転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0304話
俺が闇の魔法という単語を発した瞬間、まるで周囲の気温が下がったように感じられた。あやかもまたそんな空気を感じ取っているのか大人しくこちらの様子を窺っている。それから数秒、エヴァが口を開く。
「闇の魔法、か。一応聞いておくが、それは私が使う闇属性の魔法か?」
この場合の闇属性の魔法というのは、魔法の矢の闇属性バージョンのような魔法(闇)だろう。そのエヴァの言葉に首を横に振る。
「いや、闇の福音と呼ばれる真祖の吸血鬼であるお前が編み出した魔法の事だよ」
「ふん、なるほど。……どこでその名を知った?」
「書斎の中に闇の魔法について書かれてある本が置いてあったぞ。もっとも、推測の上に推測を重ねたような頼りない内容だったがな。ただ、ここにその魔法を開発した本人がいるんだ。そんな内容の本で知識を得るよりは本人に聞いた方がいいだろう」
「書斎に? あぁ、そう言えば以前闇の魔法について書かれている本を興味本位で買った事があったな。あれか。……確かにあの本の内容は推測に推測を重ねたというのが正しい出来だったし、色々と的外れな事も書かれていたが……捨てたと思ったんだがまだ残っていたか」
確かに自分の編み出した技術について書かれた本があれば興味を持つというのは当然だろう。それを興味本位で買ったのはいいものの、結局は放っておいた訳か。
「……まぁ、確かに。お前程の才能があるのなら闇の魔法を習得するのもそう難しくはあるまい。だが、いいのか? その魔法を編み出したのは魔法世界では600万ドルの賞金首だった私だぞ」
何かを試すかのように告げてくるエヴァに、思わず鼻で笑う。
「ふん、今更その程度がどうしたって所だな。そもそも俺の目的は魔法といわれる未知の力の習得だ。使い手がエヴァしかいないと言われている闇の魔法というのは格好の対象だろうに」
「確かに使いこなすのは私だけだ。使えると言うだけなら他にもいるがな」
「……で、闇の魔法について教えて貰えるのか?」
俺の言葉に数秒沈黙したエヴァだったが、やがて小さく頷く。
「よかろう。そもそもこのままではどうせ私と共に消えていく筈だった魔法だ。それがどのような物なのかを知りたいというのなら教えてやってもいいだろう。雪広あやか、悪いがお前の魔法については今日はここまでだ。後は1人で練習していろ」
その言葉に、心配そうにあやかが口を開く。
「その、闇の魔法というのについては私も聞いてみたいのですがよろしいですか?」
「駄目だ」
あやかの言葉に今度はきっぱりと首を横に振って却下するエヴァ。当然あやかとしては納得出来なかったらしく、食ってかかる。
「何故ですか!? アクセル君に話してもいいのなら私が聞いても構わないでしょう」
「馬鹿か。九九が出来ない子供に因数分解を説明しても理解出来ると思うか? ようはそういう問題だ。アクセルはともかく、お前はまだまだ九九を習っている段階に過ぎない。……いや、ようやく九九を習い始めたばかりと表現してもいいだろう。今のお前が高等な技術について聞いても百害あって一利無しだ。大人しく訓練していろ。行くぞ、アクセル。説明するにしてもこの場でという訳にはいかないだろう。城の中で話してやる。茶々丸は私に付いてこい。チャチャゼロは雪広あやかが妙な真似をしないように見ていろ」
「分かりました」
「オウ、任セトケ」
「アクセル君……」
こちらを追ってこようとするが、その服をチャチャゼロにしっかり掴まれている為にそれも出来ないあやかが心細そうに俺の名を呼ぶ。
その様子に、思わず苦笑しながらあやかの背中を軽く叩いてやる。
「別にそんなに心配する必要は無い。闇の魔法というのがどういう物かを聞くだけだ」
「ですが、闇の魔法なんてあからさまに危険そうな魔法ですわよ?」
「さて、名前だけで決め付けるのもどうかと思うがな。まぁ、それ程心配はいらないだろうさ」
あやかにそう言って、軽く手を振る。
名前だけで危険だと決め付けるとか言ってるが、間違い無く危険な魔法なのだろう。でなければ、使い手がエヴァだけ……いや、エヴァの他にも使える人間は何人かいるんだったか。それにしても、もっと広まっていてもいい筈だ。つまり広まらないのならそれ相応の理由がある筈なのだ。……こう言っておいてなんだが、もしかして真祖の吸血鬼であるエヴァの評判で使い手がいないなんてオチだったりはしないで欲しい。
だが、何故だろう。闇の魔法について書かれてる本を見た時のように俺の中にある念動力が関係しているのか、その危険な筈の闇の魔法に強く惹かれている自分がいるのも事実なのだ。
