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IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~

作者:白さん
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第三十一話『タッグトーナメント』

6月最後の月曜日、遂に開催された学年別タッグトーナメント。既に会場は盛り上がりを見せ、会場には活気が見える。


「スウェン・カル・バヤン君、準備の方お願いします」

「了解」


アリーナのピットに居るスウェンは教師にそう促され、ノワールを展開する。スウェン、一夏はAブロック一回戦一組目。つまりタッグトーナメントの最初の試合となる。一夏は既にアリーナへ出ており、対戦相手も同じくである。ピットにはスウェンのほかにシャルル、セシリア、鈴音が居る。


「まさかいきなりスウェンさん達がラウラさんと当たるなんて……」

「一夏大丈夫なのかしらね~……」


セシリアと鈴音はそわそわしながら言い、シャルルはスウェンの傍に行き


「スウェンと一夏なら絶対勝てるよ!」

「……」

「スウェン?」

「……」


スウェンからの反応は無く、シャルルはもう一度呼びかける。


「スウェン、スウェンってば聞いてる?」

「何度も呼びかけるな、聞こえている」

「だったらいいんだけど……頑張ってね」

「全力は出す心算だ」


スウェンはカタパルトに足を固定する。


「スウェン・カル・バヤン、ストライクノワール、出る」


火花を散らすカタパルトによってアリーナへ押し出されるスウェン。彼は先程の事を思い出していた。





/※/





それは数十分前の事。


「……」


本戦当日という事もあり緊張の色を見せる一夏。スウェンはそれを見兼ねたのか


「織斑、冷静さを見失うな。何時も通りやればいい」

「あ、ああ……わかってはいるんだけど……」

「まあ無理も無いか。今回のタッグトーナメントは各国の政府関係者等の部外者達も来ている。他人に見られるというのも気が気ではないからな」

「スウェンは緊張してないのか?」

「多少なりともしている。無様な真似を他の奴等に見られたくは無いからな」

「してるようには見えないんだけどな……」

「さて、そろそろ俺達の対戦相手が映るな」


二人はそのままモニターへ視線を移す。画面はトーナメント表に変わりスウェンは真っ先に自分の名前を見つける。


「これは……」

「え? どうした?」


スウェンは黙って指をさす。一回戦目はスウェンと一夏であったが、二人にとってそれは問題ではない。その対戦相手に問題があった。


「まさか早くもぶつかるとはな」

「……ああ」


スウェンと一夏ペアの対戦相手。それはラウラと箒だったのだ……。





/※/




四機のISが二機ずつがアリーナの中央部分かれて位置している。スウェン、一夏ペア。ラウラ、箒ペア。それぞれが自分の武装を手にし開始のブザーを待っている。


「まさかこういう形で戦うとはな、一夏」

「それはこっちのセリフだ。悪いが全力でいかせてもらうぜ!」

「元より承知だ!」


一夏と箒は互いに言葉を交わすが、一方のスウェンとラウラは互いに視線を反らさずに見ている。そしてスピーカーの音声がアリーナ内に響き渡った。


『開始5秒前! 5―― 4―― 3―― 』


迫るカウントにスウェン達は武器を握りなおす。


『2―― 1―― 試合開始!!』


ブザーと共に一夏、箒がアリーナを駆ける。


「うおりゃああ!!!!」

「てゃああああ!!!!」


一夏は下段から、箒は上段から斬り掛かる。


「(攻撃に出たのはこちらが早い! このまま切り捨てる!!)」


確実に一夏にダメージを与えられる。そう確信した箒はその勢いを殺さずに振りかぶる。


「もらったぁあ!!!!」


誰もがそう思ったその時、箒の目の前から一夏は消え去った。


「な……に……!?」


箒は視線を向けると、一夏の位置は後方に遠ざかり近接ブレードの一撃は完全に外れ、隙が生まれた。

それを見逃すスウェンではない。アンカーによって後方へ引き寄せた一夏の横を通り過ぎ、フラガラッハを抜刀し箒へ迫る。


「もらった」


小さくそう呟く。スウェンが箒にフラガラッハの切っ先を向けた瞬間


「ッ!!」


突然スウェンは爆発に飲まれた。ラウラがカノーネストライカーの大型レールガンをスウェンに向けて放ったのだ。


「篠ノ之! 退け!」

「くっ、わかった!!」


箒はラウラに言われたとおり、ラウラの傍まで距離を取った。


「スウェン!!」


爆発に巻き込まれたスウェンは煙の中からゆっくりと姿を現した。


「大丈夫か?」

「ああ、直撃は間逃れたが……ダメージは受けた。それに……」


右手に持っていたフラガラッハはビーム発信基部が破損しており、刀身自体にひびが入っていた。それだけではない、ノワールストライカーを左部分のウィングも損傷している。


「これはもう使い物にならないか……」


片方のフラガラッハをストライカーへマウントしショーティーを構える。


「厄介だな。あちらも俺達と同じ作戦だ」

「え?」

「篠ノ之が前衛、ラウラはそのストライカーを活かした順応な戦闘をする。こちらとほぼ同じ作戦だな」


類似した作戦ほどやりにくいものは無い。それを熟知したスウェンはマスクの中で表情を変える。


「どうする?」

「予測してなかったわけではない。織斑、プランBだ」

「わかった!!」


スウェンはショーティーをラウラへ、2連装リニアガンを箒にそれぞれ向けて放つ。


「くっ!!」


集中的に狙われたラウラはみるみる箒との距離を離されていく。一夏は十分に箒とラウラとの距離が空いた事を確認すると、箒へと迫る。


「分断されたか……!!」


直ぐに援護へ回ろうとするがスウェンがラウラの眼前に立ち阻まれる。


「(何故一対一へと持ち込んだ?……隊長は何が目的で……)」


考えるだけ無駄とラウラは結論し、カノーネからシュヴェルドへ換装しティーア・ナーゲルを手に持ち


「はあっ!!」


スウェンへと接近しティーア・ナーゲルを降り下ろす。スウェンはまだ機能しているフラガラッハを左手に持ち防ぐ。

そこから数回にわたる剣劇が繰り広げられる。スウェンはフラガラッハ一本でラウラのティーア・ナーゲルの攻撃を辛くも防ぎきる。


「強くなったな、ラウラ」

「隊長も……あの時よりも腕を上げられたのですね」

「のうのうと過ごしていたわけではない……!」


ラウラと一旦距離を取るスウェン。横目で一夏の方を見る。善戦はしているようだが、何時劣勢に立つかわからない。


「(こちらもラウラの攻撃を長くは防げない……動くなら今か)」

「戦闘中に考え事ですか!!」


動きを止めたスウェンにティーアナーゲルを連結させたラウラが襲いかかる。


「ふっ!」


するとスウェンはフラガラッハをラウラ目掛け投擲する。その直線的な軌道のため、ラウラは難なくそれをかわした。


「武器を投げるとは……我を忘れましたか!?」

「どうかな……手の内はあまり明かしたくはないが……!」


その時、スウェンはノワールストライカーを粒子化させ新たにストライカーを換装する。


ストライカーの左アームに接続された大型のバズーカ。両腰にはショーティーではなく左側にはビームライフル、右側にはレールガンがそれぞれ装備されストライクEの色もノワールのカラーリングの時とは違い全体が漆黒に変化した。


「“レーゲンストライカー”換装完了。反抗を開始する」


 
 

 
後書き
早速出させていただきました、募集いただいて採用したレーゲンストライカー。このストライカーの設定は近日公開したいと思います。

次も近日中には是非更新したいものです。


次回、雨VS雨。お楽しみに!! 
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