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ヘタリア大帝国

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TURN78 ファーストデートその八

「まあこれは伊勢志摩との交渉次第だがな」
「スペインさんのところは複雑なままですね」
「内戦中だからな。しかしあの内戦は」
「国王と王妃の間で行われています」
「夫婦喧嘩だな」
「はい」 
 まさにそのものだ。
「それに他なりません」
「犠牲者も出ていないしな」
「そうしたやり方はしていませんので」 
 例えそれが艦隊戦であってもだ。
「安心して見ていられます」
「変わった内戦だな」
「本当に。それでスペインさんに来て頂くと」
「大きいな」
「そうですね、かなり」
「戦力的にもな。ただ問題は連合側と新しい境を接することになる」
 このことが問題だった。
「それをどうするかだな」
「そのことですね」
「スペインさんはエイリス、フランスと中立条約めいたものを結んでいるが」
「それを正式なものにすれば」
「伊勢志摩が両国から攻められることはない」
 それがなくなるというのだ。
「このことは大きいがな」
「ではそうしたことも話していきますか」
「そうするべきだな」 
 こうしたことも話された。そして。
 二人のところに秋山が来た、そのうえでこう言ってきた。
「あの、宜しいでしょうか」
「ああ、何だ」
「何かありましたか」
「夕食の時間ですが」
 言うのはこのことだった。
「こちらに持ってきましょうか」
「いや、食堂に行く」
「そうさせてもらいます」
 こう秋山に返す。
「それで食べよう」
「三人で」
「そうしましょう。そういえばです」
 ここでこんなことも言う秋山だった。
「食堂には田中大将も行っていましたね」
「一人でか?」
「いえ、お二人で」
「お相手は総統さんだな」
「そうです。あの方と」
「本当にセンスがないな」
 東郷は微かにだが呆れた顔になって呟いた。
「軍の食堂に女の子を案内するなんてな」
「?それはよくないのですか?」
 秋山もこうした意味で田中と同じだ、それで眼鏡の奥の目をしばたかせてそのうえで東郷にこう言葉を返した。
「女の子を食堂に連れて行くのね」
「この男も駄目だからな」
 東郷は日本に顔を向けて言う。
「食事はちゃんとした場所に連れて行くんだ」
「軍の食堂ではなく」
「軍の食堂は風情がない」
 だから駄目だというのだ。
「レストランやバーならともかくな」
「軍の食堂はないのですね」
「普通はしない」
 絶対にだというのだ。
「秋山も浮いた話がない筈だ」
「仰る意味がわかりませんが」
 秋山はまた目をしばたかせ東郷に言う。
「どういうことでしょうか」
「ああ、わからないならいい」 
 東郷は理解出来ないどころか気付いてもいない秋山にこう述べた。
「軍事関連のことじゃないからな」
「ならいいですね」
「ここでこう言うのが駄目だな」
 また言う東郷だった。
「まあこいつは俺の娘と結婚するからいいか」
「ですから今から何を仰っているのですか?」
「これは厄介ですね」
 日本も今の秋山を見て呟く。
「私でも少し、と思います」
「祖国殿も何を」
「いえ、何も」
 日本も言わなかった、とにかく気付くことのない秋山だった。こうした意味で彼は田中と同じだと気付いた日本だった。


TURN78   完


                 2012・1・6 
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