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八条学園怪異譚

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第三十三話 踊る本達その十

 そのうえでするめを口の中に入れてこう言うのである。
「その目のままね」
「頑張るんだよ、あとね」
「あと?」
「あとっていうと?」
「泉のことだけれどね」
 周りを飛ぶ古書、百年以上経っている彼等を目だけで見回しながらの言葉だ。
「かなり探してるけれどまだ見つからないね」
「次は美術館か保育園行こうと思ってるけれどね」
「まだね」
 見つかっていない、それでもだった。
 二人はそのままの目でだ、こう言ったのである。
「次の場所行くから」
「駄目ならまた次ってね」
「タフね、前から思ってたけれど」
 花子さんはある意味感心していた、そうした言葉だった。
「その意気よ」
「というかね、諦めるのってね」
「どうしてもね」
 二人もここで言うのだった、やはり目は確かなままだ。
「好きじゃないから」
「それにあるのはわかってるから」
 絶対に何処かにある、それならというのだ。
「探していれば見つかるからね」
「やるわよ」
「いい感じよ、じゃあね」
 花子さんもここまで聞いて言う、そして。
 二人にあるものを差し出した、それはというと。
「ええと、これって」
「何なの?」
「お酒よ、お酒」 
 一升瓶である、それが一本ずつ二本である。
 それを二人に差し出してそして言うのである。
「あの巫女さんが一番好きなお酒よ」
「何でそこで先輩の好物出してくれたの?」
「意味がわからないけれど」
「これ持ってあの娘のところに行ってね」
 そしてだというのだ、花子さんはその二本の酒を差し出してそのうえで二人に対してこう話したのである。
「これ渡してくるといいわよ」
「つまり先輩の協力を?」
「それを手に入れろっていうのね」
「そうよ、二人より三人だし」
 それにだというのだ。
「あの娘巫女としての力と知識は確かだからね」
「私達の力になってくれるのね」
「そうしてくれるのね」
「そうよ、博士や私達だけじゃなくてね」
 茉莉也もだというのだ。
「あの娘もね」
「ううんと、それじゃあ」
「このお酒貰って」
「そう、プレゼントしてね」
 そうしてだというのだ。
「協力してもらうといいわよ」
「あの先輩そんなに頼りになるの?」
「確かに霊力は確かだけれど」
「だから霊力は備わってるのよ」
 これは確かにだというのだ。
「飲んべだけれどね」
「そのお酒大好きなことが問題だけれど」
「セクハラもするから」
「まあそれでもなのよ」
 花子さんは二人に茉莉也のことを話していく。
「いざって時は協力してもらうといいから」
「わかったわ、まあとにかくね」
「あの先輩もなのね」
「そう、力を借りてね」
 そしてだというのである、二人はそれぞれ一本ずつ酒を受け取った。見ればその酒は。
 広島の酒だ、二人も知っている有名な酒である。その酒を見て花子さんに対して首を傾げさせながら尋ねた。 
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