グラールの神機使い
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3-4
アツシが帰投すると同時に、召集がかけられる。
リュウジと深い関わりにある新型神機使いは、全員で七人。
彼とコウタの同期、猪狩アツシ。
彼のすぐ後やってきた二人目、アリサ。
彼らの後輩であるフェデリコ、アネット。
一度はアラガミになりかけた元旧型、リンドウ。
そして……フェンリル本部から移転してきた2人、テラ・ヴァチスタと、ジェラルド・ジッキンデン。
「何か……あったんですか?」
心なしか目を赤くしたアリサが小さな声で言った。
「お前たちを呼んだのは他でもない、先日行方不明になったリュウジの事だ」
「亡くなられたんでしょう?」
言葉を遮るように、フェデリコが言い放った。
「フェデリコ、やめなよ」
「分かりきってるじゃないか、アネット。僕達だって……戦場の辛さが分かったんだから、いい経験……う……」
「フェデリコ!」
しゃがみ込むフェデリコを心配し、手をかけるアネット。
涙を流しながらツバキを見上げる。もう、限界だった。
リンドウもツバキと目を合わせ、首を小さく横に振る。誰もが彼の死を悔やんでいた。
しかし、ツバキは書類で頭をおさえながら、バツが悪そうに言い放った。
「リュウジが生きている可能性がある」
……………。
凍りついた空気を破ったのは、アリサの涙声だった。
「リュウジさんが……生きている?」
アリサの瞳から大粒の涙が溢れる。それ続いて、リンドウも声を上げた。
「本当なのか、姉上?」
「姉上と呼ぶなと何度言わせる気だ、リンドウ。可能性レベルだが、とりあえずお前たちにも話しておこう」
そしてツバキは、彼が消えた状況の不自然さ、そしてアツシが持ち帰ったデータから導き出された答えを、全員に話した。
「先輩が……生きてる!」
「フェデリコ!」
「全く……リーダーってのは俺含め、一度は行方不明になる物なのかねぇ」
皆がみな、彼の生存を喜ぶ。
しかし、表情を変えない者が2人いた。
「質問がある」
腕を組み黙っていたテラが、ついに口を開いた。
「その話だと、『生きてる可能性がある』だけで『確実に生きてる』とは言えない気がするのだが?」
すると、同じく黙って椅子に座っていたジェラルドも口を挟んだ。
「私も同意見ですねぇ。そのような遊びに付き合うくらいなら、早く狩りに出かけたいものです」
「ジェラルドさん! あなたは彼と同じ第9部隊だったんでしょう!? そんな言い方ヒドいです!」
アリサが声を荒ぶらせるが、ジェラルドは涼しい顔で言い放った。
「彼は美しくない。私は美しいもの以外には興味がないのでね」
それを聞いたテラが鼻で笑った。
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