グラールの神機使い
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3-3
贖罪の街、教会エリア
「ここか……」
アツシは鮫刃ノコギリを肩に担ぎ、辺りを見渡した。
リュウジのビーコンが消えた地点。ツバキさんの依頼のひとつは、この地点の再調査だった。
「調査が済んだ場所をわざわざ再調査なんて……」
何も出てこない。そう思っていたのだが。
「……え?」
地面に小さな穴が開いていたのだ。明らかに何かが差し込まれたような、鋭い穴。
そしてそれがリュウジの大氷刀による物だと一目でわかった。
「どうしてこんな所に……ん? 何か落ちてるのか」
穴に手を入れ、そこに落ちていた物を引っ張り出す。
それは石とも違う。欠片とも違う。
黄金に輝く、アラガミのコアだった。
「ど、どうしてこんな所に?」
もしここに調査隊が来ていたなら、こんな物を見逃すはずはない。
しかし、調査結果にはこんな事何も書かれていなかったし、誰も何も、こんな事触れなかった。
そこから導き出される結論。
「ここは調査されていないのか?」
コアを神機に喰わせ、教会を出る。
「どこ行っちまったんだよ……リュウジ」
同時刻、アナグラのラボラトリ
「成る程……実に興味深いね」
ツバキは、アラガミ研究統括であり現極東支部支部長である、ペイラー・榊博士の研究室を訪れていた。
要件は当然、リュウジについて。
「つまる所、君はリュウジ君が生きている、と?」
「えぇ。私も、このような事態は想定外でした。が、あいつは現極東支部の主戦力であった。最強の神機使いたるあいつが、そんなに簡単に死ぬなどありえないんです」
「あの時現地にいたアラガミは?」
「ザイゴートにヴァジュラテイル、コンゴウです」
「ふむ、確かにその程度の戦力なら、彼が打ち負けるとは考えにくいね」
さらに、ツバキから受け取った書類を、もう一度軽く見直す。
「調査内容のイレギュラーも……うん、これは明らかに上層部が何かしらの手を加えているとしか思えない」
しばらくの間考えこむと、何か思いついたのか、ペイラーはターミナルで何かを検索した。
そして直ぐ、目当ての物を見つけたようだ。
「彼が神機の意思体であったレン君や、アリサ君と簡易の感応現象を起こした時、そこにいた人間以外の意思を読み取った痕跡があるようだね」
「……というと?」
「簡潔に言えば、レン君との感応現象でもリンドウ君が、アリサ君との感応現象でもリンドウ君が現れた。2人とも、彼と深い関係にある者同士だ」
ターミナル画面の1つを指差し、さらに言葉を続ける。
「これってつまり、彼と深い関わりにあった新型神機使いなら、彼の現在の状況を、ある程度感応現象で探れるって事じゃないかな?」
「! ま、まさか!」
ツバキが身を乗り出す。ペイラーは、前支部長のように、口元で指を組んだ。
「まずは、彼のファンを集めなきゃねぇ」
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