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ヘタリア大帝国

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TURN78 ファーストデートその六

「二人共今はだ」
「アステカ帝国との戦いね」
「そのことですね」
「そうだ、伊勢志摩との交渉にも入る様だしな」
「それはこれからね」
 グレシアはドイツにそのことも言う。
「話を進めていくから」
「交渉に入られればいいな」
「そうね。スペインさんアステカに詳しいから」
「明石大佐の調査はかなり細かいものだったがな」
「知っている人が多いに越したことはないわ」 
 グレシアが言うのはこのことからだった。
「スペインさんにも入ってもらいましょう」
「アステカ以降のことも考えるとそれがいいな」
「ええ、それじゃあね」
 そうした話もしてだった、エルミーとグレシアは田中を監視していた。とはいっても田中はレーティアとデートを重ねていてもだ。
 レーティアに一切手を触れない、手を出そうとすらしない。
 横からあれこれと話を振る、しかしだった。
 レーティアは一言も返さない、虚ろな目で歩いているだけだ。 
 服も色気も何もない黒のジャージにオーバーだ。三つ編みの髪もツヤがなく表情には何の生気も存在しない。
 だが田中はそのレーティアに話を振り続けそのうえでだった。
 色々な場所に連れて行く、だが監視しているグレシアはその連れて行く場所についてエルミーに呆れた顔で言った。
「駄目よ」
「センスがないですか」
「女の子をバイクショップや魚屋さんに連れて行くのはね」
 それはもうだというのだ。
「どうにもならないわね」
「テーマパークや本屋さんにも案内していますが」
「どっちもねえ」
 グレシアは腕を組んで難しい顔で言う、二人は今は喫茶店の中で向かい合って座って話をしている。同じ店にその田中とレーティアが言う。
「今だって話題がバイクとか喧嘩でしょ」
「はい」
「テーマパークで連れて行った場所もあれでしょ。男だけが行く様な」
「そんな場所ばかりですね」
「ええ、しかもね」
 それに加えてだった。
「本だってあれじゃない。不良漫画とか雑誌で」
「そういうのも駄目ですか」
「最悪もいいところよ」
 そうだというのだ。
「彼、女の子と交際したことがないから」
「そういうことがわからないんですね」
「奥手だから何もしないのはいいけれどね」
 二人にとってはだ。
「それでも。あれはね」
「センスがないですか」
「レーティアもそうした経験がないから気付いていないけれど」
「田中さんには恋愛センスがないですか」
「絶無よ、どうにもならないわ」
「では田中さんが総統に指一本触れることは」
「ないわ」
 それは全くだというのだ。
「だからある意味で安心出来るけれどね」
「そうですか」
「しかしね。どうしたらいいのかしら」
 グレシアはあらためて言う。
「レーティアが立ち直ってくれないのは」
「どうしたらいいでしょうか」
「私にもわからないわ。ただ」
「ただ、ですね」
「絶対に立ち直ってもらうわ」
 グレシアは強い声で断言した。
「何があってもね」
「そうですね。本当に私も」
「提督、力を貸してね」
「そうさせてもらいます」
 二人はあくまでレーティアの為に動いていた、田中については安全牌だとわかったがそれでもレーティアのことはだった。 
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