いずれ、きっとこの力が必要になる。根拠も何も無く素直にそう信じる事が出来るだけの何か。……否、ナニカが。
「そう、ですか。わかりましたわ。夫の帰ってくる場所を守るのも妻の役目! 私はここで待たせて貰います」
「……夫って……」
いつも通りのあやかに、思わず笑みを浮かべてその場を後にした。
エヴァの別荘であるレーベンスシュルト城。その城の一室に俺とエヴァ、茶々丸の姿があった。
「さて、闇の魔法についてだったな。まず最大の特徴は何と言っても攻撃魔法を己に取り込むという事だ」
「それだ。普通は自分に攻撃魔法を使えばダメージを受けるのに、どうやって取り込むんだ?」
例えば、紅き焔を自分自身に使えばまず間違い無く重度の火傷を負ってしまうだろう。
「ふむ、そこか。そうだな……簡単に言えば攻撃魔法を取り込むと言っても肉体的に取り込むのではない。魔法を自らの霊体に融合させる訳だ」
「……霊体?」
「うむ。そうする事によってその魔法を己の身の内にも取り込む事が可能になる」
「だが、そんな無茶をするんだ。当然危険やデメリットといったものもあるんだろう?」
俺のその質問にニヤリとした笑みを浮かべるエヴァ。
「当然だ。何のリスクも無く力を手に入れられる訳が無かろう。そもそもこの闇の魔法というのは真祖の吸血鬼である私が使う事を前提として編み出したものだ。故に私が使う分には特に問題は無い。だが、それ以外の者……例えば人間が使った場合は闇と魔に侵食されていき……」
そこで一旦話を止めるエヴァ。十秒程焦らすようにしてから再度口を開く。
「恐らくだが、精神と肉体を魔に支配されて人外の化け物と化すだろう。そして当然そうなった場合は二度と純粋な人間に戻る事は出来無い」
「なるほど」
「……何?」
俺の返事が殊の外軽かった為だろう。胡乱気な視線をこちらへと送ってくる。
「人外の化け物。つまりは、エヴァと同じような吸血鬼になるのか。……いや、違うな。恐らく個人的な資質によってその辺は別れると見た方がいいな。だが、それだけの生物に変化……いや、転生するんだ。そうなった直後は理性を無くして本能による暴走状態にあると見るべきか」
「おい、アクセル!? 貴様、今の話を聞いても闇の魔法を覚えるつもりなのか!?」
「ああ」
エヴァの問いに、寸分の躊躇いも無く頷く。
「何故だ? 貴様はあのサウザンドマスターであるナギをも越える人外に近い魔力を持っている。それにこの世界には無い技能も多数所持している。それなのに何故まだ力を求めるのだ? それも、闇の魔法というハイリスク・ハイリターンの力を」
「必要だからだ」
「必要?」
「ああ。恐らく……だがな」
「何を馬鹿な事を。そもそも本当に人間以外の存在になるという意味を分かっているのか?」
「どうだろうな。だが、俺の中の念動力がその力を必要だと訴えているんだよ」
そう、今もまだ俺の中にある念動力が闇の魔法が必要だとまるでがなりたてるかのように訴えているのだ。
「念動力? それはあれだろう、私の動きを止めた力」
「まぁ、それもそうだが……いや、念動力の詳しい説明をしていなかったな。念動力とは言っているものの、正確にはあらゆる超能力の要素が集まっている力を総称して念動力と言っている。あくまでも理論的な話になるが、この念動力というのを極限まで極めた者はサイコドライバーという、神の如き力を操れる……らしい」
「らしい?」
「あくまでも理論上の話だからな。そして当然と言うべきだが、俺の念動力はサイコドライバーの域には達していない。だが、それでも俺の世界では恐らく俺以上の念動力者はいないだろう」
何しろ転生特典か何か知らないが、スパロボのシステム上ではLV.9が最高レベルの筈なのに、俺の念動力LVは既に10に達している。
「つまりサイコドライバーの域には達していなくても俺の念動力は普通の念動力者から見た場合は桁外れのレベルな訳だ。そして当然そんなレベルだからエヴァの動きを止めたサイコキネシス以外にも色々な能力が使える」
俺の説明を聞いていたエヴァが頷く。
まぁ、様々な力と言っても使いこなしていると言えるのはサイコキネシスだけで、その他は殆ど発作的な予知……ともいえないような予感を覚えるような感じなのだが。自分に向けられている危機感を察知するというのも恐らくそれに入るだろう。
「なるほど。その念動力とやらが闇の魔法を必要だと訴えている訳か」
「ああ」
まぁ、もしかしたら俺が吸収したリョウト、アヤ、ブリットの3人の意識が実は微かに残っていて……という可能性も無きにしも非ずといった所だが、結局は同じ事なのでその辺は置いておく。
