| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十三話

 
前書き
今日は自分の誕生日ですので投稿します。 

 






「た、大変です華琳様ッ!!」

「騒がしいわよ桂花」

 華琳の天幕に桂花が慌てて入ってきた。

「い、今、烏林湾に元呉軍約五万が我が魏に投降してきましたッ!!」

「……何ですって?」

 桂花からの報告に華琳は驚愕したのだ。

「……それは真実かしら?」

「間違いありません。確かに孫策達もいます」

「……分かったわ。孫策達を呼びなさい」

「御意」

 桂花が天幕から出た。

「……真実であれば魏の勝利は確実ね」




「久しぶりね孫策」

「そうね曹操」

 華琳の天幕で華琳と雪蓮が面会していた。

「我が魏に投降……何か策があるんじゃないかしら?」

 華琳の問いに雪蓮はフッと笑った。

「策なんて無いわ。我が呉が求める事は王双の頚を取る事。それのみよ」

「……理由は?」

「これよ」

 そう言って雪蓮は華琳にある装飾品を見せた。

「それは……?」

「……私達を逃すために殿役をしてくれた妹孫権と甘寧の遺品よ」

「………」

 雪蓮の言葉に華琳は何も言わない。じっと雪蓮の目を見ていたがやがて口元を緩めた。

「……良いわ。元呉軍の魏軍参入を認めるわ」

「……感謝するわ曹操」

 雪蓮はそう言って華琳に頭を下げて天幕を出た。華琳は直ぐに諸将を集めた。

「罠ではありませんか? 確かに元呉軍の参入は魏の勝利を確実にしますが、これが策であれば我が魏は中に毒を仕込まれた事になります」

 夏候淵がそう具申した。

「策であるなら堂々と撃ち破ればいいじゃないか秋蘭」

 夏候淵の姉である夏候惇はそう言った。

「しかし姉者……」

「華琳様、元呉軍の参入は止めるべきではありませんか?」

 桂花はそう具申した。対する華琳はというと……。

「……皆の意見は分かったわ。元呉軍の参入は受け入れる。攻撃開始は明日払暁よ」

「ですが華琳様……」

「例え罠だろうと、我が覇道の道を妨げる者は潰すのみよ桂花」

「……御意」

 華琳の言葉に桂花は渋々と了承した。

「それでも桂花や秋蘭の懸念も判るわ。元呉軍には十分の監視をしておくように」

「御意。直ちに手配します」

 桂花は華琳に頭を下げて天幕を出た。春蘭達も出たが秋蘭だけは華琳に呼び止められた。

「どうしましたか華琳様?」

「……秋蘭、先に言っておくわ。戦場で奴に会えば私情を持たずに殺りなさい」

「……御意」

 秋蘭はそう言って天幕を出た。




「えぇッ!? あのやり取りは芝居だったのかッ!!」

「御姉様気付いてなかったの?」

 全てを聞かされた翠達が唖然としていた。まぁ気付いてなかったのは大抵頭が固い連中だが……。

「長門、それは私も入るのか?」

「……察しろ焔耶」

 肩をガックリ落としている焔耶にそう言っておいた。良いことあるって。ちなみに蓮華と思春も軍儀に参加している。

「まぁ騙して済まなかったのじゃ」

「い、いやいいよ美羽。過ぎた事なんだから」

 頭を下げる美羽に翠はそう言った。

「では……作戦を説明するのじゃ」

『………』

 美羽がそう発言すると皆の雰囲気が変わった。

「水軍と烏林湾への強襲の指揮は長門。御主がとるのじゃ」

「俺がか?」

 マジ?

「あの軍船を建造させたのは長門じゃろ? それに思春と水軍の研究してたじゃろ?」

「まぁ一応はな……」

「長門の他に桜花とクロエ、蓮華と思春も水軍じゃ」

「………」

 クロエの表情が悪いな……てかクロエは船が苦手だったよな?

「美羽、クロエは船が苦手だから他の奴に頼む」

「ふむ、それなら焔耶に任せるのじゃ。長門には四万を任せるのじゃ」

「分かった」

「霞と恋は一万ずつ率いて烏林湾に近いところに上陸して烏林へ陸から進撃するのじゃ」

 美羽は次々と指示を出していく。

「凪達三人は五万と大砲隊を率いて江陵の魏軍を撃破しつつ烏林と襄陽との進路を遮断するのじゃ。残りは妾と共に魯山へ向かう」

 美羽はいい終えると、皆を見渡した。

「皆の者、此度の戦は決戦じゃ。負ければ後はない。必ず勝つのじゃッ!!」

『オオォォォッ!!』

 俺達は雄叫びをあげた。そして解散後、美羽のところへ向かった。

「どうしたのじゃ長門?」

「美羽、残りは魯山へ行くだろ? それは変更して公安に向かってくれないか?」

「公安じゃと? ……まさか……」

「蜀の動きが読めん。もしかするかもしれん。そのための保険だよ」

「……分かったのじゃ、流石に公安だと難しいのじゃから巴丘に布陣するのじゃ」

「分かった。済まないな美羽」

「構わないのじゃ」

 美羽は微笑んでそう言った。そして仲軍は作戦を開始した。

「出港ォッ!!」

 烏林湾を強襲する船団が出港する。俺は四斤山砲を搭載する大型軍船(普通の軍船より大きめ。四斤山砲を搭載しているため)の一番船に座乗している。

 思春達は二番船に座乗している。

「後方の船に連絡。一番船の後方につけ」

「分かりましたッ!!」

 ……正直、上手く出来るかは分からんが単縦陣で突入して右砲戦を展開するしかないだろ。

 海賊紛いに体当たりしてこの軍船を沈めるわけにはいかんしな。費用が高いんだよこれ。

「兎に角……やるしかないな」

 俺はそう呟いた。





 
 

 
後書き
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