IS-最強の不良少女-
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無関心
前書き
暑いですねー
ではどうぞー
1限が終了した教室で響は頬杖をつき外を眺めていた。窓の外のグラウンドでは上級生だろうか。ISでの実習の準備を行っていた。
それを見ながら響は大きく溜息をついた。
……なんつーか本当にめんどくせーガッコなのなここ。
思いながら響はまた大きなため息をついた。
「……まぁでも。中学の時みたいに他校の奴らが殴り込んで来ないだけマシか……」
中学一年の頃から既に喧嘩に明け暮れていた響の周りには、常にガラの悪い連中が響を倒そうと勝負を挑んできていた。時には上級生を相手にしたこともある。他にも高校生や成人した者に立ち回った時もある。しかしどんなに上級生だろうが年上だろうが響に勝てるものは一人もいなかった。
1人対複数などということは毎日のようだった。しかしその中でも特に異質だったのは響1人対300人超だ。これが起きたのは中学2年の最初の方だった。響の名を聞きつけた不良たちが束となって倒しに来たのだ。
だが響をそれらを1時間もしない間に倒しきってしまったのだ。そのおかげで響の名は全国的に広まり中学3年間で相手にした不良の数は千を超えていただろう。
……それにしても私みたいなのが本当に珍しいのかねーここにいる子達は。
SHRの時間では気にしていなかったが授業中はもちろんのこと今も響に視線がそそがれ続かれている。なぜこうまで響に視線が集中しているかと言うと、もう1人の視線を集めそうな一夏の方が先ほどポニーテイルの女子に連れて行かれ不在だからだ。
……いい加減帰って来いよ織斑ー。この視線もここまで長いと流石にイライラすんだよ。
内心で一夏に呼びかけるとポニーテイル女子が帰ってきたかと思うとその後ろで一夏が千冬に黒いやつで頭をぶっ叩かれていた。
2限の授業が始まると響は机に突っ伏し眠っていた。その理由としては内容が全く頭に入ってこないのだ。響はISの基礎知識だけは何とか渉の力を借りて叩き込んだものの、いざ授業となるとこうも難しいとは思わなかったのだ。
ということで只今絶賛爆睡中である。窓際と言うこともあり日差しが暖かく眠気を誘うのも無理はない。おそらく体育の後とかならば大抵の高校生は寝ることが出来るだろう。
だがそこに千冬がやって来てまた黒いやつを振り下ろした。
鈍い音とともに響が目を覚ます。今度は完全に眠っていたためよけられなかったようだ。
「……なんなんすか織斑先生?」
「先ほどからお前を呼んでいるのだが返事が無いのでな。実力行使に出ることにした」
「それ割と痛いんすけど」
「当たり前だ。痛くしてるからな」
響の反論に千冬は冷静に答えた。
その様子を見ていたこのクラスの副担任である山田真耶がおずおずとした様子で話に入ってきた。
「あのぉ織斑先生それぐらいで……」
「ああすいません、山田先生授業を切ってしまって」
千冬が謝ると真耶はあたふたとした様子で答える。
「い、いえ!とんでもないです!……それでえっと鳴雨さんはここまででわからないところありますか?」
生徒の響に対しても腰が低い。
……大丈夫なのかこの先生。
「まぁそれなりには理解できてます。わからないとこも多々ありますけど」
「貴様は入学前に配られた資料を読まなかったのか?」
響の答えに千冬がギロリと睨む。その視線たるや小動物ぐらいなら殺せそうな勢いだ。
だが響はそれに臆することなく答える。
「読んでちゃんと理解しましたよ。だけど実際に授業受けてみると難しかったんで寝てました」
それを聞いた千冬は軽めのため息をついた。
「ふぅ。……ならばあとで山田先生に教えてもらえ。山田先生よろしいですか?」