「確かにアクセル、貴様程の魔法の素質を持っていれば闇の魔法の習得も可能かもしれない。だが、それはあくまでも理屈ではだ。闇の魔法を習得するには魔法の才能だけでは無く、適性のようなものも必要になる。……他にも、闇の魔法を使うには莫大な魔力が必要だが、これに関してはアクセルの場合は問題無いか」
「適性?」
「ああ。ただ、私が見る限りではお前にその適性はあるように思える。だが、当然の事だが何事にも絶対というものはない。闇の魔法の習得には特殊な過程を経るのだが、その課程で闇の魔法を習得出来ない場合は、最悪もう2度と魔法を使えなくなる可能性がある」
確かにそのペナルティはきつい。だが、既に俺には闇の魔法に手を出さないという手段は無いのだ。これまで幾多の戦いを潜り抜けてきた俺だが、同時に念動力による直感的なアドバイスに従って死線を潜り抜けたのも1度や2度ではない。俺の中では念動力による直感はそれ程に信頼性の高い物になっている。
「構わない」
「……はぁ、何が貴様をそこまで駆り立てるのかは分からないが、そもそも今回は闇の魔法についての話を聞くだけだったのではないか? 雪広あやかが一緒に付いて来たいと言ってたのはこれを予想していたからかもしれんな」
「悪いな、この機会を逃さない方がいいようなんでな」
「……貴様程の力を持つ者がそこまで力を欲するか。修学旅行で何かあるのは間違い無い、か」
「関西呪術協会か、強硬派とやらが暴走するのかもしれないな」
「ふん、その程度の連中にお前をどうにか出来るとは思えんがな。……まぁ、いい。茶々丸、倉庫に封印を施してある箱がある。それを持ってこい」
「マスター、ですが……アクセルさん、本当にマスターの闇の魔法を覚えなければいけないのですか?」
今まで俺とエヴァの会話を黙って聞いていた茶々丸が心配そうにそう言ってくる。
その茶々丸を落ち着かせるように背中の辺りを軽く叩く。
「俺の魔法の才能はエヴァも驚くレベルだ。それを信じてくれ」
「ですが、その危険性は……いえ、申し訳ありません。マスター、すぐに持って参ります」
ペコリと一礼すると部屋を出て行く茶々丸。その後ろ姿を見ながらエヴァがどこか感慨深げに呟く。
「奴も随分とお前の影響を受けてきたようだな」
「そうか? 接している時間で言えば俺よりもエヴァの方が断然上だろうに。そうなるとより大きな影響を受けているのは俺じゃなくてエヴァだと思うがな」
そんな風に5分程話をしていると、手に50cm程度の大きさの箱を持った茶々丸が戻ってきた。封印されているというエヴァの言葉通り、その箱からは魔力を感じ取れる。
「よし。床に置け」
「はい」
エヴァの言葉に頷き、持っていた箱を床の上へと置く茶々丸。それを見ながらエヴァが口の中で何かを呟くと、箱から感じられていた魔力が霧散する。
「これで封印は解除された。アクセル、箱を開けてみろ」
「……」
エヴァの言葉に、無言で箱を開ける。すると目に入ってきたのは1本の巻物だった。まだ開かれていない状態でも感じとれる程の魔力を感じさせる。
「これは?」
「私が以前作った物だ。このスクロールを使えば闇の魔法を習得する事が出来るだろう。……もっとも、これよりも完成度の高いスクロールもあったんだが……どこぞの筋肉馬鹿に持って行かれてしまってな。なので、今闇の魔法を覚えるというのならこれを使うのがベストだろう」
完成度の高い物、ねぇ。
「なら、この巻物……いや、スクロールは完成度が低いのか?」
俺のその質問に軽く首を振るエヴァ。
「いや、効果自体はそれ程変わらん。ただ、これは1回限りの使い捨てのようなものでな。持って行かれた方は何度でも使えるタイプだ。言うなればこれはプロトタイプのような物だと考えて貰えればいい」
「効果自体は変わらないんだな?」
「ああ、それは保証する」
「なら、別に使い捨てでもプロトタイプでも構わない」
エヴァへとそう言い、スクロールに手を伸ばした所で再度声を掛けられる。
「アクセル。本当に……いいんだな?」
「ああ」
「アクセルさん、ご武運をお祈りしています」
「頼むよ」
2人にそう返事をし、持っていたスクロールを展開する。
「……何だ? 何も起きな……っ!?」
次の瞬間、スクロールから闇そのものとしか言えないような存在が溢れ出し……俺を呑み込んだ。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
???
???
撃墜数:376
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