夏休みの出会い
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第九章
「ひょっとしたら」
「それでか」
「うん、お互いに知っててそれでもう見ていたから」
同じクラスなら見る、それでだというのだ。
「それでかな」
「何だよ、それじゃあ合コンよりも同じクラスってこと自体がか」
秋山は純貴の話を聞いて言った。
「ロマンなんだな」
「君ロマンって言葉好きだね」
「男は誰でもロマンチストなんだよ」
そして女はロアリストである、誰が言っただろうか。
「とにかく。ロマンか」
「うん、同じクラス同士ってこと自体がね」
「そういうものなんだな」
「僕達今日もデートだから」
純貴はにこりと笑って言った。
「合コンとはもう縁ないよね」
「カップルで出てくれよ」
「えっ、そうなるの」
「俺達も出てるんだからな」
それでだというのだ。
「わかったな、楽しめよ」
「加藤さんに誰かが声かけたら困るけれど」
「最初に言えばいいからな、そんなことは」
「やれやれ、本当に合コンが好きなんだね」
「だから言ってるだろ、合コンはロマンなんだよ」
秋山の熱い言葉は変わらない。
「わかったらな」
「来いっていうんだね。カップル同士で」
「頼んだからな」
秋山は笑顔で純貴に言った、そうしてだった。
純貴も杏美と二人で合コンに出た、ただこの時も二人は二人のままだった。
夏休みの出会い 完
2013・2・2
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