「え!?は、はいもちろんです!一緒にがんばりましょうね鳴雨さん!!」
「……うっす」
響は何か言いたげだったが面倒くさくなったのか頷きながらそう言った。
真耶と千冬もそれで満足したのかそれぞれの位置に戻っていった。
「……やっぱりめんどくさいわこのガッコー」
誰にも聞こえない声で響はつぶやいた。
2限も終わりまた頬杖を着いて外を眺めているとふと高めの声が聞こえた。
見るとそこにいたのは一夏と金髪の少女だった先ほどの高めの声はあの子だったようだ。どうやら少女の方が一夏に突っかかったようだ。するとまた少女の方が大きく言った。
「この私をご存じない!?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補生にして入試首席のこの私を!?」
……へー。あの子入試首席なのかすげーんだなー。
そう思いながらも響は興味がなさげだ。そして先ほどと同じように外に目を向けるものの未だにキンキンと聞こえる声に響は苛立ちを募らせていった。
だが二人の話はチャイムでさえぎられた。
3限はどうやらクラス代表を決めるらしい。
開始早々一夏が推薦されていたがそこにまたしてもセシリアが突っかかった。
「待ってください!納得いきませんわ!」
先ほどと同じようなヒステリックな声を上げたセシリアを響は一瞥するがセシリアはそれに気付いた様子も無く抗議の声を上げる。
「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしは――――」
「織斑が極東の猿なら同じ日本人の私らは雌猿か?」
響が声を荒げながら立ち上がった。その様子にクラス中が一瞬びくつく。だが響は言葉をつなげていく。
「さっきからキンキンキンキン耳障りな声あげやがって。声だけで言えばテメーの方が猿らしいけどな」
「なっ!?なんですのあなた!!」
またも甲高い声を上げるセシリアを響は睨む。
「私の事はどうでもいいんだよ。あと少しはその耳障りな声を上げる口を閉じろ。いい加減迷惑だ。それにどっちがクラス代表になるかなんて口論で決めなくたっていいだろうが。手っ取り早いもんがあんだろ?」
響の言葉にセシリアは首を傾げる。
「ISなんて便利なもんがあるだろうが。それでどっちかが勝った方がクラス代表でいいんじゃねーの」
その提案に興奮した様子だったセシリアが落ち着きを取り戻し考え始める。そして答えが出たのか響を見つめながら言った。
「わかりましたではその意見を採用させていただきます。決闘ですわ!」
セシリアは一夏を指差し告げた。響はというとちゃっかり席についている。
一夏の方は反論しようとしているが千冬に止められ結局一夏とセシリアが対決することに落ち着いたようだ。
セシリアをたきつけた響のほうは我関せずと言った風に外を見ていた。
「鳴雨さん!待ってください」
全ての授業が終わったところで響は真耶に声をかけられた。
「なんですか山田先生?」
響が怪訝そうに聞くと真耶は一瞬びくついたが響に説明を始めた。
「えっとですね。今日の二限の時に言われた補修の件なんですけど今日は私が用があるので明日でよろしいでしょうか?」
「明日っすね。わかりました」
「ほ、本当ですか!?本当にいいですね!絶対ですよ!?」
先ほどの落ち着きはどこに行ったのか真耶は響に詰め寄った。おそらく響がこんな簡単に了承するとは思っていなかったのだろう。
「本当ですから落ち着いてください」
「は、はい。じゃあ明日の放課後に残っていてくださいね」
真耶はそう告げると教室から出て行った。
響も寮へ行くため歩を進める。だが響が歩くと周りにいた生徒達がまるでモーセの十戒のようにはけていった。
……そんなに私って怖いか?
