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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第21話 魔人は周囲を増やすようです


Side 愁磨


俺は、魔物(悪魔?)を数え切れない程倒し、ようやく『夜の迷宮』に辿り着いた。

そして『答えを出す者』でアリカの居場所を突き止め、転移する。


着いた所は・・・陽の光が無い所を見ると、地下牢だろうか?

並んだ鉄格子の中程に居たのは、床に力無く倒れているアリカと、手を掛けようとして居る男。


見た瞬間、鉄格子を蹴り飛ばし、無理矢理十三騎士の一人である『炎帝(カーラー)』を呼び出し、

その力で炎剣を作り、振り被る。


「なんn」


蹴り飛ばした男が、こちらを向き何か言おうとするが、そんな事は聞きたくないし聞く必要もない。

――キン  ボゥッ!!

炎剣で、男を鎧ごと薙ぎ払う。

鉄の高度まで圧縮された炎は、本物の鉄が鉄を斬ったかのような音を出し、

斬ったモノを一切残さず蒸発させる。


アリカを見ると、倒れた衝撃で若干着崩れているだけだった。

後ろ手に縛られ足枷を付けられてる以外は、出て行った時と変わりない・・・。

俺はアリカを起こし、抱き締める。


「…間に、……合った………。」


念の為にここにいた時間の記憶を読み、アリカの身に何も無い事を確認する。



「シュウ…マ……。何故、主がここにおるのじゃ……?」


アリカが俺に気付き、顔を上げる。


「何故って、アリカを助けに来たに決まってんだろ…?」

「……私などを、助ける…前に……何故、義姉君を助けに行かんのじゃ………!!

国に必要なのは、私では無く、義姉君じゃ!!」


いきなり怒られても、な。だって、そんなの・・・・・。


「そんなの関係無い……。俺が必要なのが、お前だったんだから。」

「そ、……そんな事、ある、ものか……!」


俺の言葉に、アリカは首を横に振る。


「私を必要な人間などいない!今までがそうじゃった!!

