八条学園怪異譚
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第三十三話 踊る本達その六
「皆からね」
「あっ、竜宮童子君よね」
「確かそうだったわね」
「そう、竜宮童子だよ」
妖怪の方もこう答える。
「宜しくね」
「この人もこの学園にいたのね」
「そうだったのね」
「僕も保育園にいるんだよね」
そこにいるというのだ、彼もまた。
「それで学園全体に福をもたらしているんだ」
「ううん、同じ属性でもなのね」
「あんたは私達にも見えるわ」
「座敷わらしちゃんだけは別なんだよね」
竜宮童子も言うことだった。
「不思議だよね」
「というかどうして座敷わらしって大人には見えないのかしら」
聖花はこのことに根本的な問題を感じて言った。
「それがわからないけれど」
「そうよね、どうしてかしらね」
愛実もそれを聞いて言う。
「妖怪だからって言えばそれで終わりだけれどね」
「その辺り不思議よね」
「東北に何かあるのかしら」
「やっぱり何かあるんじゃないの?」
口裂け女は座敷わらしのことで考えだした二人に飲みながらこう声をかけた。
「事情がね」
「その事情が気になるのよね」
「どうしてかしらね」
「どうでしょうか、実は私もです」
今度はろく子が話す、浴衣姿で正座しているだけだがそれだけでも女の二人が見ても妙に艶かしい姿である。
「首が伸びることは」
「それも何かあるんですか」
「ろくろ首の特徴が」
「遊郭の花魁の首が長く見えるからだとか」
二人にこの説を出すのだった。
「そうした説があります」
「ううん、そうですか」
「花魁の首ですか」
「首が飛ぶ人達は中国からの渡来です」
そこから来ているというのだ。
「飛頭蛮と言われています」
「そっちのろくろ首は怖いんですよね」
「確か人を襲って血を吸うって」
「私達は精々驚かせるだけですけれどね」
首が伸びるろくろ首はそうだというのだ。
「あの人達は吸血鬼でもありますから怖いですよ」
「ううん、首が飛んで来て遅い掛かって来るって」
「無茶苦茶怖いですね」
「この学園にはいないですけれどね」
ろく子はこのことは保障する。
「会った時は注意して下さい」
「けれど外見は普通の人間と一緒ですよね、首が飛ぶ人達も」
「首のところに筋があります」
「そこから首が離れて飛ぶんですね」
「そうです、そうなりますから」
それで首に筋があるというのだ。
「それに血を吸う人と吸わない人がいて吸わない人がいて」
「吸う人にも特徴があるんですか?」
「目が赤いです、これは人を食べたり血を吸ったりする妖怪の特徴です」
ろく子はこのことを話す。
「それですぐにわかります」
「じゃあ赤い目を持つ人はですね」
「近寄らない方がいいんですね」
「そうです、赤い目を持っている人には気をつけて下さい」
これは妖怪だけではない、人間もそうだというのだ。
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