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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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 体を起こしてとベットの隣の台においてある携帯で時計を確認する。九時を少し過ぎた時間帯であった。この時間帯なら義父さんや義祖父さんはまだ居間にいるであろう。

 頭からアミュスフィアを外して部屋を出る。相変わらずの長い廊下を歩きながら居間を目指す。

 ちょうど、美奈の部屋の前を通ろうとすると同時に美奈の部屋の戸が開いた。

「あ、優さん」

「おお、美奈か」

「優勝おめでとう。すごいね。初参加で優勝までするなんて」

「ありがとな。でも、前の純だってそうなんだろ?初参加で初優勝。それにまだそこまでの回数やってないからそんなもんじゃないのか?」

「まあそうだけどね。でもそれでもすごいよ。それにしても、お兄ちゃんがあそこで負けて他の人が上がってくるなんて思ってなかったよ。それに、その時の映像が見れなかったのは残念だな」

「確かに純が負けるなんてあの観客の中にいた奴らはそう思っていなかっただろうな。まあ、運が悪かったのと自分の実力を過信しすぎたんじゃないのか?」

 美奈はそれを聞いて苦笑する。そして奈美がキッチンまで行くらしく、居間の途中まで一緒に向かうことになった。

「でも、優さんすごかったですね。最初、あんなに押されてたのに最後は逆転して勝つなんて」

 その言葉を聞いて苦笑いをする。確かに勝ったのだが、自分ではあれで勝ったと思いたくないし、試合だったとも思いたくない。それに美奈の見ていた映像は偽装されたものであるため、若干間違っているようなこともある。

「それなら、美奈もすごいじゃん。見ただけで覚えるなんて。現実だったらすごい才能なんだぜ?」

 話を変えるために美奈との試合のことを思い出し、言った。

「え、そ、そうですかね」

 若干顔を赤くして目を背けた。

「ああ、そんな才能滅多にないしな。それに、もしあのときに他の体の動かし方を見られて美奈に覚えられたら俺は完全に負けてたね」

「もう、優さん。私は負けたんですからそんな褒めないでください!」

 褒められて顔を真っ赤にさせていた。美奈の意外な一面を見れて頬を緩めた。そして居間まで来たら美奈と別れてから中に入る。思ったとおり義父さんと義祖父さんはテレビを見ながらくつろいでいた。そして入ってきたのに気付いたのかこちらを向いた。

「おお、優君。終わったのか」

「はい、優勝して新しい流派を選んでちゃんとしておきました。ちゃんとネットで確認すればわかると思います」

「そうか。しかし、さすがだね。ゲームでも純を倒すなんて」

「いえ、今回は純は決勝の前に敗退しました。まあ、そのプレイヤーは正直強さが異常だったんで倒せなかったんですね」

「そうなのかい?まあ、優君。約束どおりあっちの住むところは私たちが用意しておくよ。それと場所は優君が選択してくれないとこちらが選べないから速めに言ってほしい」

「ありがとうございます。それじゃあ、俺は今日はもう疲れたんでこれで」

「ああ、よく頑張ったね。ありがとう」

 そして、優は部屋を出る。しかし、疲れたのは本当だがまだやることがある。すぐに部屋に戻ると再びアミュスフィアを被る。

「リンクスタート」

 そして再び仮想世界に潜り込んだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 目を開けるとコロッセウムの見える宿にいた。どうやらあの部屋は完全に入れないようにしたため、ゲツガをここに運営が移動させたのだろう。

 立ち上がり、ポケットに手を突っ込む。そして、あのときにポケットからポケットに入れっぱなしだったシードを取り出した。

「テメェ、早く離せ!」

「は?お前の言うことを聞くと思ってんのか?」

「いいからって、やめろ!!変な気分になるぅぅ!!」

 ゲツガはシードを振って無理やり黙らせる。しかし、これからどうするか。こいつの問題の前に感染者だったシュートにもあって話を聞いたほうがいいだろう。しかし、場所を調べるどころか自分は探すことは出来ないだろう。

「参ったな……一応あんときのことは、いろいろ大変だから一度話していた方がいいんだろうけどな」

 しかし、こんなところで考えていても仕方ないだろう。少しでも会える可能性を増やすために街を歩くことにする。部屋を出てロビーに向かう。

 だが、意外にもそこには自分の探していた人物であるシュートがいた。ここにいるなんて意外だなと思ったが、ちょうどいいとこにいてくれた。シュートのほうに向かうとあちらもこちらのことに気付いたのかシュートの方から寄っていた

「あの、少し時間いいですか?」

「ああ、俺もお前に聞きたいことがあったんだ」

 シュートはそう言ったのでロビーにある席に着く。ゲツガも対面の席に座ってシュートに話し始める。

「まず、お前から俺に話したいことを質問していいぞ。答えられる限りだがな」

 そう言うと険しい顔をして言った。

「さっきの試合、ボクは自分の意思で戦っていないことはゲツガさんは知っていますよね?それについて聞きたいんです。何であなたはあのときにボクじゃないってことを確認したんですか。それに、ボクじゃないとわかってた。その理由を教えて欲しいんです」

「……」

 ゲツガはそれを聞いて考える。まあ、さっきの試合でここまでのことをわかるなんて意外だ。だが、これは正直話すべきか迷う。確かに、シュートも感染者であった。しかし、もうシュートの中にはウィルスはいない。

