IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~
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第三十話『パートナー』
前書き
更新が遅くなり、大変申し訳ありません。久しぶりの更新なので文などがおかしいかもしれません…
それと少し短いです。本当に申し訳ありません。
あの騒動から次の日の昼の頃こと、廊下で一夏が歩いていると
「一夏」
「箒? どうした?」
呼び止められた一夏は箒の方を向く。
「スウェンとタッグを組んだらしいな」
「ああ、何でそんなこと聞くんだ?」
「うむ」
箒は腕を組み
「私もスウェンと組もうとしていたのだが……先を越されたみたいだな」
組んでいた腕を解き、背を一夏に向け
「トーナメントでは絶対勝つ」
「おう、こっちだって負けないからな」
そうして箒はどこかへと歩いていった。
「気のせいかなピリピリしてたな……箒」
「ここにいたか」
「?」
背後から呼び掛けられた一夏。そこにはスウェンが居た。
「織斑、昼食はとったか?」
「いや、まだだけど」
「そうか、トーナメントについて話す事がある、一緒に食堂にいかないか?」
「もちろんいいぜ」
「なら行くとしよう」
/※/
食堂にやってきたスウェンと一夏。一夏は焼き魚等の和を中心としたメニューでスウェンは何時も通りのカレー。二人は向かい合ってテーブルに座る。
「織斑、タッグを組むに当たり互いのISの利点と欠点を確認しよう」
「利点と欠点?」
スウェンは「ああ」と頷く。
「連携をとるということは、互いの利点を活かし合うと同時に、互いの欠点を補わなければならない」
「成る程……スウェンから見て白式の欠点は?」
「武装の種類に乏しいことだ」
「いきなりストレートだな!?」
「誰だって先にそれが思い浮かぶだろう」
「ひ、否定は出来ないけどさ……」
「さて、織斑。ノワールの欠点を上げてみろ」
「ノ、ノワールの……?」
箸を止め深く考える。今まで見てきたノワールの武装、性能全てを思い出す一夏。
「え、えっと……武装が多い事?」
「……」
「あ、あれ? 違った?」
無言のスウェンに一夏は焦ってスウェンをみる。
「決定打に欠けることだね」
不意にテーブルの側から声が聞こえる。
「デュノアか…」
「うん、隣いい?」
「構わない」
スウェンの了承を得ると、シャルルはスウェンの隣の椅子に座る。
「織斑、先程デュノアが言ったことがノワールの欠点だ」
「決定打に欠けること?」
「ああ。ノワールはどの戦況にも対応できるように、武装をバランス良く搭載されている。だが、ノワールの武装には状況を覆せるようなものはない」
「けどさ、バランスがいいってことはそれが利点になるんじゃないか?」
「そうだ。利点と欠点は表裏一体だ。利点になることは欠点に、欠点になることは利点になることもある」
「なるほど……」
「そしてお前のたった一つの武装、雪片二型は状況を覆せる事の出来る。それこそ劣勢すらな」
スウェンはスプーンを置き
「それ故に相手はお前に注意を向ける。零落白夜発動時に攻撃を受けたら一たまりもないからな。だがこちらとしては片方に注目が集まった方が都合がいい」
「俺に注目が集まってる間に、スウェンが攻めるってわけだな」
「そうだ。実質前衛を任せることになる。お前には負担を掛けてしまうことになるがな」
「わかった、前は任せろ!」
意気込みは良し、とスウェンは僅かに笑みを浮かべる。
「まあ……お前は変なところでミスを犯すからな。油断はしないことだ」
「うっ……ぜ、善処する」
「それでいい。さて、これからの訓練について方針を決めるとしよう」
※
授業が終わりスウェン、シャルルは自室へ戻っていた。
「スウェンって何で何時もカレー食べてるの?」
シャルルの突然の質問にスウェンは表情一つ変えず
「特に意味は無いのだが」
「それにしてはほぼ毎日じゃないかな……」
「食べられればそれで良い。栄養をしっかり取れていれば種類など気にはしない」
「それじゃダメだよ? 食事は味を楽しむものなんだから」
「味……か。気にした事はなかったな」
「スウェンって変なところで常識無いよね……」
「……」
思いもよらぬ言葉に若干表情を曇らせるスウェン。するとノック音が部屋に響く。
「デュノア、ベッドに身を隠せ」
「う、うん」
シャルルは男装をしていない為、スウェンに言われたとおりベッドに体を倒し毛布を深くかぶる。スウェンはそれを確認するとドアへと近づき、ドアノブへ手をかける。
「誰だ」
扉を開けるとラウラが部屋の前に立っていた。
「た、隊長、夜分遅くに申し訳ありません!」
「……まだ夕方なのだがな。どうした?」
「え、えっと……その……」
「?」
珍しく吃るラウラを不思議そうに見るスウェン。ラウラは覚悟を決めたかのような表情で
「タッグトーナメント戦についてなのですが、よ、よろしければ私と一緒に出ていただけないでしょうか! 隊長と一緒なら必ず勝てると思うのです」
「すまない」
「え―――?」
「折角の誘いだが俺は織斑と出場することにした」
「お、織斑 一夏と……?」
「ああ。本当にすまないな、またの機会よろしく頼む」
「は、はい……そ、それでは失礼します……」
ラウラは軽く頭を下げ、自室の方向へと歩いていった。スウェンは扉を閉め部屋内に戻る。
「誰だったの?」
「ラウラだ。タッグ戦の誘いだったが断った」
「そうだったんだ……ねえスウェン。僕の気のせいだったらでいいんだけど、ラウラの事避けてないかな」
「……どうかな、もしかしたらそうなのかもしれないし、そうではないかもしれない」
「理由は聞かないけど、ラウラはすごくスウェンの事慕ってるよ? それなのに避けてたら可哀想だよ……」
「……そう簡単にいかないものだがな」
「? 何か言った?」
「いや、何も」
/※/
「……隊長」
何故隊長はあの男を選んだ?
何故私を選んでくれなかった?
私が不甲斐無いから?
私があんな身勝手な事をしたから?
もうあの人は私を見てくれないのか?
もうあの人の下で役に立つ事は出来ないのか?
嫌だ……そんなのは嫌だ……!!
「隊長……私は……私は……!」
黒き少女は苦しみ続ける
憧れの男が自分から遠ざかる事に
苦悩を抱えたまま戦いのときは迫る。
後書き
次の更新は早めにしようかと思います。
次回、タッグトーナメント戦。お楽しみに!!
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