疑問を浮かべながら響が歩いているとふとなにやらもめるような声が聞こえた。響は気になり声のす方に行くとそこにいたのは五人の生徒だった。だがどうも仲良しこよしというわけではないらしい。
「あんたさぁちょっと成績がいいからって調子乗りすぎでしょ?」
「そうそう。模擬戦でいい成績残してみんなにちやほやされていい気になるのも大概にしなよ」
聞こえてきたのは嫉妬と怒りが入り混じった罵声だった。だがその罵声は止まる事を知らずどんどんとエスカレートしていく。
「つーかたまたまいい成績残しただけじゃん。本気でやればあたしらの方が強いし」
「だよねー。アレ?なんかこの子泣いてない?」
浴びせられる罵声の数々に中央にいた女の子はついに泣き始めてしまった。
「泣けば済むと思ってるとか超うざいんだけど。ねぇこの子ひん剥いてネットに流しちゃお?」
「いいねーサンセー!アハハハハハハハハ!」
下卑た笑いが響のところまで届いてくる。
「気にいらねぇ……」
そういった響の脳裏に浮かんだのは昔の記憶。まだ二人が小さい頃妹の渉はいじめを受けていたのだ。しかし響は渉を守るため渉をいじめる連中を半殺しにしたことがある。相手の骨は砕け、内臓は破裂した者までいるという。だが相手方も悪いということで響に大きなお咎めはなかった。
以来響はいじめがとことん嫌いになった。影でこそこそとやることが響は気に入らないのだ。真っ向から喧嘩をするならまだしも精神的に相手を叩いていくことなど響にとっては許せることではなかった。
それが今目の前で行われているのだ響に見過ごせるわけがなく響は四人に声をかけた。
「おい。そこのゲス四人」
「は?」
四人の中の誰かが声を上げたが今の響にそんなことはどうでもよかった。
「何あんた?ゲスってあたしたちのこと?」
「それ以外に誰がいる?そんなことまでわからないなんてゲス以下か?」
「あんたいい加減にしないと――――!」
そこまでいったところで一人が黙った。
響が全身から殺気を迸らせていたのだ。あたりにはまるでそこだけ空気が薄くなったかのような感覚がはびこり始めた。
「ったく。IS学園なんてご大層な名前がついてるからこんなこともないんだろうと思ってたけど……。やっぱり何処行っても同じだな」
髪を書き上げながら言う響の声は軽いもののその中には確かな凄みが感じられた。
いじめ女子側はというと先ほどから響の殺気のせいでまったく動けずにいる。いじめられている女の子の方は何が起こったのかわからないといった感じだ。
「なぁ……。それだけその子いじめたんだ。それだけのことを仕返しされる覚悟ってのはできてんだよなぁ?」
「そこまでだ」
響が言い終えたところで後ろから声をかけられた。響が振り向くとそこにいたのは千冬だった。千冬の登場に響の後ろにいる四人が安堵の声を漏らすが千冬が冷徹に告げる。
「お前達四人は生徒指導室行きだ。お前達のことは既に多くの生徒から情報が寄せられている。今更取り繕った所で遅い。場合によっては退学もありうるから覚悟しておけ」
そう告げられた四人は声もなくただ地面に膝をつく。
「趣味が悪いですね」
「そうかもしれんな。だがお前があいつらに声をかけるとは思わなかったぞ」
「別に……ただいじめが嫌いなだけだっての」
そういうと響は寮への道に戻っていった。
寮に来ると響は自分の部屋を探し当てそこに入った。既に先客がいるようで中に人の気配がしたが響はノックもせずに入ると中にいたのは不思議なものを来た人物だった。
「おーきたねー。私が君のルームメイトの布仏本音だよー。よろしくねーひーちゃん」
「お、おう。よろしくな本音」
響は一瞬たじろいでしまった。それは本音の軽さにだ。響を目にしたものは大体が目をそらすかそそくさとその場を立ち去るのが常だが、本音は目をそらすこともビクつく事もなく声をかけてきたのだ。響はそれが不思議でならなかったのか変なポーズを取っている本音に聞いた。
「なぁ本音。私の事怖くないのか?」
「んー?ぜんぜーん。だってひーちゃんすっごく優しそうな目をしてるもん。そんな人に悪い人はいないよー」
「……そっか。サンキューな」
「いいよー気にしないでー。でもあの自己紹介はなかったよー。みんな引いてたもん」
ゆっくりとしたペースながら本音は響の自己紹介についてのダメだしをした。しかし響はそれを軽く流した。
「いいんだよ。それに私と仲良くなりすぎると迷惑かけるし……」
「そうかなー?でもみんなもひーちゃんと仲良くしたと思ってるよきっとー」
「だったらいいけどな。まぁそれは置いといて飯行くか?」
響が提案すると本音は「おー」と言いながら手を上げた。そして二人は食堂へと向かった。
IS学園入学初日、布仏本音が響の最初の友達となった。
後書き
三点リーダが多いのはご勘弁を
なにぶん響は友達がいないボッチ状態なので心情での言葉が多くなってしまうのです。
響さんはいじめが大嫌いです。
本音さんと同室にしました。
感想、ダメだし、アドバイスお待ちしております。
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