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八条学園怪異譚

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第三十三話 踊る本達その三

「この場合は起こるです」
「いるんじゃなくて」
「ポルターガイスト現象が霊魂が起こすこともあれば」
「他の場合もあるんですか」
「その場所に潜在的に蓄積されている力が噴き上がる時間にです」 
 その時間にだというのだ。
「起こることもです」
「あるんですか」
「そうです、ポルターガイスト現象といっても様々な原因があるんですよ」
「ううん、そうですか」
 愛実はろく子の話を聞いて腕を組んで頷いた、顔も考えるものだ。
「何かそうした現象もただ怪奇現象では済まないんですね」
「原因があります」
 こう話すろく子だった。
「面白いですね」
「確かに。ただこうしたつくも神さん達とポルターガイストは違いますね」
「似ていますが」
 ものが動くということでは似ている、だがそれでもだというのだ。
「また違うものです」
「ですね、じゃあ」
 愛実はろく子の言葉に頷きそれからだった。
 その書のつくも神達のところに行こうとする、だが。
「待たれよ」
「少し待って頂けるか」
 その書達が愛実と彼女と共に前に出ようとした聖花に対して古風な言葉で言って来た。その口調も丁寧なものだ。
「我等は今からこの部屋を出る」
「別の部屋で楽しむことにする」
「別の部屋っていうと」
 そこは何処か、聖花が予想を立てて問うた。
「図書館の入り口で?」
「左様、そこでだ」
「そこで楽しませてもらう」
 実際にそうだと答える書達だった。
「いつも通りな」
「そうさせてもらう」
「いつも通りってじゃあ」
「普段も」
「言い忘れていましたけれど」
 ろく子は二人のところに来た、そのうえで彼女達に話す。
「この方々はその日によって楽しむ場所が違いまして」
「このお部屋だけでないんですね」
「別の部屋にも出て」
「この方々のその日の気分によって変わります」
 そうだというのだ。
「まさにその日によって」
「ですか、それで今日はですか」
「図書館の入り口で」
「そうです、では入口に戻られますか?」
 にこりとした笑顔で二人に尋ねる。
「今から」
「はい、それじゃあ」
「今から」
 二人もろく子のその言葉に頷きそうしてだった。
 三人は宙をふわふわと飛ぶ本達と共に図書館の入口に戻った、入り口では今も妖怪達が酒を楽しんでいた。
 その三人と書達の姿を見てだ、最初に口裂け女が言った。
「今日はここでだね」
「うむ、今からな」
「楽しませてもらっていいか」
「いいよ、じゃあ踊るんだね」
「左様、今宵もまた」
「踊り歌おう」
 書達も応える、そうしてだった。
 彼等は宴を楽しむ彼等の周りで踊り歌いだす、その彼等を見てだった。
 口裂け女は目を細めさせて言うのだった。
「やっぱりいいねえ、書の踊りはね」
「何度か見てる感じね」
「ああ、見てるよ」 
 口裂け女は目を細めさせて愛実の問いに答える。 
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