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汚い仕事

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第四章

 何でもだった、優子は汚い他人が嫌がる仕事を進んでだった。
 笑顔で自らしていた、百貨店にもそうした仕事は多いがだ。
 自ら進んでしていた、それこそ生理ナプキンを処理する様な仕事もだ。
 自分から笑顔でしていた、その優子を見てだった。
 麻友は気付いた顔になってそれで友美に言った。
「優子さんって確かに仕事は普通だけれど」
「ええ、失敗することもあるけれど」
 流石に後輩の二人よりはそれは少ない、だがそれでも優子もミスはする。
 だがそれでもなのだ、優子はミスをするし目立って仕事が出来るものでもない。
 その優子が頼りにされている、その理由はだった。
「ああして皆が嫌がるお仕事を進んでやるから」
「それでなのね」
「雑用って馬鹿にもしないで」
「率先遂行だから」
 それ故だとわかったのだ。
「優子さんは皆に頼りにされてるのね」
「それで信頼されてて」
 このことがわかったのだ、そして今もだった。
 優子はゴミ箱を洗っていた、かなり汚れていたそれをだ。
 自分から洗っていた、しかも笑顔でだ。
 麻友はその優子を見てまた言った。
「ああしたことが出来るからね」
「皆見てるから」
 そうした優子をだというのだ。
「皆頼りにさせて慕ってて」
「信頼してるのね」
「ああいうことは中々出来ないわよ」
 麻友は真剣な顔で言った。
「私にはとても」
「私もよ」
 友美もこう返す。
「絶対にね」
「それが出来てしかも一言も文句言わない優子さんって」
「凄いわね」
「今はとてもだけれど」
 ここでだ、麻友は決意した様な顔で言った。
「少しずつでもね」
「優子さんみたいになりたい?」
「そう思えてきたけれど」
 つまり優子を尊敬しだしていた、それが出ている言葉だった。
「どうかしら」
「私も。とても優子さんみたいにはなれないけれど」
「それでもよね」
「今はね」
 友美もこう言ったのだった。
「無理でも。それでもね」
「そうよね、少しずつでもね」
「優子さんみたいになりたいわ」
 こう言った、そしてだった。
 二人で優子、ゴミ箱を洗っている優子のところに来てだった。
「あの、優子さん」
「いいですか?」
 二人で笑顔で言ったのだ。
「よかったらですけれど」
「お手伝いさせてくれますか?」
「えっ、そうしてくれるの」
「はい、そうさせて下さい」
「優子さんだけするのは何ですから」
「いいわよ、別にね」
 今も笑顔で言う優子だった、屈託のない顔で。
「もうすぐ終わるから」
「じゃあ次は」
「次の時は」
「二人がよかったらね」
 ここでも二人を気遣って言う優子だった、その笑顔はとても優しい。
「そうしてくれるかしら」
「はい、そうさせて下さい」
「一緒に」
「じゃあ三人でね」 
 優子は二人に笑顔で応えた、そしてだった。
 三人でゴミ箱を洗った、他のゴミ箱も。二人は自分から動く優子のその姿を見てからその後でまた話をした。
「優子さんは凄いね」
「ええ、自分から進んでするから」
 このことを話すのだった。
「優子さんみたいにはなれなくても」
「近付きたいわね」
 この憧れを持ったのだった、そして何故優子が皆から慕われ頼りにされているのかをよく理解した、尊敬も深く抱きながら。


汚い仕事   完


                            2013・2・20 
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