「お願いです。ボクはあなたと戦う前に、あの時意外に一度だけ、意識が戻った時があるんです。ジュンさんと戦った時です。ボクは確実にゲツガさんと戦う前に戦ったジュンさんに何かしてる可能性があるんです」

「……」

 そこまでも気付いているのか。

 確かにシードはジュンにも観客席に偽装映像を使ったといっていた。そのことから確実に自分のように取り付かれそうになったのは確実だ。いや、もう取り付かれたと考えたほうがいい。負けたのだったら絶対に何かされているだろう。それにシードの言っていた、もう一人の方に移りたい。これはもう何かされていいると思ったほうがいいだろう。

 再び、シュートのほうを見る。シュートはかなり深刻そうな顔をしてゲツガのほうを見ている。しかし、どうしたものか。ウィルスの存在は隠していたほうがいいはずだ。だが、シュートはウィルスに感染してある程度のことを知ってしまったはずだ。もう、無関係とも言えない。

「……はぁ。話してもいいが、これは誰にも話すなよ」

「ありがとうございます!」

「騒ぐな。いいか、これについては俺もわからないことのほうが多い。だから、俺の知らない情報があったらお前も俺に提供してくれ。それと敬語はなしな」

「わかりました」

「まず、俺の知っている限り、お前に感染していた奴はこれだ」

 そう言ってポケットからシードを取り出す。それを見たシュートは何かを感じ取ったのか顔をしかめた。

「これがボクに入ってたものなんですね。それに感染ってことは……これはコンピュータウィルスみたいなものですか……?」

「まあ大体あってる。だが、コンピュータウィルスみたいなものならまだマシだな」

「何でですか?」

「お前も分かるだろ?こいつはただのウィルスじゃない。こいつに乗っ取られる、いや、もう感染でいいか。感染されると意識を乗っ取られるって言うよりも奪われ、体の自由を奪われる。それにこいつには意思がある」

「……ゲツガさんの言うとおり、これは危険すぎる……でも、何でこんなことをゲツガさんは知ってるんですか?ウィルスの存在を知っているってことはゲツガさんも感染者だったんですか?」

「……元な。だが、こいつよりもかなりひどい奴だ」

 そう言って顔をしかめた。それを見たシュートはゲツガの気持ちを察したのかそれ以上は追及してこなかった。

「えっと、ゲツガさん、一つ質問なんですが、感染経路はどんな感じのものがあるんですか?」

「そこら辺はわからない。俺の知っている感染経路自体がちょっと特殊だったからな」

「そうなんですか。確認なんですが、ゲツガさんの知っている感染者はボク以外にいたんですか?」

「わからん。俺も感染したプレイヤーにあったのはここで初めてだからな。その話から察すると他にも感染者がいるといいたいのか?」

「たぶん、ボクにこれを入れた奴です」

 それを聞いたゲツガは驚く。自分以外にもすでに感染者がことにだ。ゲツガはすぐにシュートに聞いた。

「おい、それは本当か?特徴は?」

「たぶん、これを後ろから口の中に入れたんだと思います。体にはぼろ布を羽織っていて、その下の顔は包帯でぐるぐる巻きにされていてよく分かりませんでした」

 まさか、まだ感染者がいたなんて……今のところは候補としてジュンぐらいと思っていたが他にもいるなんて……。いや、いてもおかしくないだろう。そうじゃないと、シュートの感染経路がおかしくなる。

「ただ、プレイヤーの感じはどことなくこの世界のとちがうような感じがしたんです……」

「違う感じ?」

「いや、なんとなくですよ、なんとなく」

「……そうか」

 ゲツガはもっと聞きたいと思ったが、今は現在の事態をどうにかしなきゃならない。シードを叩いて喋らせようとする。

ドンドン!

 ゲツガは拳を握り、シードを叩き始める。ちゃんと客がいないことは確認済みだ。それを見たシュートはすこし慌てたように言った。

「な、何してるんですか!?」

「こいつをおこしてるんだよ」

「こいつってただのウィルスって言ってるプログラム体じゃないんですか?」

「言っただろ?意思があるって」

 そして叩き続けるとそろそろ怒り出したのか中のノイズが強さをまして、荒げた声が室内に響き渡る。

「お前いい加減にしろよ!何度も叩きやがって!!」

「わっ!喋った!?」

「あぁ!?なんでこいつもいるんだ?」

 いきなりシードはシュートに気付き、そう言った。しかし、ゲツガは何も答えずにシードを持ち上げて言った。

「お前に聞きたいことがある。ジュンを感染者にしたかとシュートを感染者にした人物についてだ」

「誰が喋るか、んなこと」

「話せ」

「嫌だね」

 ゲツガはさすがにこいつが話すわけがないと思っていたが一応聞いたが収穫はナシだったようだ。再びシードをポケットに入れて、席から立ち上がる。

「どこ行くんですか、ゲツガさん」

「俺はジュンを探しに行く。あいつが感染者になっていないかの確認もしなきゃならないしな。情報は助かった」

「僕も行きます。ジュンさんを感染者になっていたら自分のせいかもしれないんで」

「まあ、いいだろ。人手が多いほうがいいしな。じゃあ手分けして探すぞ。何かあったらメッセを飛ばしてくれ」

「わかりました」

 そしてゲツガとシュートはフレンド登録をすると、感染者であると疑われるジュンを探しに宿を出た。 
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