不思議なスライム
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爽やかスラ子
「キュー。」
しばらくして、スラ子は元に戻った。
「はふぅ、びっくりしたー。」
「一時はどうなる事かと思ったぞ。」
心底安堵するシェリーとガルド。
その気持ちは、よく分かる。
さっきまで呼び掛けても、指で突いても、まったく反応しなかった。
恍惚とした表情で、気持ち良さそうな声を出していた。
「猫にマタタビって言うけど、小人に毒消し草?」
「そんな馬鹿な・・・。」
シェリーの考えを否定しようとして、ガルドは口を噤んだ。
違うという証拠もなく、他に原因が思いつかない。
スラ子は何故、あんな状態になったのか?
強過ぎる刺激によって、快感を味わったのだ。
スッキリ爽やか。
ただそれだけのこと。
しかし全身で、しかも内側からだと、話は別だ。
抗えない心地良さに支配される。
ちなみに。
スライムや他の種族が食べても、スラ子の様にはならない。
実に不思議である。
「キュー♪」
2人の心配をよそに、スラ子は大満足。
そして、友達になろうと思った。
襲ってこないし、枝を奪わないし、食べ物をくれる。
あの少女と同じ良い人間!
「キュー。」
「ん?どうしたの?」
「キュー!」
「もしかして・・・友達になってくれる?」
「キュー♪」
シェリーの差し出した手に、スラ子は握手した。
もとい抱きつく。
「やったー!見て見て!友達になれた!」
「ああ、よかったな。」
「ほらほら、ガルドも握手して。」
「いっ!?し、しかしだな。」
ガルドは焦った。
また怯えられたり、逃げられでもしたら・・・。
激しく落ちこむ。
数日は立ち直れないだろう。
身体は大きいが、繊細な心の持ち主なのだ。
「キュー!」
動けないガルドに対して、スラ子の取った行動は・・・。
宝箱から出て、足にしがみついた。
そして、よじよじと登っていく。
ロッククライミングのように。
「お、俺が怖くないのか!?あとなんで登る!?」
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