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魔法少女リリカルなのは 〜光の戦士〜

作者:ユキアン
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襲来




父さんに予備の命とメビウスの力を渡してから、父さんは今までやっていたボディーガードの仕事は辞めて母さんと一緒に喫茶店の経営をやっている。父さんがコーヒーや紅茶を入れて、母さんがお菓子や軽食を作ってそこそこ繁盛している。それから父さんもあの時の約束通り付近に怪獣や宇宙人が現れた際にはメビウスに変身して戦っている。初実践ではこっそりと見守ったりしていたけど、全く問題なかった。というかめちゃくちゃ強かった。ほとんどダメージらしい物を食らっていない上に町の被害も軽微だった。敵は両手が鞭になっているグドンだったが、速攻で鞭をメビュームブレードで切り落とされ、海に投げ込まれてメビュームシュートで爆散してしまった。オレは前世の記憶から弱点を狙ったり、ウルトラブレスレットやウルトラマントなどの多彩な道具を使って戦っているので、父さんがここまで余裕で勝てるとは思っていなかった。成長したら父さんに稽古をつけてもらおうかな。
近況報告としては最近、原作知識が薄れてきたんだよな。9歳頃に事件が起こる事しか覚えてない。明らかに重要そうな知識から消えてるから邪神が何か小細工した可能性が高い。組織の名前とか魔法は思い出せるんだけど、それ以外はほとんど忘れてしまっている。結構痛いな。そう言えばもう一つ報告があったな。度重なる怪獣の出現に安息の地を求めて火星の開拓が始まったのだ。火星には既にスペシウムと呼ばれる鉱石の採掘基地があるのでそれを拡張して都市を建設するらしい。早ければ5年以内には30万人が移住出来るそうだ。そしてGUYSとは別に専用の防衛や調査・開発を行うチーム、ZAP Spacyが設立された。装備はGUYSとは全く別の物をわざわざ開発して運用する為にまともに活動出来るまでまだ時間がかかるそうだ。火星は今のところ宇宙人や宇宙怪獣が現れていないので今は必要ないので問題ないそうだ。一応、今のところはGUYSの旧型機で防衛を行っているみたいだ。それに火星には地球によくやってくるバルタン星人が近寄らないので安全でもある。ウルトラマンシリーズで度々現れるバルタン星人だが、この世界では月一ぐらいで地球に群れでやってくる。一回で300体位が現れるがスペシウム弾頭弾やスペシウム光線と同じ性質を持つスペシウムブラスターの前に敗れ去っていく。相手が悪すぎたなバルタン星人。もう地球の事はあきらめて金星辺りに行けよ。お前らならスペシウムさえなければ何処でも住めるだろうが。核ミサイル食らっても脱皮で復活出来るんだから。







「うぅ、お兄ちゃん」

「ほらほら泣かないの。別々のクラスになるのは分かってた事だろう。休み時間は出来るだけ会いに行くから、な」

「……うん。絶対だよ、約束したよ」

この会話で分かるだろうが、やっと小学生になりました。原作通り私立聖祥大学付属小学校に入学した。入学したのだが、基本的にオレはなのはを甘やかしていた。そのせいでいつもオレにべったりくっついてくる。それがかわいいのでそのままにしていたのが原因なのかかなり甘えん坊で人見知りをする性格になってしまっている。友達もオレとのつながりでしか居ないし、変なところから原作崩壊が始まってしまった。いや、怪獣が暴れてる時点で原作崩壊してたな。それはともかくこれはアリサとすずかの喧嘩にオレが介入しなければならないのか?当分は気にしておかないといけないな。

「……知らない顔ばかりだな」

教室にある顔を見て呟く。幼稚園の頃の知り合いの顔は一つもなく、人間ではない者が混じっている事に気付く。やれやれ、初日から面倒な事だな。決められている席に座り、これからどうするかを思案する。
とりあえずは様子見、場合によってはウルトラ念力で殺すしかないだろうな。出来れば友好的な宇宙人であれば良いのだが。
担任の教師がやってきて自己紹介が始まる。

