていった。チラッと兄さんの方を見ると、あちらはあちらで忙しそうだ。
「リアスさんたら恥ずかしがっちゃて、追い出されちゃったわ。ってあらあら、アーシアさんは積極的ね。あーあ、初孫が楽しみだわ」
すべてを知るものをしていないが、なんとなく僕の直感がここにいるとろくな事にならないと訴えたような気がしたので、退散しよう。
「ナギ、どうかしら?」
リアス先輩の声がしたので首をそちらに向ける。どうやら、逃げることはできないようだ。
「えっと・・・・・・似合ってますよ?」
“?”がついてしまったが仕方ないだろう。リアス先輩のエプロンはアーシアさんよりきわどい裸エプロンでした。布地の面積が少なすぎる。しかもその場で1回転したので、見えてはいけない部分まで見えそうになりました。
「さあ、これで料理開始よ」
「は、はい!」
二人が台所に立ちます。少々手ぜまに感じているみたいです。
そんなことより、後ろ姿が全裸に等しいので、兄さんが失血死しそうです。僕は鼻血などは出ていませんが、顔が熱いのでおそらく真っ赤になっているでしょう。
「ただいま~」
どうやら、父さんが帰ってきたようです。
「ブハァッ!」
あ、鼻血を出しました。やはり、父さんは兄さんの父ですね。兄さんと仲良く鼻に、ティッシュを詰めています。
「父さん幸せだ。1日の仕事の疲れが吹っ飛んだよ」
「ああ、俺もだよ。なんか、いろいろ辛いことを一瞬忘れられたね」
「渚はどうだ?」
「僕はノーコメントで」
話を振られたので、黙秘権を行使した。
「イッセー、渚はむっつりだと思うがどう思う」
「父さんの言うとおりだと思うぜ」
なぜか不当な評価をされたんですけど・・・・・・・。
「しかし、若い子はいいな! 肌の張りが違う! 母さんとは―――」
母さんが父さんの後ろに近づいて行った。さながら、ジョー○のように。ネタで言うなら、志○、後ろ!、後ろ! 的な感じ。
「母さんとはなんですか? お父さん」
一瞬で父さんの顔が青ざめた。鼻に詰めていたティッシュが落ちる。視線で助けを求められているように感じるが、僕も兄さんも父さんから視線を外す。
「か、母さん! えっと、その、あれだよ! あれ!」
「あれですか・・・・・・・。O☆HA☆NA☆SHIですね」
「「(父よ、安らかに眠れ)」」
僕と兄さんの心はシンクロしていた。
母さんは父さんのシャツの襟をつかんで引きずって行った。父さんの顔は絶望に染まっていた。
「兄さん」
「なんだ?」
「口は災いのもとだね」
「ああ、そうだな・・・・・・・」
二人の裸エプロンで興奮していた兄さんも、母さんの覇気を感じて一気になりを潜めたらしい。ニヤニヤした表情が一変している。僕と兄さんは1つ賢くなったようだ。
ちなみにだが、リアス先輩とアーシアさんの二人は裸エプロンのまま料理を作った。・・・・・・裸エプロンのせいではないと思うが、いつもよりおいしく感じた。
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
そして、夜。恒例のようにリアス先輩がベッドに潜り込んでくる。人間は慣れるもので、最近では普通に寝れるようになった。
―—ゾクリ
寝ている最中に殺気というかプレッシャーを感じて、僕とリアス先輩が飛び起きる。
窓に駆け寄って、下を見下ろすとそこには見覚えのある神父がこちらを見上げている。
「部長! 渚!」
兄さんとアーシアさんが血相を変えて、部屋に転がり込んできた。そして、窓の外を兄さんが覗く。
「クソ神父!」
兄さんが大声を上げる。僕たちを見上げていたのは、フリード・セルゼンだった。
あいつが無事となると、祐斗やイリナそしてゼノヴィアさんのことが気になる。無事だといいんだけど・・・・・・・。
窓の外を見下ろしていると、フリードが手招きしている。
「堕天使か・・・・・・」
リアス先輩が忌々しそうにつぶやいた。そして、僕らは急いで制服に着替えて部屋のドアを開け放ち、そこから飛び出した。
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
「やっほー、ご機嫌麗しいねぇ。元気にしてた?」
家の外にはふざけた口調のフリードがいて、話しかけてきた。
「何の用?」
問いかけるが、フリードは嘲笑するだけ。
