グラールの神機使い
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
1-1
「てめぇに用は無ぇ!」
邪魔をしてくるヴァジュラテイルを早々と斬り倒し、素早くコンゴウへと視線を向ける。
腐りかけた教会の中、彼はブルーの刃を振るっていた。
人類の天敵、アラガミ。そしてその天敵、神機使い。ゴッドイーター。
「これで終わりだ!」
雑魚を一通り倒し、残るのはコンゴウ一匹のみ。
彼は神機を構え直し、激しく威嚇するコンゴウと対峙する。
「はぁぁぁぁっ!」
そして一気に踏み込み、振り下ろされた拳をかわしながら刃を振り上げた。
冷気を発する刃が、コンゴウの皮膚と肉を切り裂く。
裂けた皮膚からは血が溢れ、吹き出した。
さらに素早く背後に回ると、その背を台にして飛び上がった。
「そこだ!」
そして、全身を回転させ、勢いのまま振り下ろす。後頭部に致命傷を負ったコンゴウは、音を立てて崩れ落ちた。
「ふう……遊びにしても、この程度じゃつまんねぇな」
物言わぬソレから剣を引き抜く。そして大きく振り抜き、血糊を吹き飛ばした。
「さて、と」
そして神機をコンゴウの亡骸に向けて構える。
すると、刃の根本から黒い肉のようなものが盛り上がってきて、メキメキと音を立てながら、獣の頭のような形態を取った。
そして、そのまま神機を突き立て……獣は、コンゴウの亡骸に食らいついた。
獣は一通り肉を食い終えると、満足げに神機の中に戻って行った。
そして、神機のグリップの根本部分。黄金の球体が、輝きながら頭を出した。
「んだよ、大したとねぇな……ん?」
取り出した物体を見ていた時だ。彼は、奇妙な物に気が付いた。
「なんだ……?」
それは空中に浮いた「穴」だった。
「なーんで空中に穴があくかね……そんな事ってありえんのか?」
紛れもなく穴。小さいが、空中にあいているそれは、ヒュウヒュウと音を立てて空気を吸い込んでいるようだった。
「んー、オラクル細胞のダマ……って事はねぇよな」
試しに剣先でそこをつついてみる。
「お、お?」
すると、穴の周辺の空間がパリパリと割れ、吸い込まれていく。
同時に、彼の足元に落ちていた小石が、その穴に吸い込まれていった。
するとたちまち穴が広がり、紫色の巨大な空間に膨れ上がった。
「うおっ!?」
周りの物をどんどん吸い上げ、更に吸引力を上げる空間……思わず剣を地面に突き立て、それに掴まる。
すると、下半身が持ち上がってしまった。ザイゴートなどの小さなアラガミの亡骸が、その穴に吸い込まれた。それほどの吸引力だ。
「じょ、じょ、冗談じゃねぇ!」
ゴッドイーターとなって強化された体でも、さすがに限界が近い。
その時
「っ!」
地面に刺さっていた剣先が、少しづつ抜け始め……
「嘘、だろ!? ふざっけんな! く、くそ……」
そして、ついに抜けてしまった。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
宙を舞う体。彼は、絶叫しながらその穴に吸い込まれていった……
ページ上へ戻る