「サキ・メトロンです。よろしくお願いします」

鮮やかなオレンジ色の髪に黄色のメッシュが入った少女の自己紹介を聞いて頭が痛くなった。よりにもよってメトロン星人かよ。判断が難しいじゃねえかよ。というかもうちょっと名前を気にしろよ。未だにメトロン星人はGUYSで確認されていないから大丈夫だとは思うけどさ。オレは宇宙空間で一回戦った事があるんだよ。こう、ウルトラスパークで真っ二つにした後にゼペリオン光線で吹き飛ばしたんだよな。恨まれてるだろうか?そんな事を考えていると急にオレに向かってテレパシーで呼びかけられた。やっぱり気付かれたか。

『初めまして、ウルトラマンティガさん』

『そういう君はメトロン星人で間違いない?』

『はい、メトロン星人のサキです。サキで良いですよ。それからこの学校に入学したのは偶然ですから。敵対する気はないんで見逃してもらえるとありがたいんですけど』

『何の為に地球にやってきたんだ』

『調査です。地球が侵略するほどの価値があるかどうかの。どういう結果になっても次の行動に移る際には私と家族は一旦故郷に帰ります。だからそれまでは地球で何か事を起こす事はありません。まあ調査もお父さん達でやるみたいですし、私は地球人に混じって遊んでなさいとの事ですので』

『オレがウルトラマンである事を誰にも話さないのと、地球で悪事を行わないのならそれでかまわない。こうやって知り合った奴と戦うのはやりにくいからな。出来ればオレに討たれるような事はしないでくれ』

『ありがとうございます。それでは1年間よろしくお願いします』

自己紹介も終わり、休み時間に約束通りなのはに会いに行く。その後ろをサキが着いてくる。

「なぜ着いてくる」

「うん?だって、知り合いは君しか居ないですから」

「その知り合いを作る為にもクラスに戻ったらどうだ」

「知り合いの知り合いを自分の知り合いにする方が楽だからいいでしょ」

「……構わんが余計な事はするなよ。特に妹に何かあったら、お前らの母星にまで攻め込んでやるからな」

「おおう、すごい殺気が、そんなに妹さんが大事なんですね」

「理解出来たなら、言わなくても分かるよな」

「分かってるから念力緩めて緩めて。何もしないってば」

「警告はしたからな」

なのはのクラスに顔を出すと、すぐになのはが駆け寄ってくる。

「お兄ちゃん」

「はいはい、一人でも大丈夫だったか、なのは」

「うん。お兄ちゃん、そっちの人は?」

「は~い、初めましてサキ・メトロンです。貴方のお兄さんと同じクラスでちょっとした知り合いですよ。仲良くしてくれると嬉しいです。お近づきの印に、はい眼兎龍(メトロン)茶」

そう言ってサキがどこからともなく缶入りのお茶を取り出した。ウルトラマンの力で調べた限り、変な成分は確認されなかった。というか既にあるんだなそのPB商品。もしかしてメトロン星産なのか?

「えっと、ありがとう」

差し出された缶を悩みながらもなのはは受け取る。ただそのまま開けて飲もうとはしない。まあ、なのはは未だに缶を自力で開けれないからな。

「結構おいしいですよ」

サキも自分の分を開けて飲み始める。ついでにオレにも一つ渡してきたので開けてなのはに手渡す。

「ほら、開けてやったぞ」

「ありがとう、お兄ちゃん」

なのはが持っている開いていない方の眼兎龍茶は開けないでおく。どうせなのはが飲みきれないだろうからな。

「あっ、おいしい」

「でしょう。お気に入りなんです」

「それで、なのは、友達は出来そうか?」

「えっと、その」

「出来そうにないと」

「あぅ」

「大丈夫大丈夫、私は友達だよ、なのはちゃん」

サキがなのはの手を握ってぶんぶんと振る。何か企んでいるのかと邪推しそうになるが、そのような雰囲気は感じられないし、何よりサキの性格がなのはに良い影響を与えるかもしれない。零しそうになっている眼兎龍茶を取り上げておき、一口すする。