近づいて来る者全てが、私を利用しようとしていた!!今回とて、私は慰み者扱いじゃ!!」


・・・・アリカの頬に手を当て、顔を近づけて行く。


「私は……、私は必要とさr――んん?!」


そんな悲しい事は、言わせない・・・・・・・。


「んん!!…ん、ふぁ、ちょ、何を――んむぅぅ?!///」


暴れなくなるまで、キスし続ける。


「――ん!!///…んん……む、ん//……ぁふ、ん…ちゅ……。」


・・・少なくとも、一分は経っただろう。

アリカの体から力が抜け、抵抗しなくなったので、一旦唇を離す。


「……ん、ふぅ……あ、…ごめん。」

「………いきなり、何をするのじゃ…………。こんな事、ノワール殿が知ったら―――」

「いや、公認だから問題ない。」

「……………………は?」


いや、そりゃ疑問だろうな。


「嗾けたのはノワールだ、って言ってるんだよ。一夫多妻制…って知らないか?」

「いや……そんな事は知っておるが………。

な、何故、私に、その、じゃな……………///」

「………………………お前が、好きだから、かな。」

「………、……………い、いま、なんと……?」


・・・・・もう一回言わせるか・・・。


「俺が、アリカを好きだ、って言ったんだよ。」

「う、嘘じゃ……、有り得ん……。

だ、だって、主はノワール殿と結婚しておるではないか……。

アリアだって……、娘もいるでは、ないか………。」

「アリアは……まぁ、拾った?娘だ。愛してるけどな。ノワールは、俺が一番愛する人だ。

でも、アリカの事も好きなんだ…。はは……やっぱり、おかしいよな……?」


自嘲気味に笑うが、アリカはそれを否定する。


「い、いや……。わ、私も、………………。」


アリカは一度下を向き、再び顔を上げ、言った。


「私も……、シュウマの事が……好き……じゃ……。」


もう一度、アリカを抱き締め直す。


「…ありがとう……、アリカ………。」

「それこそ、こちらの台詞じゃ………。フフフ、私の初恋じゃ。光栄に思えよ。」


・・・嬉しいんだが・・・やっぱり、確認する事がある・・・。


「なぁ、アリカ……。今更だけど、さ………。

俺、もう結婚してるんだが……、良いのか……?」

「本当に今更じゃな……。私は王族じゃからな。そう言ったモノには耐性があるし、

受け入れられる。」

「だけど……、俺の一番は、アリカじゃn――ん?!」


俺が言葉を紡ぐ前に、今度はアリカに唇を塞がれた。


「そんな事は、分かっておる……。じゃから、一番になるのは私の仕事じゃ。」


随分逞しい王女様だな・・・・。


「…じゃあ「待て。」……何だ?」

「今度は私が聞く番じゃ。

そ、その……じゃな、あの時、その………覚えておる、か……?」


そんな事言われても、分かりませんて。

意外と一緒にいた時間多いんだから。


「街中での爆発があった後の、帰ってからの話じゃ……。」

「ああ、あの時な。……で、それが?」

「その……わ、私が、こ、こく、告白しようとした時…は……?」

「あ、ああ。あれ、やっぱりそうだったんだ。」

「そう、それじゃ・・・///その時、どうして、悲しそうな顔をした、のじゃ……?」


あー・・・。顔に出てたのか・・・・・。


「その、だな……。ほら、俺って…不老不死、じゃん?」

「あ、うむ。それは心得ておるが…。」

「その、やっぱり、アリカは俺より死んじゃう訳で……。

だから……、好きな人が死ぬって考えたら、さ。どうしようか、と思う訳で……。」


俺にとっては、一番深刻な問題。

妻となった者が、先に死ぬ・・・。そんなのは、耐えられない。


「だから、せめて不老不死になって貰わないと―――」

「……プッ……く、クフフフ……。」

「……何故笑うか!?俺にとっては……。」

「ああ、分かっておる…。フフフ……。

何じゃ、私の考えはとんだ間違いじゃったのか……。フフフ、馬鹿みたいじゃな……。」


え、えーと・・・・一体、何の話をしているんだ?


「シュウマ。私を、不老不死にしてくれ……。」

「え、………本当に、良いのか………?不老不死ってのは―――」

「ああ、分かっておる……いや、知ってはいる。

正直、大切な者の死と言うのが良く分からん……。父様と母様の死は、普通では無かったしな……。」


まぁ、クーデターによる爆死(or炎上死)なんて、普通じゃねぇしな・・・・・。


「じゃから、シュウマが感じた死の重さは、分からん。

じゃが、人の死の重さは、分かっている……。

それが、主と共に居る代償だと言うのならば、安いモノじゃ……。だから、頼む……。」

「分かった。えーと………ああ、あった。

これを飲めば、肉体の老化(せいちょう)が止まって、不老不死になれる。」


薬箱から黒い丸薬を出して、アリカに渡す。


「す、凄い物を軽く扱うのじゃな………。」

「いや、不老不死になるだけだから、そんなに凄くないぞ?」

「む?不老不死と言ったら、吸血鬼と同じ能力ではないか。その能力が何故強くないのじゃ?」


ああ、勘違いしてんのか。


「いいか、アリカ。

『不老不死』と言うのは、肉体が年齢を重ねなくなった結果、死ななくなると言うモノだ。

吸血鬼が持っているのは、これに加えて『高速再生』と言われる能力だ。

吸血鬼は体全部で一つの生命体になっているから、体が二つに裂けようが再生するんだ。

『不死身』とはまた違うんだ……って、着いて来れる?」

「ああ、問題無い。」


アリカって、やっぱり頭いいな。どっかの鳥頭に授業するより億倍楽だ。


「そっか。んで、詳しい説明しようか?」

「いや、よい。今は義姉君を助けに行かんと。」

「ああ、そっちなら大丈夫だぞ?だって―――」

――ドォォォォォォンンン!!!

「あいつ等が来たからな。」


Side out



side ナギ


俺達は今、愁磨が置いて行った飛行艇で『夜の迷宮』まで飛んで来た所だ。


「・・・ナギ。賭けをしませんか?」

「あ?こんな時になに言ってんだよ?」

「なに、簡単な賭けです。終わっているか、始まっているか、です」


何、訳のわかんねぇ事言ってんだ?


