グラールの神機使い
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2-1
3人は、リトルウィング所有のシャトルに乗り込んでいた。
しばらく物珍しさにキョロキョロしていたリュウジ……が、すぐに最も大きな椅子にドカリと腰掛ける。
そしてわざとらしく脚を組むと、不機嫌そうな目を2人に向けた。
「……で?」
「で、とは?」
シズルが聞き返す。リュウジの脚が、ガンと机に乗った。
「ふざけんな。説明しろよ、異世界云々の話をよ。お前らは何か知ってるんだろ?」
エミリアが、ちょうどリュウジの向かいの椅子に座る。
シズルも近くの椅子に腰掛け、ひとまず全員目を合わせた。
「まず、私達の世界の事から話すね……」
そして、エミリアとシズルは話した。
グラール太陽系。
3つの惑星、パルム・ニューデイズ・モトゥブ。
4つの種族、ヒューマン・ニューマン・キャスト・ビースト。
資源の要、フォトン。
それに伴う外宇宙生命体、SEED。
その影響で生まれた第5の種族、デューマン。
旧文明人。
そして……亜空間。
リュウジは2人の話しを真剣に、興味深く聞いていた。
「そして……私は有人での亜空間航行に、そのカムハーンを倒した私のパートナー、デュラムと共に乗り出したの」
「確かそのカムハーンってのは、シズルに乗り移ってたんだったよな?」
「そう、僕も奴に意識を消されかけたよ」
「でね、私とデュラムは亜空間に飛び込んだんだけど……結局、数キロ離れた位置に飛んだだけで、実験は失敗に終わっちゃったんだ」
それまで黙っていたリュウジだったが、うーむと唸りながら、片手を口元にあてた。
「……信じらんねぇ」
リュウジの額に冷や汗が流れる。どれもこれも、とても信じられるような内容ではなかったのだ。
「でも、事実だ。亜空間研究は停滞していたが、君のお陰で進展しそうだよ」
「さぁ、今度はそっちが話す番よ」
そうエミリアに言われ、リュウジは組んでいた脚を解くと、椅子にもたれかかった。
「俺の世界か……お前らの話しがまだ信じられないからなぁ」
「うーん、なんかいい方法ないかなぁ」
「まぁいい。俺も俺で何とか裏付けるさ」
そう言ってテーブルに肘を付き、指を組んで口元に当てた。
「何から話した物か……オラクル細胞って言っても、わかんねぇよな?」
「オラクル細胞?」
「あぁ。なんて言えばいいのか……まぁ、簡単に言えばだ。俺達の体ってのは、小さな細胞の塊だよな」
エミリアが、自分の手を見ながら相槌を打つ。
「オラクル細胞ってのは、その細胞1つ1つに意識があり、物を食って、生命活動する、言わば単細胞生物なんだ」
「じゃあ、あんたが言ってた『アラガミ』ってのは、その単細胞生物の集合体って事?」
「細胞クラスの単細胞生物なんて……あり得るのか? そんな物が」
「俺の世界にフォトンが無いようなもんさ……そして、アラガミは何でも食べてだな……」
そして、リュウジも話し始めた。
自分の生きていた、腐りかけの世界の事を……。
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