八条学園怪異譚
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第三十三話 踊る本達その十三
「ですがそれでもです」
「ううん、一度ですか」
「先輩のスタイルをですか」
「殿方は終生ご主人だけと定められている方ですが」
この辺りは真面目である、巫女らしく操には五月蝿いのだ。
「しかしです」
「女の子は、なのですね」
「あの人は」
「はい、何人でもと考えておられます」
その眼鏡をかけていない顔で二人を見ての言葉だ、
「そして先程も言いましたが」
「年下好きなんですね」
「後輩が」
「そうです、特にお酒が入られると」
それでパワーアップするというのだ、セクハラ力が。
「ご注意下さいね」
「というか一度被害に遭ってますし」
「二人一度に部屋に連れ込まれるところでしたから」
「そこをあしらうのも女の子の力量の一つですよ」
「ううん、何とか避けてみます」
「その辺りは」
「ではいいですね」
「はい、それじゃあ」
「お酒をお渡しして」
二人であらためてその酒を見る、広島の地酒を。
「それからですね」
「出来れば先輩のスタイルも」
「必見ですから。実は私も」
ろく子は優しい笑顔のまま話す。
「女の子好きですから」
「えっ、ろく子さんもまさか」
「そっちの趣味が」
「我が国は同性愛にも寛容な国です」
特に男同士の間ではだ、こちらの関係は歴史上の多くの人物の名前が出るのが日本の大きな特徴である。
「ですから女同士も」
「あの、襲わないで下さいね」
「私達本当にノーマルですから」
「はい、それは私もしませんので」
好きだが攻めはしないというのだ。
「私は受けですから」
「というか受けですか」
「ろく子さんそっちですか」
「エスかエムだとエムです」
現代のそうした言葉も出る、
「そちらです」
「ちなみにあたしはエスだよ」
「私もよ」
口裂け女と花子さんは自分達からこちらだと言う。
「もう攻めるから」
「それもどんどんね」
「うん、それはわかるわ」
「二人共ね」
愛実と聖花も二人にこう返す、一目瞭然だというのだ。
「そういうのはって感じよね」
「攻めるタイプね」
「ああ、恋愛は当たって手に入れろだよ」
「そして女の子がリードするものよ」
「そうして攻めるものだよ」
「これが私達の考えなのよ」
二人は酒とつまみを楽しみながら愛実と聖花ににこにことして話す。
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