ふいに、リアス先輩が上を見上げた。それに倣うように僕も上を見上げると、そこには月をバックに黒い翼を十枚も生やした黒いローブに身を包んだ若い男の堕天使が飛んでいた。
「はじめましてかな、グレモリー家の娘。紅髪が美しいものだ。忌々しいキミの兄君を思い出すよ。反吐が出そうだ」
苦笑いを浮かべ、憎悪を感じるような挑発的な物言い。リアス先輩も冷淡な表情を浮かべて返した。
「ごきげんよう、堕ちた天使の幹部―—コカビエル。私はリアス・グレモリーよ。それと我がグレモリー家は、魔王に最も近く、最も遠い存在。私に政治的なやり取りを求めるのは無駄だわ」
コカビエルね・・・・・・・。前にリアス先輩が言っていた聖書にも記された堕天使か。大物の登場だね。
僕がコカビエルを注視していると、やつが何か―――あれは人間か? 暗くてよくわからないがおそらくはそうだろう。とにかく何かを抱えているのがわかった。
「こいつは土産だ」
コカビエルは抱えていた人間(?)を放り投げた。
「おっと!」
僕が反応しようとしていたら、先に兄さんが反応してキャッチした。
「お、おい! イリナ!」
どうやらコカビエルが抱えていたのは、紫藤イリナだったらしい。血まみれで息も荒く、全身傷だらけ。一刻も早い治療が必要だ。
「俺たちの根城にまで来たのでな、それなりの歓迎をした。まあ、二匹逃したがな」
嘲笑しながらコカビエルは言った。どうやら、祐斗とゼノヴィアさんは無事らしい。
「アーシア!」
兄さんがアーシアさんを呼んで、イリナの治療をさせる。傷は治って、息も落ち着いていた。
「交渉などに興味はない。まあ、妹を犯してから殺せば、サーゼクスの激情が俺に向けられるかもしれないがな」
こちらのことは気にもしていないようだ。リアス先輩は侮蔑したような目でコカビエルを睨む。僕も顔をしかめた。自然とリアス先輩を庇うように前に出るが、コカビエルは僕の事など一向に気にしていないようだ。
「お前の根城である駒王学園を中心にこの町一帯で一暴れさせてもらう。そうすればサーゼクスも出てくるだろう」
「もしかして戦争が目的か?」
僕はそうつぶやいた。コカビエルはうれしそうな表情を浮かべて、僕の言葉に反応する。
「その通りだ人間! 脆弱ながらに頭は回るのだな。そいつの言う通りミカエルに喧嘩売ろうとエクスカリバーを盗んだが、よこしたのは相手にならない聖剣使いだった。だから、悪魔のサーゼクスの妹の根城で暴れるんだ! あの大戦が終わってから、俺は退屈でしょうがない! アザゼルもシュムハザも戦争には消極的だ! それどころか神器の研究に没頭し始めた! あんなクソの役にも立たないものを!」
堕天使の組織は神器を集めているのか・・・・・・。目的は禍の団対策だろう。
「とにかく、俺はこの町で聖剣をめぐる戦いをさせてもらう。戦争をするためにな!」
「戦争狂が」
唾棄するようにリアス先輩がつぶやいた。まったくもって同感です。
「ひゃははは! 最高でしょ? 俺のボスって。イカレ具合が素敵に最高さ。こんなご褒美もくれるしね」
そう言って、フリードが取り出したのは、エクスカリバーだった。しかも、両手に一本ずつ持ち、腰にも一本ずつ帯剣している。計四本だ。
「右のが『天閃の聖剣』、左のが『夢幻の聖剣』、腰のが『透明の聖剣』。そしてさっきそこのいる娘さんから『擬態の聖剣』もゲットしちゃいました。しかも聖剣を扱える因子をバルパーのじいさんからもらってるから、全部使えるハイパーな状態だぜ? ひゃははははは!」
狂ったように笑うフリード。コカビエルのことをイカレてると言ったが、人のことなど言えないだろう。
「バルパーの聖剣研究、ここまでくれば本物か。俺の作戦についてきたときは正直怪しいものところだったがな」
「エクスカリバーをどうする気なの!?」
リアス先輩がコカビエルに問う。しかし、コカビエルは答えることなく、背を向けて翼をはばたかせた。
「ハハハ! 戦争をしよう! 魔王サーゼクス・ルシファーの妹、リアス・グレモリーよ!」
―ピカッ!
眩い光が視界を埋める。どうやら、フリードにまたあの閃光弾を使われたようだ。
しばらくして、視力が回復すると、そこにはフリードもコカビエルもいない。だが、向かう場所はわかっていた。
「みんな、学園へ向かうわよ!」
『はい!』
堕天使の幹部が相手の勝負の火蓋が落とされようとしていた。
Side out
ページ上へ戻る