「愁磨の事だから終わってるに決まってるじゃねぇか。」

「フフ・・、では、勝った方が負けた方の今夜のおかずを貰うと言う事で宜しいですか?」

「よく分かんねぇけど、良いぜ!だけど、今はエルザを助けねぇとな……!!」

「フフフフフ・・・・そうですか。」


俺の言葉に、アルが何故か笑う。


「あ?何で笑ってんだよ?」

「いえいえ、貴方はそれで良いのです。まぁ、貴方達は問題無いのですがね・・・。」


やっぱアルの言う事は訳分かんねぇぜ。


「二人とも!!もう着くぞ!!」

「・・・普通、ここまで来るのに少なくとも数日掛るのですが・・・。

10分掛っていませんよ・・・?」


アルがなんか頭抱えてっけど、速ぇ方が良いだろ?


「おっしゃ!いッくぜぇ!!!」


ババババババ!!

全員が、止まった飛行艇から飛び降りて着地する。


ま、愁磨が全員ぶったおしてんだろうから。


「さて、閉じ込m「侵入者だーーーーーーーー!!!!」あ?!」


出て来たのは統一された格好の人、人、人。

200人くらいか?って――――


「愁磨は何やってたんだぁぁぁぁぁぁぁ?!」

「フフ・・聞くまでもないでしょう?」

「知らねぇよ!くそ!!

来たれ雷精、風の精。雷を纏いて吹けよ南洋の嵐!『雷の暴風』!!」
ゴォォォォォォオオ!!!


愁磨め!後で覚えてやがれ!!



――――――――――――――――――――――――

subSide エルザ


さっきから何度も爆発が起こっているのだけれど・・・もしかして、

ナギ達が来てくれたのかしら・・・?


「第一王女殿……。これは、もしかして…。」


一緒に閉じ込められている褐色肌の女の子、帝国第三皇女のテオドラ様が期待を込めて聞いて来る。


「ええ、『紅き翼』の皆ですよ。思ったより早かったです。」

「そうか!かの『紅き翼』が来たとなれば安泰じゃな!!

して、……あの『アーカード』は本当に居るのかの?」

「ええ、いますよ。でも、噂なんて信じない方が良いです。

実際に会えば分かると思いますよ?」

「(・・・ボソッ)」

「?今、なんて仰いましたか?」

「い、いや、何でも無いのじゃ!!気にするでない!」


テオドラ様の事が気になるけれど・・・、


ドンッ!!!


牢の壁が殴られたような音を立て、ガラガラと崩れる。そして崩れた壁を踏みつけ、あの人が来る。


「よお、来たぜ、エルザ。」

「遅いわ、ナギ。もう少しで寝てしまう所だったわ。」


side out


――――――――――――――――――――――――




ワラワラ出て来る敵を倒し続け15分。

敵からエルザ達が閉じ込められている場所を付き止めて、やっと辿り着いた。


「そっらぁ!!」

ドゴォン!!


エルザ達が閉じ込められてる牢の壁を殴り壊す。


「よお、来たぜ、エルザ。」

「遅いわ、ナギ。もう少しで寝てしまう所だったわ」

「助けて貰って一言目がそれかよ?!」

「それよりナギ!!アリカが別の所に連れて行かれたの!!早くしないと!」

「ああ、そっちは問題無いぜ!」

「え、なんで―――」


――トトン


俺達の後ろに着地する音が、二つした。


「随分遅かったではありませんか?愁磨。」

「悪い悪い、少しイチャついてたんだ。」

「誰がそんな事をしたと言うのじゃ?!」

「していたじゃない。……私を差し置いて。」

「ノワール殿までそんな事を言うのか!?」

「・・パパ。浮気しちゃ、いけないんだよ・・・?」

「グフッ?!こ、これは浮気じゃないぞ!?浮気って言うのはだな―――――」

「来た瞬間うるせぇな~。」

「……え?」

「ま、こう言う事だ。分かったか?エルザ。」



Side out
 
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