八条学園怪異譚
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第三十三話 踊る本達その八
「真面目に遊んでね」
「真面目な遊び?」
「っていうと?」
「薬とか博打とかをせずにね」
具体的にはそういうことだった。
「今みたいに健全にお酒を飲んだりゲームをしたりするんだよ」
「ゲームねえ」
「ソニーとか任天堂とか」
「カードゲームでもソーシャルゲ^ームでもいいけれどね」
そうしたゲームの話であった。
「まあ健全にね」
「遊ぶのね」
「それがいいのね」
「それと普通の人と付き合うことだね」
普通、これが大事だというのだ。
「おかしな人とは付き合わないことだよ」
「ヤクザ屋さんとか過激派とか?」
「そういった人達とよね」
「朱に染まるっていうしね」
いい意味でも悪い意味でも使われる言葉だ、付き合う相手に影響されるからそこを気をつけろという意味の言葉である。
「そういうことよね」
「つまりは」
「そうだよ、あとは悪いことはどうしても考えてしまうけれど」
人間は善でもあり悪でもある、従って悪に傾くこともあるというのだ。
だがそれでもだと、口裂け女は言うのだ。
「あまり考えないことだね」
「そうしたら目も綺麗なのね」
「澄むのね」
「ネットでいつも荒らしてる様な奴は実際の社会でも碌でもない奴だったりすることが多いじゃない」
暇潰しでも許せないことだが中には嫉妬や憎悪、偏見により荒らす者もいる。こうした輩が社会で正常に暮らしているだろうかというのだ。
「そういうこともね」
「ああ、学校のスレとかね2ちゃんねるの」
「うちの学校のスレでもよね」
二人はネットを使う人間なら誰もが知っているスレのことを話した。
「酷いこと書いてる人いるわよね」
「悪口とかね」
「そういうことはしないでおけってことよ」
口裂け女はこう言うのだった。
「悪いことを思ったらすぐにストレス解消だよ」
「こうしてお酒飲んだりして」
「そうしてよね」
「そうだよ、お酒もいいし」
その他にもだった。
「あたしは散歩したり人を驚かせたりしてるよ」
「人を驚かせるのは駄目でしょ」
「それは」
二人は口裂け女のにこにことした言葉にすぐに突っ込みを入れた。
「ちょっと以上に悪いことでしょ」
「どう考えても」
「だから妖怪は人を驚かせることが生きがいなんだよ」
まさに妖怪の言葉である、目を細めさせガラスコップの中の酒を飲みつつ語る。
「だからいいんだよ」
「あれよね、あたし綺麗ってやって」
「マスク取って驚かせるのよね」
「そうだよ、そうしてね」
驚かせる、まさに口裂け女である。
「楽しいよ」
「いや、そこで楽しいっていうのはね」
「どうかって思うけれど」
「だから妖怪なのよ、私達は」
まだ言おうとする二人に花子さんが言ってきた、今度は彼女である。
「それが生きがいだから」
「それに驚かせるだけだよ」
口裂け女自身もこのことは保障する。
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