「……悔しいけど旨いな」









そんな感じでサキと知り合ってから数週間の時が流れた。サキの宣言通り、メトロン星人は悪事らしいことは行わずに本当に調査だけを行っている。調査とは別に眼兎龍茶の販売はやってるけど、それ位なら問題ない。
そして、とうとう原作でのイベントの一つであるアリサとすずかの喧嘩が発生したのだが、色々とイレギュラーが発生した。まず、喧嘩の仲裁に入ったのはサキで、なのははその場に居合わせただけだ。それはまあ良いだろう。なんだかんだでアリサとサキが言い争っている隣ですずかの心配をしていたらしいから縁自体は出来たはずだ。問題はここからだ。ようやく事が収まろうとしたところで怪しい男子がサキ達に絡んだのだ。それで一応助けてくれとサキからテレパシーが来た。その時オレはトイレに行っていたので全力で現場に向かって走り、2階の窓から飛び降りて構える。

「なのはをいじめるのはどこのどいつだーー!!」

「お兄ちゃん」

構えたところで気付いたが、目の前の男子、こいつは人間じゃない。いや、人間だったが正しいのだろうな。オレを見ると同時に舌を延ばしてオレを貫こうとした。慌てて背後に居たなのはを突き倒しながら転がって回避する。

「なっ、こいつ怪獣なの!?」

「サキ、なのは達を逃がせ!!それから先生にGUYSを呼ぶように、オレはこいつを食い止める」

念力で落ちている石を尖らせて舌を断ち切る。

「おら、こっちだ。来やがれ」

他に投げれそうな石を確保し、避難経路から離れるように走る。時折周囲に落ちている物を拾ったり開いている窓から教室に飛び込み、チョークやペンなどの投げやすい物を調達しては投げつけて校舎内を走り続ける。付かず離れずに怪獣らしき生物を誘導する。今まではこんな事をした事がないので精神的に疲れが溜まっていくのを感じながら校舎から皆が避難するのを待ち続ける。

「はあ、はあ、もう大丈夫か?」

流れる汗を払いながら後ろを振り返る。そこには3体に数を増やした怪獣らしき生物が未だにオレを追ってきていた。そしてその内の1体の右腕が人間の物から鉤爪の様な物に変化していた。

「こいつら、まさか!?」

「坊主、伏せろ!!」

こいつらの正体に気付くのと同時に背後から大声で伏せろと叫ばれたので急いで伏せる。同時に頭の上を赤い弾が通過する。一般人には見えない早さだろうがウルトラマンであるオレには普通に見える速度だ。そのまま赤い弾はスペースビースト共に命中してその四肢を奪っていく。

「坊主、こっちに来るんだ!!大木、坊主を避難させろ。相沢はこのままオレと一緒にこいつらを始末するぞ」

「「G.I.G」」

オレはそのまま大木と呼ばれた女性隊員に連れられて皆が避難している場所に連れて行かれた。避難場所に行くと一番になのはがオレに抱きついて泣く。オレはごめんと謝りながらなのはをあやす。サキにも一言ありがとうと伝える。今度家のシュークリームを持ってお礼に行こうと思う。
それにしてもスペースビーストまで現れたか。根源的破滅招来体に加えてスペースビーストまで現れたとなるとますます地球での戦闘が増えるだろうな。やはり、父さんみたいにウルトラマンを増やすか?だが、選択を誤れば被害を齎す上にオレ自身の弱体にもつながる。なら、ウルトラマン自身に選んでもらえば良いか。オレはエスプレンダーとアグレイターから『光』を解放して地球に預ける。どれだけの時間がかかるか分からないが、きっと『光』にふさわしい人物が見つかるだろう。

 
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